国際情勢の分析と予測

地政学・歴史・地理・経済などの切り口から国際情勢を分析・予測。シャンティ・フーラによる記事の引用・転載は禁止。

竹島問題が新指導要領解説書に明記されるとの報道は何を意味しているか?

2008年05月23日 | 韓国・北朝鮮
5月18日の読売新聞で、文部科学省が中学校社会科の新学習指導要領の解説書に、竹島を「我が国固有の領土」として新たに明記する方針を固めたというニュースが報道された。この記事に関して韓国政府は激しく日本に抗議したが、日本政府は現時点では方針は未定とし、未来志向の日韓関係のもとでこの問題を政治問題化させる意図はないとしている。日本政府の真の意図は何だろうか? 米国の勢力が徐々に弱体化し世界が多極化していく中で、李明博新大統領は韓国を日本の衛星国にして21世紀を生き延びようとしている。第二次大戦での敗北という犠牲を払って朝鮮半島を切り離して大陸から撤退することに成功した日本にとっては、李明博大統領の路線は悪夢そのものである。そこで、日韓の対立の溝を深めるために竹島問題が利用されたのだと考えられる。「政治問題化させる意図はない」というのは日本側の建前に過ぎないだろう。 本来ならば6月末から7月頃に発表される新学習指導要領の解説書の内容が5月18日の読売新聞にリークされたのも、竹島問題を日韓対立激化のために最大限に活用することが目的であると思われる。今回の韓国政府の激しい抗議にも関らず新指導要領で竹島問題が明記されれば、李明博大統領は立場を失うことになり、対日「実用外交」路線は完全に破綻するからだ。韓国国民は「対日宥和政策が竹島問題での日本の強硬姿勢を生み出した。日本は信用できない国だ」という反日世論でまとまることだろう。 韓国にとって更に大きな痛手は、中国が国際的孤立故に東シナ海のガス田開発問題で日本に譲歩したことである。中国は日本を敵に回さないために尖閣諸島の領土問題でも低姿勢にならざるを得ない。日本は従来は領土問題で中国と韓国の二正面作戦を強いられていたのに対し、今後は韓国だけに集中できることになる。かつての韓国は反日姿勢で中国と協調することができたが、今後は中国が親日路線に転じて、反日の韓国は東アジアで完全に孤立してしまうことになるだろう。それは、同じく孤立した北朝鮮との統一へと韓国を向かわせることになるかもしれない。 . . . 本文を読む
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