Piano Music Japan

シューベルトピアノ曲がメインのブログ(のはず)。ピアニスト=佐伯周子 演奏会の紹介や、数々のシューベルト他の演奏会紹介等

1957年演奏会形式公開ライブ録音「セラフィン指揮ルチア」(No.1875)

2011-06-09 20:20:46 | 1949-1957のマリア・カラスの全て
 ほとんど誰もが推奨しない録音。理由ははっきりしている。

全曲終わった後のボーナストラックについている「第3幕アリア前半」の出来があまりにも素晴らしく、『それなら通しで歌って欲しかった』と誤解している人が多いから


である。これは「誤解」だよ、マジ。これが原因で \49,350の「マリア・カラス コンプリート・ライヴ・オペラ・コレクション(103CD)Dreamlife 」にも収録してもらってない。 このライブ録音を収録しないで「コンプリート」は詐欺同然。まあ、海賊盤の運命はこんなモノかも知れない(爆

 何が何だかワケがわからなくなってしまっている「謎の名演」がこれだ!

 ドニゼッティ「ルチア」は短いオペラである。休憩を数えなければ、「道化師」の1.5倍程度の長さ。「ノルマ」辺りに比べると、約半分に「体感時間」は短い。


 私高本は、一時期「現代風オペラ演出」が大流行していた当時、大嫌いで「演奏会形式オペラ」を好んで聴いていた時期がある。20世紀末で1994-1999頃だった、と記憶している。読響や東フィルが質の高い公演を立て続けに上演してくれていた。その後、大野和士が欧州に行ってしまってからは下火になった、東フィルだけでなく読響も。新国立劇場が出来たことが最大の原因だった、と今から振り返ると思い当たる。
 さて、その当時の東京だが、オペラ全部終わった後に「人気アリアをアンコールで歌う」に出くわしたことは1度も無かった。「イタリアオペラは随分サービスがいいなあ」と私高本も、実はCD購入当時は思っていた(爆
 元々、イタリアRAI放送を闇録音したモノが市場に出回った「海賊盤」が出自。1枚でも多く早く売り抜けるためにいろいろなサービスを付けた。「ボーナストラック」もその類。そのまま出してくれるか、録音データをきちんと付けてくれれば良かったのだが、海賊盤販売するヤツらに言っても無駄。それにしても「雰囲気の似た録音」を見付けて来たモノだ(爆
 実際の演奏会形式では「1回通して演奏されて、それで終了」だった。そこまでを批評する。

カラス(s) ドニゼッティ「ルチア」演奏会形式公開放送録音 セラフィン指揮ローマRAI放送管弦楽団&合唱団 1957.06.26



  1. カラスの歌:☆☆☆☆☆


  2. 指揮者  :☆☆☆☆☆


  3. 共演者  :☆☆☆☆☆


  4. ライブ感 :☆☆☆☆☆


  5. 録音   :☆☆☆☆☆


  6. 歴史的意義:☆☆☆☆☆


  7. 舞台初演日&場所:1952.06.10 メキシコ


  8. スカラ舞台初演日:1954.01.18(カラヤン指揮&演出)



 アリアは「第1幕」「第3幕の後半」は文句なし。「第3幕前半」カデンツァの最後は2点Es に下げているが、その前の2点B はつややかにトリルを掛けている。重唱は、ミラノ・スカラ座公演を何度か経て来ただけあって、細かな点までチューンアップされている上、セラフィン指揮なので カラスも共演者も生き生きと歌っている。オケも合唱も伸び伸びとしていること!

「1957年のカラス」は、実は出来不出来のムラが大きい。いや、さらに2年前から兆候が出ている。

マリア・カラス がムラが大きくなった開始時点 = 1955.07.28「蝶々夫人」カラヤン指揮


である。カラヤンの指揮は、カラスと体質的に全く合わなかったのだ。1957年も6月に「ウィーン国立歌劇場で椿姫」が発表されていたのだが、キャンセルされた。実行されていたらカラスの評価は高かったろうが、この1957年後半の好調が現れたか? それは仮定なので誰もわからないが、私高本は「カラヤンと共演しなかったから半年の好調が戻った」と感じる。「ルチア」だけでなく、「夢遊病の女」もこの時期に「カラス最高の演奏(ケルン)」が現れているし、「仮面舞踏会」も同じ。
 実は、この後録音を除くと「全盛期にイタリア聴衆の前で歌う機会」は半年後の1957.12.07の「ミラノ・スカラ座仮面舞踏会 シーズン初日公演」まで無かった。しかし、1955年にカラヤンに引き摺り回されていたやつれた姿も声もみじんも無い マリア・カラス が「元に戻った声」がここに記録されている。録音は「天吊りマイク1点」録音。充分に美しい。

 では「ボーナストラックの第3幕アリア前半」は何か? ですか?

 次回に詳述します。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 6/12(日)「佐伯周子の... | トップ | シューベルト「高雅なワルツ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

1949-1957のマリア・カラスの全て」カテゴリの最新記事