国際情勢の分析と予測

地政学・歴史・地理・経済などの切り口から国際情勢を分析・予測。シャンティ・フーラによる記事の引用・転載は禁止。

イラン・イスラム共和国=反米国家という常識を疑ってみる

2006年12月22日 | 中近東地域
現在中東諸国訪問中のイギリスのブレア首相がドバイで、「イランを封じ込めるために、穏健派のアラブ諸国の団結を呼びかけ」たらしい。これは、イスラム原理主義革命国家であるイランと穏健派アラブ諸国の対立を維持し、それによって穏健派アラブ諸国を米国の属国化して石油ドル体制とそれに支えられた国際金融資本・イギリスの米国支配を維持することが目的であると思われる。しかし、イラン大統領は湾岸のアラブ諸国と核技術共有の用意があると12月16日に発言しており、これは核技術共有を通じてイランと穏健派アラブ諸国の友好関係が確立され対立が解消される前兆とも考えられる。 1979年のアフガニスタンとイランではそれぞれ親米・反米のイスラム原理主義が生み出され、レーガン政権は両者に援助を行っていた。このことから、共産主義という思想が国際金融資本によって作り出されロシア革命が国際金融資本の舞台演出と援助により実行されたのと同様に、イスラム原理主義という思想が米国政府によって作り出され、イラン革命が米国政府の舞台演出によって実行されたことが想像される。イラン革命の立役者であったホメイニ師は1979年にイランに帰国する前はフランスに亡命していたが、現在の米国政府はフランスと組んでイギリス・イスラエル連合と戦っているという説もあり、ホメイニ師は米仏両国と緊密な関係にあったのかもしれない。イスラム革命以後のイランと米国の対立は常識だが、実はこれは米ソ冷戦と同様の単なる茶番劇ではないかという大胆な仮説を私は提案したい。 小泉政権の終焉とともに厳しい対立関係にあった筈の日本と中国は急速に接近し、朝鮮半島情勢を巡って協力関係に移行しつつある。江沢民政権時代の厳しい日中対立は実は茶番であり、裏では日中両国は親密な関係にあったと私は想像している。2006年末という同じ時期に日本と中国の対立、サウジとイランの対立が一挙に解消されることで、日本・サウジは自国の安全保障のために米国のプレゼンスを維持する必要性が低下する。更に、膨大な対外資産を米ドル建てで運用している日本・中国・中東産油国がドル建て運用を継続する必要性も低下し、ドルの国際基軸通貨としての地位を一挙に失わせる効果がある。その衝撃によって国際金融資本やイギリスを崩壊させ、米国を彼らの支配から解放することが米国政府の戦略ではないかと想像する。 . . . 本文を読む
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