知りませんでした。あなたが今朝ひっそりと微笑みかけていたなんて。
コンクリートの隙間から、芽を吹いて気の付いたときには20センチ足らずの背丈でした。葉っぱも三、四枚でひ弱なつるをそばにあるものに、必死に巻きつけていましたね。
庭に水撒くたびに、腰をかがめて伺っていましたよ。花芽がついて、何時かは開くだろうと、心ひそかに応援していました。
炎天の八月も、もうすぐ終わりと言う今日、あなたはひとりで、誰にも告げず赤い花開いていたのですね。姉妹の花もこれから ひとつひとつ咲いてゆくことでしょう。
朝に気が付きませんで、本当にごめんなさい。こんな夕暮れでは閉店して、笑顔が見られませんでした。でも一生懸命開いたあかしが、しぼんでも残っていました。紅色のほほ綺麗ですよ。
妹達の、朝のご挨拶に間に合うよう覗いてみますから。