◎奇跡には時を選ばないタイプの奇跡もある
5月下旬になっても気温がエレベーターのように乱高下する気候が繰り返されて、農作物の実りが心配な今年。さらに最近は日本全国で毎日のように震度5クラスの地震が連発し、巨大地震の発生も懸念されるところである。
禅の六祖慧能は、幡(はた)がはためくのを見て、幡がはためいているのでもなく、風がはためいているのでもなく、心が揺れているのだと喝破した。心が揺れている人が多いのだ。
古代ローマの初期は占星術が皇帝の座の行方を左右する重要なファクターだった。皇帝自身が占星術が大得意だった者も、ハドリアヌス、ティベリウスなど何人かいた。ただし自分のホロスコープをオープンにした皇帝は初代アウグストゥスとセプティミウス・セウェルス(在位193年-211年)だけだった。セプティミウス・セウェルスは、皇帝位につくことを正当化するために占星術を利用した。
自分のホロスコープをオープンにした場合、退位時期、病気の時期、死亡時期、結婚時期、離婚時期がわかることになり、無数のステイク・ホルダーによって、邪魔な者は暗殺したり好ましいものは推挙したりなどあらゆる策動が動くものだからである。
ただし、すべての占星術師の未来予言が当たったわけではなく、見事はずれて死なないなずなのに暗殺されたり、はずれ予言のとおり動いて失敗したとされる人物も少なくない。当時は秘密警察の犯罪捜査に占星術が積極活用されていたそうだから実情は推して知るべし。
古代ローマ初期のキリスト教がまだ国教でなかった時代、占星術は何度も禁令を出されるほど影響が大きかった。
あのレーガン大統領は、女占星術師ジョーン・キグリーに、政治や経済などの重要事項を相談していたという。皇帝や独裁者の孤独はいつの時代も変わらない。それゆえに占星術にまつわる悲喜劇が起こる。
世俗トップとして、彼らこそが神仏を知らねばならないが、それには、まずはわれら平民一人一人が神仏を知っているのが当たり前にならないといけない。
また奇跡には時を選ばないタイプの奇跡もあることを承知しておいた方がよいだろう。