国際情勢の分析と予測

地政学・歴史・地理・経済などの切り口から国際情勢を分析・予測。シャンティ・フーラによる記事の引用・転載は禁止。

胡錦濤訪日を採点する

2008年05月12日 | 中国
胡錦濤国家主席の訪日で、福田首相は「パンダを手に入れただけ」と酷評されている。しかし、実際には福田外交は中国に対して大勝利を収めたと言える。 従来中国が強硬姿勢を見せ譲らなかった東シナ海での天然ガス田共同開発問題で、日中両国は日本側の主張に近い線で折り合ったという。具体的な合意内容が公表されていないのは、中国国内での調整が済んでいないからだろう。しかし、予定通り夏前にこの問題が決着すれば、事実上東シナ海での日中の経済水域の境界線が確定することになる。中国が領有権を主張していた尖閣諸島についても、日本の領有権が確定する可能性があり得るだろう。また、胡錦濤国家主席は中国首脳で初めて日本の国連安保理常任理事国入りに肯定的姿勢を示したことも注目される。一方で日本は台湾問題で従来の姿勢を変えておらず、中国に譲歩はしていない。 この二つの問題での中国の対日譲歩は、チベット問題で中国が欧米世論に集中攻撃されるなかで、G8諸国の一員である日本を敵に回すことを避けたい、その為に日中間の懸念事項を解決する必要があるという認識から出たものと言えよう。日本はチベット問題で漁夫の利を得た形になるが、流されたチベット人の血に報いるためにも、未来のチベット独立を支援していく必要があるだろう。 日本のマスコミがこの福田外交の大勝利を報道しないのは、日本国内での報道が中国に引用されて「日本に譲歩しすぎだ」との政府批判が中国国内で燃え上がるのを防ぐことが目的だと思われる。恐らく、天然ガス田共同開発問題が決着する時も福田首相は媚中派としてマスコミに叩かれる、と言うシナリオができているのではないかと想像する。勝利の弊害を恐れるという実に日本的な外交政策だ。 このように、欧米とも中国とも友好的関係を維持するという現在の日本の外交政策は福田政権でも成功を収めている。しかし、中国が今後成長を続ければ欧米と中国の対立は深刻化し、日本はどちらにつくかを明らかにすることを迫られるだろう。それを回避するには、JJ予知夢の言うように中国を分裂させるしかないと思われる。分裂した中国は外国に与える脅威が減少するからである。中国分裂を実現できるかどうか、これからが日本外交の正念場ではないかと感じる。 . . . 本文を読む
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