幾つかのマスコミが、数か月前から、中国の不動産第2位の恒大集団が、負債総額3000億ドル(約32兆9000億円)を抱え、支払いが滞っていて、世界経済への影響を警戒していたが、コロナ禍による世界的経済の停滞と相まって、世界的なリッセッションになりはしないだろうか?
まず、恒大集団は、中国政府が推し進めてきた改革開放路線をフルに享受し、280以上の都市で事業を展開し、1996年の創業以来、不動産開発事業で急成長、国内で20万人の直接雇用と380万人の間接雇用で、サッカークラブの広州FCの運営、食品の販売、観光業、インターネット関連サービス、保険、ヘルスケア、子ども向けのテーマパークや電気自動車(EV)と開発多角化を進めている。マスコミによると、中国政府は、不動産投資は一部の富裕層のなせる業で救済はしないだろうという。しかし2点で課題がありそう。1つ目は、400万人ものの失業者で出てこれをどう救済するか? 2つ目は、富裕層の損失序章はないとしても、単純な33兆円の消費力がなくなるという課題がある。
日本の大手企業も。例えば、自動車産業は、中国の購買力に大きく依存しているし、他の製造業も中国にOEMや素材産業で大きく依存しているから、2020年代のリーマンショックならぬ、恒大集団ショックになる恐れが大きいのではなかろうか?
ただ、ロイターの記事では、キャピタル・ジェネレーション・パートナーズのロバート・シアーズ最高投資責任者(CIO)によると、機関投資家が恒大集団向けポジションで過大な借り入れをしていて、流動性危機につながるような兆しは乏しいもようだ。「目下のところマイナスの動きの大半は、中国の不動産セクター内にとどまっている。これがほとんどのヘッジファンドに大きな影響を与えたとは思わない」という。
その一方では、ただ、一部の市場関係者は、米国株が歴史的高値で推移し、米連邦準備理事会(FRB)による大規模金融緩和の巻き戻しが視野に入ってきた中で、突然、リスク許容度が低下すれば世界全体の市場が幅広い売りに見舞われやすくなるのではないか、と懸念している。
1億ドルの資産を運用するハイテク投資専門ヘッジファンドのポートフォリオマネジャー、ロブ・ロメロ氏は「バリュエーションが高まっている点から、われわれは市場に対して非常に警戒的になっている。(恒大集団が破綻した場合に)どの程度影響が広がるか知るのは難しい。われわれは米国市場に耐性がある、という証拠を探している。そうした耐性が発揮されなければ、負の影響が雪だるま式に膨れ上がるリスクが高まる」と指摘した。恒大集団の経営悪化は数カ月前から表面化していたが、20日になって株価が10%余りも下落した。同社が借り入れ状況を安定させない限り、3050億ドルに上る負債が中国の金融システム全体に損失をもたらす恐れがある、と規制当局が警告したためだ。
AFPも、英経済調査会社キャピタル・エコノミクス(Capital Economics)のアジア担当チーフエコノミスト、マーク・ウィリアムズ(Mark Williams)氏は、落としどころとして可能性が最も高いのは「管理された再編」だと指摘。「他の開発業者が、恒大が開発用に保有している土地の権益と引き換えに未完成の物件を引き継ぐことになるだろう」との見方を示したと述べている。しかし、恒大は、香港で上場しているネット事業や地方銀行、中国本土の不動産会社などの保有株を売却してきたが、香港本部ビルの売却では難航している。さらにとみている。「政府としては規律の強化を求めている」がゆえに政府が救済する公算は小さいとしている。
ただアナリストの中には、恒大のような巨大企業の破綻を中国政府が放置する可能性は非常に低いと見る向きもある。体制の安定が損なわれかねないからだ。
恒大のような巨大企業の破綻を中国政府が放置する可能性は非常に低いと見る向きもある。体制の安定が損なわれかねないからだ。一方でウィリアムズ氏は、政府が救済する公算は小さいとみている。恒大は「過剰な借り入れによる成長が許されてきた時代の申し子」だが、「政府としては規律の強化を求めている」と。
ロイターもAFPも、日本のように中国依存度が高くない国の経済から、評論しているが、日本への影響はじわじわとくるのでは?
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます