計算気象予報士の「知のテーパ」

旧名の「こんなの解けるかーっ!?」から改名しました。

平野部にはり付く雪雲の背景

2021年01月09日 | お天気のあれこれ
 冬型の気圧配置の場合は、日本海上の等圧線に注目します。等圧線の走向が縦に並んでいるか、横に傾いているか、それとも「く」の字状に折れ曲っているかによって、雪の降りやすい場所も変わります。


 日本海の等圧線が縦縞になると山沿い中心となる一方、等圧線が「く」の字状になると日本海寒帯気団収束帯の影響で平野部でも大雪となることがあります。

 日本海の等圧線が「く」の字状になった場合の天気図の一例です。日本海の等圧線が見事なまでに折れ曲がっています。



 日本海寒帯気団収束帯は、朝鮮半島北部の山脈によって寒気流が二分され、日本海上で合流する際に形成される風の収束域のことです。要は、二つの流れが合流する帯状(線状)の領域とイメージすると良いでしょう。


 各々の季節風の流れに伴って生じた雪雲が、この収束帯上に集まり、その延長線上の下流側に向かって移動します。まさに、雪雲が大群を成して押し寄せるようなものです。

 天気図上では「く」の字等圧線の折れ曲る所を結んだ線が、概ね日本海寒帯気団収束帯に対応すると考えます。この周辺の衛星画像を見ると、シベリアからの吹き出しに沿う雲列(Lモード)と、これに直交する雲列(Tモード)が見られます。その様子を模式的に描いたのが次の図です。


 ここで、風の向きは高気圧側から低気圧側に向かって(北半球では)等圧線を斜め右に横切る方向として推定されます。これを利用して風の向きを矢印で描き込んでみました。

 日本海寒帯気団収束帯が、北寄りの風と西寄りの風の境界となっている様子が判ります。やがて、各々の流れに伴って生じた雪雲が、この収束帯上に集まってきます。


 この雪雲の大群が収束帯上を下流側に移動していくので、この収束帯の延長線がどこに向かっているのか・・・という点は、天気図を読み解く上でも大切なポイントです。
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