国際情勢の分析と予測

地政学・歴史・地理・経済などの切り口から国際情勢を分析・予測。シャンティ・フーラによる記事の引用・転載は禁止。

2月17日のコソボ独立宣言はキリスト教とイスラム教の戦争を通じて欧州に反イスラム運動を巻き起こすか?

2008年02月10日 | 欧州
表向きは独仏連合とロシアはコソボ問題で対立している。しかし、ドイツ・フランス・ロシアは英国に対抗する大陸国家連合として緊密な連携を保っており、事実上の同盟関係にあると想像され、裏で何らかのシナリオが立てられている筈である。セルビアとコソボの戦争を回避する為の外交努力がないがしろにされていることから考えて、ドイツ・フランス・ロシアはコソボで戦争を起こすことを狙っているとしか思えないのだ。では、その戦争の目的とは何だろうか?私は以下の三種類を想像している。 1.ドイツ・オーストリア連合による、第一次世界大戦を起こした責任者であるセルビアの弱体化作戦: ロシアがセルビアを支持していることから考えて、この可能性は薄いと想像する。 2.戦争・民族浄化作戦を通じて早期にコソボとセルビアに国民国家を形成させ、バルカン半島を安定させることが目的: このシナリオの可能性は十分あるが、ボスニア戦争の惨禍を経験した欧州が何故コソボに譲歩を迫ると共に住民交換による平和的解決を主張しないのか疑問である。 3.キリスト教とイスラム教の宗教間戦争をコソボで起こすことで、欧州に反イスラム感情を蔓延させて、中近東や北アフリカ出身のイスラム教徒を追い出すことが目的: ボスニア戦争がカトリック+イスラム教vs東方正教会というキリスト教の内戦であったのとは対照的に、コソボの戦争はイスラム教と東方正教会の激突になる。この宗教間戦争と、西欧でのイスラム教徒移民反対運動が結びつくと、カトリックやプロテスタントの間に東方正教会への同情と支援が広まることになる。運動の中心はフランスのルペンに代表される親ネオナチ勢力だが、保守系有権者の広範な支持が期待できる。私は最近、この「宗教間戦争シナリオ」が真の目的なのではないかと考えている。 . . . 本文を読む
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