IT系のWebサイトのキーマンズネットは2020年2月7~21日にわたり「テレワーク環境の整備状況」に関する調査を実施し、その結果をまとめている。
要旨は、①テレワークの導入意図が4割の従業員にしか理解されていない。②テレワークの環境は7割の企業が整えてはいるが、9割の企業は実施に至っていない。③導入の必要性は7割の企業が認識していて、9割の企業が導入計画を立てているとの事。④在宅でのテレワーク実行環境が整っていない。
記事の引用:::::::::::::::::::::::
全回答者数113人のうち、事業部門が49.6%、情報システム部門が33.6%、管理部門が13.3%、経営者・経営企画部門が3.5%。
①前半で、
有事の際の「行動計画の有無」や「テレワーク実施状況」、テレワークテストの「実施有無」に「実施期間」などの調査結果を紹介する。なお、グラフ内で使用している合計値と合計欄の値が丸め誤差により一致しない場合があるので、事前にご了承いただきたい。後半で、テレワークの実施状況の調査結果がまとめてある。
「有事の行動計画があり、従業員も理解している」はたった4割
日本国内での感染症り患者の拡大を受け、全国的に外出や集会を控えるように呼びかけられた。これを機に在宅勤務や時差出勤などの対応に追われた企業も少なくないだろう。
災害時や伝染病流行時などの有事の際、事業や従業員を守る「行動計画」が事前に立てられているかどうかは企業対応の初動に大きく影響が出るところだ。
そこで調査では緊急時の行動計画を策定しているか、行動計画を正しく理解できているかを聞いた。
行動計画が「ない」「分からない」とした回答は26.6%だった。それ以外の7割の企業では行動計画が「ある」ことが分かった。ただし「ある」と回答した中でも、行動計画があることは知っているが「詳細は理解していない」とする回答者が半数近くに上った。実際に行動計画を策定そ、かつ従業員が詳細を理解できている状態にあるのは企業は全体の4割ほどと見られる(図1)。
具体的な事業継続計画としては「在宅勤務や自宅待機時の就業規則の策定」60.2%、「在宅勤務向けの環境整備」54.2%といった在宅勤務の体制構築から着手している企業が多い(図1)。一方、感染症などで業務にあたる人員の縮小時のリカバリー策として有効な「複数業務習得」(クロストレーニング)や「複数班による交代勤務体制」を整備・実施できている企業はごくわずかだった。
7割の企業が環境を整備も全社訓練の経験は過半数がなし
有事の在宅勤務体制構築に着手する企業が多いことが分かったが、テレワークについてはどの程度の体制が整っているだろうか。
今回の調査では、69.0%と全体の約7割の企業がテレワークが実施できる体制を構築していることが分かった(図3)。
テレワークの実施範囲としては「申請すれば実施できるが適用は限定的」が19.5%と「申請すれば誰でも実施できる」17.7%を抑えてわずかながら最多となった。申請の有無を除いて全体を見ても、テレワークを誰もが実施できるとした割合は33.6%にとどまった。一方、部門や職種の制約によってテレワークを実施できる範囲が限定的とした回答は合わせて35.4%だった。
では事前にテレワークの実施訓練はどの程度できているだろうか。
調査では回答者の過半数が「全社でのテストは実施経験がない」と回答する結果となった。
訓練経験のある方からは「“テレワークデイ”などに合わせて全社で実施」「机上シミュレーションのみ」「自社で独自に全社テレワークをテストしている」などの回答が続いた。
テストを実施した経験がある企業によると、テレワークテストの実施期間は「1週間程度」が26.1%で最多となった。次点で「1日未満」が21.7%だった。企業の規模や業態などによって、また従業員のセキュリティやITリテラシーの高さによって実施期間は三種三様変わってくるのだろう。
調査ではこの他、自宅以外の拠点や国内外のリゾート地に拠点を構えて仕事をすることで仕事と休暇の両立ができると昨今注目の「ワーケーション」についての関心度合いを調査した。
ワーケーションを「既に実施している」「関心がある」が合わせて43.5%と一定の興味・関心が確認できた。半面「勤務先が環境を提供しても試すつもりはない」といった意見も32.6%と同程度の回答を集めておりワーケーションについてはまだ賛否が分かれる状況にあることが分かった。
テレワークを試して分かった“3つ”の課題……環境、コミュニケーション、自己管理
テレワークテストを実施したことがある方を対象に、実際に体験してみて感じた課題や感想についてフリーコメントで回答してもらったところ、大きく分けて3つの課題が浮かび上がった。
1つ目はテレワーク時の「自宅環境」に関する課題だ。
仮想デスクトップ(VDI)を利用するケースで特徴的なのが、レスポンスの問題だ。起動時の負荷や通信帯域の問題などが挙げられた。この他にもVPN接続などを利用する場合にも通信環境に問題があり、職場と同等の業務を実施できないという声もあった。他にも、自宅のPC利用環境が不十分で支障が出る、という意見も多かった。
意外だったのが、「在宅環境のモニター画面大きさに難がある」「自宅では印刷ができない」といったハード面での業務制限を指摘する声が多かったことだ。スプレッドシートや業務アプリ操作など、複数のディスプレイを使いたい作業について自宅の個人的な設備だけでは対応しにくいケースがあるようだ。
他にもPCや机や椅子、あるいは暖房光熱費など、長時間業務を遂行できるだけの設備が自宅になく、個人的に調達する必要がある点を危惧する声も寄せられた。
2つ目はテレワーク時の「コミュニケーション」に関する課題だ。
「社内と在宅の円滑なコミュニケーションが課題」「テレワークを好まない層とのコミュニケーションがとりづらい」「リモートでの対応には限界があるため、社内にいるメンバーとの協力が必要」などの意見だ。
中には「まだ顔を合わせることが前提の打ち合せや会議がある」「仕事は事務所でするべきとの古い考え方が支配的な職場が少なくない」など完全にテレワークに移行しきれていないケースも見受けられ、実施にあたってコミュニケーション相手との関係性や調整が必要なケースがまだまだ多いようだ。
3つ目は「テレワーク時の自己管理」の課題だ。
「環境によっては自分の集中力がもたない」「オフィスの方が仕事がはかどる」「仕事と私用のメリハリを自主的にコントロールする必要があるため、注意しないとだらだら作業になる」といった課題感だ。
一部で在宅勤務を「私用時間中に業務のアイデアをひらめきくようなよい効果もある」と評価する声もあったが、総じて自宅から環境を変えることで「仕事モード」に気持ちを切り替えられたり、業務をしている他者に囲まれることにより自身もメリハリをもって業務に集中することができるといったオフィスのメリットが失われる点を危惧する声が多かった。
テレワーク環境の整備は多くの企業が実施している状況だが、本格運用に際して発生するであろう課題についての対策はまだ多くの企業が解決できていない状況であることが分かる。それでも、有事の際の事業継続を鑑みるとテレワーク環境や組織的な体制の整備は必至であり、現場の声を取り入れながら早期に対応していくことは無駄にはならないだろう。
②後半では、
キーマンズネットは2020年1月24日~年2月6日にわたり「会議の実施状況とIT活用」に関する調査を実施した。全回答者数169人のうち、情報システム部門が26.0%、製造・生産部門が21.9%、営業・販売部門が8.9%、経営者・経営企画部門が6.6%といった内訳であった。出張会議の有無やテレワークに焦点を当てて調査結果を解説する。新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止策として注目を集めるテレワークだが、組織制度として取り入れている割合はどの程度か。また、テレワーカーとの会議の実施方法は?
今回は「出張や移動を伴う会議の有無」や「対面会議から遠隔会議への切り替え計画の有無」「テレワーク制度の導入状況」など、主に社外とつなぐ会議の運用実態を調査。なお、グラフ内で使用している合計値と合計欄の値が丸め誤差により一致しない場合があるので、事前にご了承いただきたい。
「会議の実施状況とIT活用(2020年)/後編」サマリー
- 出張や移動を伴う会議の有無
- Web会議システムなどを活用した遠隔会議に切り替える計画の有無
- テレワーク制度の組織導入率
- テレワーカーとの会議の実施方法
問われる出張会議の必要性、7割の企業が「ある」と回答
前編では「会議の参加人数」や「1週間に出席する会議数」「会議に対する課題や不満」について読者に尋ねた。平均的な会議は「数人で1~2時間、週に2~3回」で、会議に対する不満は「1回当たりの会議時間が長い」「参加する会議が多く業務時間が削られる」に回答が集中した。後編では、遠隔会議の実施状況などについて解説する。
はじめに2拠点以上を持つ企業を対象に「出張や移動を伴う会議の有無」を尋ねたところ、「ある」は70%だった(図1)。2019年1月に行った同調査では「ある」と回答した割合は63.5%で、この1年で6.5ポイント増加したことになる。
ただし、前編で触れた通り「結論が出ない会議が多い」「開催するまでもない会議が多い」などの割合は前年度より減少傾向にあり、いわゆる”無意味な会議“は減ってきていることから、出張をしてでも出席すべき会議は残っていても開催頻度は下がっているのではと推察できる。
9割が対面会議から遠隔会議への切り替えを計画
開催頻度は少なくても、出張会議は会議そのものの時間と移動時間がかるため場所によっては1日仕事になることもある。こうした出張会議を遠隔会議にすることで、業務時間の節約にもつながるが、Web会議システムや遠隔会議システムなどに置き換える計画はどのくらいあるのだろうか。
計画が「ある」は76.2%で、「検討中」は12.4%、「ない」は11.4%となり、合算すると88.6%と約9割が遠隔会議への切り替えを検討、計画していることが分かった(図2)。この結果を2019年1月の同調査と比較すると、「ある」が63.5%から12.7ポイント増加した代わりに、「検討中」が6.2ポイント、「ない」が6.5ポイント減少した。ここ1年で遠隔会議への切り替えを検討する企業が増えた。
一方、遠隔会議に「切り替えない」と回答した層にはどういった理由があるのだろうか。理由を尋ねたところ、「対面で話す必要がある会議が多いため」「会社として対面でのコミュニケーションを重視するため」といったコストよりも対面で実施する会議の必要性を訴える回答が多く寄せられた。
コロナウイルス感染拡大防止策で注目のテレワーク、導入率は?
今やアジアだけではなく全世界を巻き込んだ問題となっている新型コロナウイルスだが、国内での感染例も見られ、感染防止のために全社的に業務をテレワークに切り替える組織も出てきた。当アンケートの実施時期もちょうどこの問題で騒がれた時期であった。その状況の中で「テレワークを組織の制度として導入しているか」を聞いたところ、「導入している」と回答したのは全体の約47.3%で、約半数の企業がテレワークを制度として取り入れていることが分かった。2019年1月の前回調査と比べると5.8ポイント増加している。
次にテレワーク制度を導入しているとした層に対してテレワーカーと会議を実施する場合の方法について尋ねたところ、「出社日は対面会議、テレワーク時はWeb会議/ビデオ会議」が63.8%、「出社日に対面会議」が21.3%、「対面会議はなく常にWeb会議/ビデオ会議」が6.3%と続く結果となった(図3)。
今回は主に社外または別の拠点にいる従業員との会議方法に焦点を当てた。チームメンバー、取引先との遠隔なコミュニケーションを考えたときに、対面型会議のメリットは否定できない。しかし、2020年1月に入り新型コロナ感染症が猛威を振るい、遠隔会議を余儀なくされるケースも出てきた。こうした予期せぬ事態に備えるためにも、遠隔地に拠点を持たない企業であっても遠隔会議について考えなければならない時期にきたといえるだろう。また、2020年から商用サービスとして展開が期待される「5G」によって、遠隔会議にどういう影響をもたらすのだろうか。
NYも東京も、3月23日の底から2割上昇し、また、下げている。
まず3カ月で見ると、東京もNYも3月23日が底に見える。1年期間では、更に下の図の様になっていて、3月23日が底には見えない。新型コロナの猛威、収まりそうもないし、底はもっと下に来るのでは?それにしても東京の株価、NYの模倣の様だ。
IT系のキーマンズネットが『Zoomとは? なぜ人気なのか 使い方や機能を試した』とZOOMを解説していた。働き方改革や2020年のビッグイベント時のテレワーク体制の構築などを背景に、あらためてWeb会議を導入する意欲が高まっている。なかでも、後発ながらシェアを伸ばしているZoomミーティングにフォーカスを当て、Web会議のトレンドを追いかけてみたい。
ZOOMで、使ってみて不便と感じるのは、資料を映しだせず、単なる会議としてしか使えない。今や、仮想デスクトップとか、皆で遠隔地から共通の資料を作れる事が出来るのに、今更、と言う感じがする。もっとテレワークという観点から、遠隔ビデオ会議を導入すべきではなかろうか?
Web会議市場の今
遠隔地を映像と音声でつなぎ、円滑なコミュニケーションを実現するWeb会議。専用端末でのビデオ会議に比べて、シンプルな構成で手軽に利用できることが評価され、多くの企業で採用が進む。最近は、社外ミーティングにも利用されるなど、コミュニケーションインフラとなりつつあるのは間違いない。 Web会議と、専用端末を利用したビデオ会議は区別されてきたが、映像や音声を圧縮変換するコーデック処理は通常のCPUでも十分に可能になり、専用ASICでなくとも十分な会議の品質を確保できるものが増えている。もちろん品質面では専用端末の方が優れている場合もあるが、業務の中で活用するにはWeb会議であっても十分なクオリティーで遠隔会議が実施できる。
後発ながらグローバルでWeb会議市場をけん引するZoom
近年は、音声や映像の品質はもちろん、操作性の高いWeb会議ソリューションも登場している。実際に具体的な使い勝手を見ながら、Web会議ソリューションの今を概観していこう。活用するのは、元シスコシステムズのCisco Webex Meetingsを開発したメンバーが立ち上げたWeb会議ベンダー、Zoom Video Communicationsが提供する「Zoomミーティング(以下、Zoom)」だ。
Zoomは、Web会議の仕組みをSaaS型で提供するソリューションだ。基本的にはSaaS型の他のソリューションと同様、インターネット越しでの会議が可能な仕組みだ。「ビデオファースト」という同社の思想にも表れているが、音声はもちろん、映像の品質もこだわる。例えば、コーデック処理は独自の仕様に基づいており、標準的に採用されているH.264 SVCなどをベースに拡張を加え、サーバ側に負荷がかからないよう、デバイス側で最適な品質の映像を選択できる。1つの画面で同時に49人の映像を映し出しても、会議を開催できるほどだ。
通信に関しては、デバイスおよびネットワークの種類や通信状況に応じて最適な処理をダイナミックに行っている点が品質に大きく影響する。同社がグローバルに展開する複数のデータセンタ同士がそれぞれ同期されており、接続先のIPも含めて最適なデータセンタが選択される。ホップ数が増えることで発生しがちな遅延やパケットロスを極力発生させない仕組みだ。
また、映像と音声の品質はもちろん、使い勝手にも特徴がある。会議を開始する際のトップ画面を見ても、そのシンプルさが分かるだろう。機能そのものがアイコン化されており、メインで利用する機能だけが簡潔に配置され、ITツールに不慣れな人でも直感的に操作できるインタフェースだ。