最近、フレイルという言葉をよく聞くようになりました。
そこで今日はフレイルの概要について調べてみました。
「フレイル」
フレイルとは、日本老年医学会が2014年に提唱した概念で、健康な状態と要介護状態の中間に位置し、身体的機能や認知機能の低下が見られる状態のことを言います。
「フレイルの構成要素」
フレイルは、・筋力低下などの身体的要素、
・認知症やうつなど精神的・心理的要素、
・独居や経済的困窮などの社会的要素で構成されます。
従って、フレイルの進行を予防するためには、これらの3つの側面から総合的にみて対応する必要があります。
「フレイル・サイクル」
①加齢などにより筋力や筋肉量が減少すると活動量が減り、エネルギー消費量も低下します。
②更に、その状態では食欲が湧かないので食事の摂取量が減り、タンパク質をはじめとした栄養の摂取不足による低栄養の状態になります。
③低栄養の状態が続くと体重が減少し、筋力や筋肉量が減少していきます。
こうした悪循環をフレイル・サイクルと呼び、転倒や骨折あるいは慢性疾患の悪化をきっかけとして要介護状態になる可能性が高くなります。
「フレイルのチェック項目」
下記の3項目以上に該当すればフレイルと判断され、1~2項目では予備軍と判断されます。
・体重減少・・・6か月で2~3kg以上の体重が減少した
・筋力低下・・・ 握力が「男性で26kg以下、女性で18kg以下」である
・疲労感・・・・「ここ2週間で、わけもなく疲れたような感じがする」など
・歩行速度・・・通常歩行速度が「1.0m/秒」以下である
・身体活動・・・(1)軽い運動・体操をしていますか?
(2)定期的な運動・スポーツをしていますか?
上記の2つのいずれも「していない」と回答した場合
「原因」
フレイルは、齢に伴う以下のさまざまな心身の変化と社会的、環境的な要因が重なりあうことにより起こります。
「フレイルの原因となる例」
●動くことが少なくなる
●社会的に交流する機会が減る
●身体機能の低下(歩くスピードの低下)
●筋力が低下する・筋肉量が減る(サルコペニア)
●認知機能の低下
●疲れやすくなる
●元気が湧かなくなる
●日常管理が必要な慢性疾患(糖尿病、呼吸器疾患、循環器疾患、関節炎、抑うつ症状など)にかかる
●体重が減る
●低栄養になる
●収入が減る
●孤独になる
これらの要因を放置していると、より虚弱な状態に陥り、フレイルから要介護状態へと移行することになります。
「予防」
フレイルを予防するには、健常な段階から生活習慣病の進行を予防をしながら、運動機能・認知機能の低下を防ぎ、社会的に関わりを保ち続けることが大切です。
・持病のコントロール
既に糖尿病、心臓病、腎臓病、呼吸器疾患などの慢性疾患がある場合には、まず持病を悪化させないようにすること。
・日常生活に運動を
生活習慣病を予防したり、運動機能を維持するためには、日常生活で運動習慣を取り入れること。
・低栄養はフレイルを起こす最大の要因
高齢者は食が細くなって、満腹感があっても栄養が十分に摂れていなかったり、さっぱりしたものばかりを食べて、体を維持するために必要な栄養素が不足したりします。
特に一人暮らしの高齢者は、食事の品数も減り、食べる食材も偏り、食欲が低下しがちで、低栄養状態に陥りやすくなります。
・社会とのつながりを
趣味のサークルなどで新たなつながりを作ったり、地域のボランティアなどで貢献する役割を担うことで、人との関わりを保ち続けることはフレイルの進行予防になります。
要介護に陥らないように、いつまでも健康を維持したいですね。