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喜如嘉の芭蕉布「平良敏子展」東京会場から

2007年10月17日 | アート・文化

少し経ってしまったが、先の9月18日に当ブログで紹介した、喜如嘉の芭蕉布「平良敏子展」東京展(銀座時事通信ホール)は、九月三十日に終了し、会期中大勢の来場者で賑わった。

先行した京都会場では無かった、平良敏子さんのお話が聴かれることで、関係者や一般の人たちも毎日、席に溢れ立って聴くほどであった。

平良敏子さんは、八十八歳で、今なお作品の制作をされ、米寿を記念してのこの会は、今までの創作の集大成でもあり展示された170点の作品はどれも心血を注いで制作された芭蕉布の逸品であった。

製作過程は、場内のビデオでくり返し流されていたので、糸芭蕉から、糸にし、織り上げるまで如何に大変であるか良く分かるのであるが、加えてご本人のお話も制作の仕事について、丁寧にご説明された。

もう、芭蕉布を織ることに、ひたむきに今日までやってこられた人だけに、仕事以外の話は一切無く、一途な気持ちだけが伝わってくる。

制作工程の詳細は、ブログでは紹介できないので、代わって会場入り口のご挨拶を写してきた。

>ごあいさつ

昔から 何もかわらず喜如嘉の おばあさんたちや 母におそわったことをまもって 芭蕉布づくりを つづけています

ひとつひとつ昔と同じ方法で芭蕉布をつくって今にいたっています

しかし たくさんある仕事の作業工程の ひとつも息がぬけません

仕事は正直なもので あとから どの様な仕事をしたのかが 布に現れてきます 

ですから偽りのない仕事をすることで これまでお世話になった方々に ご恩かえしをしたいと 毎朝心の中で祈っています

米寿を迎え 喜如嘉の芭蕉布を 皆様にご覧いただけますことは大変な幸せです

                                     平良敏子 

また会場の数ヶ所に、平良敏子さんの気持ちを詩(うた)にして飾ってあった中から、二つばかり紹介する。

「米(ゆに)ぬ年(とし)なていん

肝(おむ)やなき音(わらび)

沙汰(さた)さりる苧芭蕉(うばさ)

残(ぬく)ち いかな」

                      敏子

訳 (米寿を迎えましたが 私の気持ちはまだ若いつもりです

世の人々に評価される美しい芭蕉布を これからも残していきたいものです)

「親父母(うやふじ)ぬ手技(てぃわざ)

守(ま)てちゃる証(あかし)

今(なま)や我が村に

花ゆ咲から」

                敏子

訳 (祖先から守り受け継がれて来た手技を ずっと守って来た証しである芭蕉布は 今では我が村に花咲かせていることよ)

沖縄独特の絣模様は、数百種になるという。また、糸芭蕉を育て、糸にし織り上げるまでの高度の技術と、熟練の手技は、常人には気の遠くなるような話であった。

(平良敏子さんの、芭蕉布の本は会場で売られていた。詳しい工程と作品、ご本人が掲載されている。書店でお取り寄せできると思う。)