国際情勢の分析と予測

地政学・歴史・地理・経済などの切り口から国際情勢を分析・予測。シャンティ・フーラによる記事の引用・転載は禁止。

対立し始めた中露関係:ロシア極東を中国から守る防波堤としての台湾

2008年02月25日 | 中国
1月29日の時事通信が伝えるところによると、ロシアの対中兵器輸出がほぼゼロになり、中国が求める最新鋭兵器の輸出にも応じていないという。その一方でロシアはインドには最新鋭兵器を輸出しており、ロシアがインドを友好国、中国を仮想敵国と本格的に位置づけ始めたことが伺える。 2月14日にはロシアのプーチン大統領が記者会見で台湾を国家として賞賛するという異例の発言があった。従来中露は、中国が台湾の独立阻止、ロシアがチェチェンの独立阻止を主張し相互がそれを承認するという関係にあったが、このプーチン大統領の発言はそれを覆すものであり非常に注目される。ロシアの台湾政策が本格的に変更されるかどうかは分からないが、すくなくともその可能性が出てきたことは確実だろう。 このようなロシアの動きの背景には、国際金融資本に対する戦いでロシアが完全勝利を収め、国際金融資本によるチェチェン分離独立運動を完全に封じ込んだという認識があるのだと想像される。そして、国際金融資本に対する戦いでは同盟関係にあった中露両国が、4000kmの長大な陸上国境を有する大陸国家同士として敵対し始めたことを意味すると思われる。ロシア極東は従来から中国人の人口の浸透圧の脅威に晒されており、中国人不法移民に地域が乗っ取られかねないと言う懸念は国境沿い地域で依然として強い。中国は領土問題では台湾問題を最優先としており、現状ではロシア極東の領土奪還を主張する声は世論の一部にはあるものの政府公式見解には出ていない。しかし、もし中国が台湾を回収して統一に成功すれば、その次には19世紀半ばにロシアに奪われた極東の領土の奪還が政治課題に挙がってくることは十分考えられる。ロシアにとっては、台湾問題は極東の領土を守るための防波堤とも言えるのだ。 近未来に在韓米軍が撤退して韓国が中国の衛星国に転落すると、台湾・日本・ロシア極東は中国のより強い圧力を受けることになる。その中で最も脆弱な台湾を中国から守るためにロシアが台湾政策を変更し、台湾の独立を承認するか、あるいは台湾に軍事援助を行うという政策が採られる可能性は十分あるだろう。 . . . 本文を読む
コメント (20)