国際情勢の分析と予測

地政学・歴史・地理・経済などの切り口から国際情勢を分析・予測。シャンティ・フーラによる記事の引用・転載は禁止。

中国政府は自ら共産中国体制を崩壊させ始めた?

2006年12月17日 | 中国
来年1月に中国で刊行される「ラストエンペラー」溥儀の自伝の完全版は、極東国際軍事裁判(東京裁判)での自らの偽証を明確に謝罪し、日本軍と満州国との連絡役を務めた関東軍将校の吉岡安直に罪をなすりつけたと後に反省したことなど、これまでの1964年版では削除・修正されていた部分が盛り込まれ、自己批判色の強い内容となっているという。 これは、満州国=傀儡政権、大日本帝国=犯罪国家という東京裁判史観を完全に否定する重大な内容である。『出版元である北京の群衆出版社は資料整理をしていた04年、64年版の削除・修正前の原稿を発見。「(削除や修正は)過去の様々な理由によるものだが、今、その内容は溥儀の真実の生活を理解し、歴史を認識するうえで研究価値が高い」と判断し、出版に踏み切ったとしている』とのことだが、このような重大な内容の出版が許容されるのは中国政府の意向と見て間違いない。 国際金融資本に支配されたスターリン時代の恐怖政治をロシア人の多くが本心では嫌っているように、中国人の多くも国際金融資本に支配された毛沢東時代の恐怖政治を嫌っているのだろう。毛沢東が晩年に実行した米国・日本との国交回復は国際金融資本が理想とする二極化体制を崩壊させるものであり、それ故にニクソンと田中角栄は国際金融資本の力で政治的に暗殺されたのだろう。日本がABCD包囲網=国際金融資本の封じ込めから脱出する為に自ら大日本帝国を崩壊させた様に、あるいはソ連が西側=国際金融資本の封じ込めから脱出する為に自ら共産主義体制を崩壊させた様に、米国と共産中国は自らを崩壊させて国際金融資本の支配から脱出することを狙っているのだと思われる。 今年9月の新学期から、中国上海市の中学校で使用されている改訂版の歴史教科書は、経済成長や対外国貿易、政治の安定などを重点的に記述、多元化文化の尊重と調和社会の構築を強調し、歴史転換点と見なされていたフランス革命やボルシェビキ(旧ソ連共産党の代名詞)の重要度が下がり、高校の歴史教科書では毛沢東は国葬礼儀を紹介する部分に掲載される程度だという。これも、共産中国を中国政府が自ら崩壊させようとしていることの証拠と思われる。 . . . 本文を読む
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