お盆が過ぎた。
16日は一日雨で、送り盆のお墓参りには行かなかった。
9月3日が父の命日だから、そのときでよいと母が言うので、取りやめたのだ。
お盆が過ぎたら、すぐに秋の気配が近づいてくるだろう
一昨日、百合が原公園へ行ってみた。
駐車場について車のドアを開けた途端、百合の香が漂っている。
百合の群生を期待して中へ入ると、近くにいくつか咲いている箇所はあったけれど、殆どは花が終わって、摘み取られていた。
あんな少しの花であれだけの香りを放つとは、ほんとうに百合ってすごいな~と思う。
もう少し早く来るのだった。
摘み取られた花が咲いているときに来ていたら、きっと、素晴らしい香りに包まれただろう。
夫の実家を初めて訪ねたときのこと。
夫の両親や近くに住んでいる姉妹とその家族に会ったりして、すっかり疲れてしまい、夫が使っていたという部屋でうとうとと眠ってしまった。
目が覚めてみると夫がいない。
慣れない家に一人残されて心細い思いで泣きそうになっていた。
すると、廊下から甘い香りが漂ってきて、すぐに夫が現れた。
手には、見事な白い百合が一本。
たった一本で、部屋に満ち溢れるような芳香だった。
地元の山に自生している山百合だという。
私が眠っている間に採って来たのだ。
もう時期も終わりで、一本しか見つからなかったそうだ。
嬉しかったけれど、一人にされた腹立たしさで、素直にありがとうと言えなかった。
あの後、あの百合はどうしたろう・・・
きっと、花瓶を借りて飾ったのだろう。
あれから39年、波乱万丈とは程遠い、平穏無事な生活を送ってきた。
ひとえに寛大な夫のお陰だ。
これからも二人で、今まで通り生きて行きたいと、心から思う。
あらら、百合を見て、何だかじんとしてしまった