シューベルト『合唱&重唱曲』録音の世界で世界中を牽引してくれた サヴァリッシュ
アメリカはフィラデルフィア在住の方から貴重なコメントを頂いた。全文をそのまま掲載する。
フィラデルフィアでは (フィラデルフィア在住) 2013-02-25 11:45:27
2月24日、フィラデルフィア管弦楽団の定期演奏会。
演奏が始まる前、コンサートホール内でアナウンスがありました。
サヴァリッシュが一昨日に亡くなれた、と。
観客がざわめき、悲しみに包まれました。
サヴァリッシュが得意としていたワーグナーの作品を演奏し、その後、ヤニック、楽団、観客全員で、1分間の黙祷をささげました。
貴重な情報ありがとうございました。N響は「定期公演の谷間の時期」で次回定期が 4/13(金)です。その際は何かしらの追悼があることと思っております。
サヴァリッシュは「レパートリーが広大な指揮者であり室内楽ピアニスト」だった、が印象深いです。リート伴奏ピアニストとしても大ピアニストであり、フィッシャー=ディースカウ との数々の名録音で今も誰もが堪能することができます。
サヴァリッシュ訃報に接した後に聴いたのは「合唱&重唱曲全集(世俗&宗教)11枚組」(EMI)でした。LP時代から所有していますが、2011年に全集CD化された時に買い直しました。今回聴いたのはCD。
その後、いろいろな演奏家でCD発売されたが、ミサ曲に限らず、「ラザロ」に限らず、世俗合唱曲に限らず、世俗重唱曲に限らず
シューベルト「世俗&宗教 合唱&重唱曲」はサヴァリッシュ盤が最高!
と感じる。「全体の平均が」でなく「個別の仕上がりが」である。同じシューベルトでも「交響曲全集」は ベーム指揮ベルリン・フィル盤とか、アバド盤とか、カルロス・クライバー盤(3&8)とか、数多の名盤が存在するのだが、「合唱&重唱曲」は無い!!!
Teldec世俗合唱曲全集 は悪くは無いし、【有名曲のピアノ伴奏はサヴァリッシュ以上の著名ピアニスト起用】で、実際に聴くと
純粋に「指の技巧」はTeldec盤の方が上の曲もあるのだが、「歌を含めた全体像」は圧倒的にサヴァリッシュ盤が上
である。
サヴァリッシュ指揮「シューベルト:合唱&重唱曲全集」が存在しなかったならば、私高本は「シューベルトの全体像」を未だに理解できていなかった!
これは断言する。特に「糸を紡ぐグレートヒェンD118」以前の宗教曲と、いくつかの有名でない重唱曲、例えば「ナイチンゲールD724」とか。「美しき水車屋の娘D795終曲」を先取りしている瞬間などが鮮やか!
現在、「マイナーレパートリーに対しての、丁寧なセッション録音」がほとんど不可能な状態が続いている。「現代の演奏家」にも素晴らしい才能の人が数多く存在していることは熟知している。だが、「シューベルトの合唱&重唱曲全集」でサヴァリッシュ以上の演奏が出現するとは、(現在の演奏&録音環境では)想像できない。
おそらく「サヴァリッシュ指揮 シューベルト合唱&重唱曲全集」が孤高にそびえる高みを聴かせる唯一の録音!
になると感じる次第である。