らいちゃんの家庭菜園日記

家庭菜園、家庭果樹栽培及び雑学日記

「エンゼル・トランペット」の花と毒

2009-10-31 | 

今日は大きなラッパ状の花を咲かせる「エンゼル・トランペット」についてご紹介します。

この花の正式名は「ブルグマンシア・スアウォレンス」と言い、「エンゼル・トランペット」の名称は園芸名で、和名では「キダチチョウセンアサガオ(木立朝鮮朝顔)」というそうです。

「エンゼル・トランペット(キダチチョウセンアサガオ)」は、ナス科、チョウセンアサガオ(朝鮮朝顔)属の小低木です。
原産地はブラジルで、南米のチリやペルーの標高2000~3000mの高地に分布しており、日本には、江戸時代に「チョウセンアサガオ」として渡来したと言われ、
医師の華岡青洲が日本で初めて乳がんの手術に麻酔剤に使った植物として知られています。

・大阪南部:熊取町の長池公園の遊歩道に咲いているエンゼル・トランペットです。


「エンゼル・トランペット(キダチチョウセンアサガオ)」の草丈は、大きいものでは4~5mになり、花径15~20cmのトランペット状の花を葉腋(葉が茎についている部分)から下垂して咲かせます。

・花の下から撮影しました。アサガオの花によく似ています。


花期は春から秋の長期にわたり、花は夕方開き、花色は淡黄色から白に変化していき、強い麝香(じゃこう)のような芳香があります。

・きれいな淡いピンク色をしています。


この花には夾竹桃やノウゼンカズラと同じ種類の猛毒のアルカロイドがありますので、家庭での栽培については取り扱いに注意が必要です。

・猛毒のアルカロイドが含まれているといわれるエンゼル・トランペットの葉です。


農林水産省HPでは、この花の栽培について次のように注意しています。
 『キダチチョウセンアサガオ(エンゼルトランペット)の種子や葉にはヒヨスチアミンやアトロピンという猛毒のアルカロイドが含まれており、鎮痛薬などの原料に用い
 られますが、毒性が激しいので一般家庭での使用は避けてください。
 種子や葉による中毒症状は、狂乱状態などを呈し、強く症状が出ると死に至ることがあるので、観賞用に栽培する際は取り扱いに注意が必要』
 と、注意喚起しています。





もう一つの名月「十三夜」

2009-10-30 | 雑学

今夜は旧暦9月13日の「十三夜」です。
そこで今日は、10月3日の「十五夜(中秋の名月:今年は10月4日)」の記事に続き、もう一つの名月「十三夜」の月見についてご紹介します。

日本では古くから秋の名月を鑑賞する「お月見」の風習がありますが、この「お月見」と言えば、旧暦8月15日の十五夜(中秋の名月:今年は10月4日)ですが、日本では旧暦9月13日の[十三夜]もまた美しい月であると重んじられてきました。

「十五夜(中秋の名月)」は、元々中国で行われていた行事が日本に伝来したものですが、この「十三夜」の月見は日本独特の風習です。
この「十三夜」の月見については、一説には、宇多法皇が9月13日の夜の月を愛でて、「無双(ふたつとないこと)」と賞したことが始まりとも、醍醐天皇の時代の919年(延喜19年)に開かれた、観月の宴が風習化したものとも言われています。

・「十三夜」のお月見のお供えです。(ウィキペディアより)
ファイル:Tsukimi,moon-viewing-party,japan.JPG

旧暦8月15日の「十五夜」を「中秋の名月」と呼ぶのに対して、1ヶ月遅れのもう一つの名月、旧暦9月13日の「十三夜」は「後の月(のちのつき)」と呼ばれています。
また、「十五夜」の月には、サトイモなどを供えることが多いことから「芋名月」と呼ばれますが、「十三夜」の月には、栗や豆を供えることが多いため「栗名月」或いは「豆名月」とも呼ばれています。

一般に、「十五夜」の月を見たら必ず「十三夜」にも月見をするものとされています。
その理由は、「十五夜」だけでは「片見月」といって、縁起が悪いと嫌われていました。
昔は、芋も豆も栗も主要な食料だったので、「十五夜」と「十三夜」の両方を祝ってこそ、完全な畑作の収穫祭になるとされ、収穫儀礼として手抜かりがないようにと言い伝えられているものです。


・「十三夜」を詠んだ芭蕉の句をご紹介します。
  「木曾の痩せも まだなほらぬに 後の月」  芭蕉
   (きそのやせも まだなほらぬに のちのつき)
  (訳) ひと月前に姥捨山の名月をめでた木曾の旅から帰ったばかりで、まだ旅痩せも治らぬのに、今宵はこうして皆と「後の月(十三夜の月)」を楽しんでいる 
      自分だ。

10月3日に「十五夜」のお月見をされた方は、「片見月」とならないように、今夜の「十三夜」のお月見も忘れずにしましょうね!


 


ローズマリーの花

2009-10-29 | 
今日は名前が素敵な「ローズマリー」の花をご紹介します。

ローズマリーはシソ科、ロス・マリヌス属のハーブで、一年中ツヤのあるグリーンの葉が絶えない常緑性の低木です。
原産地は地中海沿岸地方で、日本には江戸時代に渡来し、マンネンロウという別名がついています。

名前の由来は、花の色・形を「海の雫」に例えたもので、「海のしずく」を意味するラテン語のロス・マリヌス(Rosmarinus)からといわれています。
即ち、ローズ(rose)は露や雫を意味するラテン語の「ros(ロス)」、マリー(mary)は海を意味するラテン語の「marinus(マリヌス)」に由来し、愛や貞節の象徴とされているそうです。
日本でもローズマリーのことを「海の雫」と呼ぶことがあるそうです。

・大阪南部、熊取:長池公園のローズマリーの花です。


ローズマリーの密生する針状の葉は芳香を放ち、酸化防止・殺菌作用があるため、魚介類や肉料理の臭い消しなどに利用されています。
特に、羊料理には欠かせないそうです。

・花に覆われたローズマリーの木です。


春先から11月にかけて、青や淡紫色、白やピンクの唇形の花を咲かせます。
花の大きさは1cmほどの小さなものですが、たくさん穂状につきます。

・小さいですが可愛い形をした花です。


葉は線形で裏面に綿毛があり対生しています。
乾燥保存しておくと香りも飛ばずに長期間保存が可能といわれています。

・松の葉のようなローズマリーの葉です。


ハーブであるローズマリーは、エッセンシャルオイル(精油、即ち植物から抽出した芳香を持つ揮発性油で香料などに用いられる)としても用いられ、肌を強化し、たるんだり、しわのある肌を引き締め、甦らせる効果があるといわれています。

また、消化促進や神経安定作用があるので入浴剤などにも利用されているようです。
更に、酸化防止剤になるため防腐や老化予防の効果があるとされ、若さを保つハーブと呼ばれているそうです。



シイタケ栽培(収穫)

2009-10-28 | 家庭菜園

今日は2回目のシイタケの発生が始まった、我が家のシイタケ栽培についてご紹介します。

一昨年(平成19年)の2月に、クヌギの木にシイタケの菌を植え付けた「ほだ木(シイタケの原木)」を8本を作り、シイタケ栽培を始めて2年7ヶ月が経過しました。
この「ほだ木」による最初の収穫は昨年10月頃で、シイタケの発生は今年の3月頃まで続きました。
そして先日、2回目のシイタケの発生がこのように始まったところです。

・これが一昨年(平成19年)の2月に作ったシイタケの原木で、10月から再び発生し始めた我が家のシイタケ栽培です。


シイタケの発生は、通常2夏を過ぎた11月頃から翌年の3月くらいまでのようです。
その後は、当初から3~4年間は収穫ができ、「ほだ木」の大きなものでは5年くらい収穫が期待できるといわれています。

我が家の最初のシイタケの発生も、書物に書かれているとおり、2夏過ぎて、1年9ヶ月ほど経過した昨年の10月であり、収穫は今年の3月頃まで続きました。

・こちらは今年3月のシイタケの発生状況です。


ところが、春先からの気温の上昇とともに、発生が全く見られなくなりました。
このため、この「ほだ木」による栽培が終了したと思い、そのまま放置していたところ、10月になって再び発生し始めたものです。

・自家製では、このように分厚く大きな傘のシイタケも収穫できます。


我が家のシイタケ栽培では、1本の原木に40~50個の種駒を植えつけた「ほだ木」を8本作りましたが、その内の2本は現在まで全くシイタケの発生が見られません。
シイタケ菌が死滅していなければ、この後、発生するものと思いますが、どうでしょうか?

・このシイタケもあと数日で、分厚く傘の大きいシイタケに成長します。


我が家では、庭の北側の日陰で栽培していますが、それでも乾燥しやすく、ジョウロでの水遣りが欠かせません。
住宅地でのシイタケ栽培は多少無理があるのでしょうが、それでも、発生を継続、増加させるために、毎日「ほだ木」に水をかけて吸水させたり、「ほだ木」の上下を入れ替える「天地返し」をしながら、引き続き、栽培管理をしているところです。



「読書週間」始まる

2009-10-27 | 雑学
今日から11月9日までの2週間は「読書週間」です。
そこで、今日はこの「読書週間」について調べました。

読書週間とは、良書の普及、読書の奨励を目的として設定された週間で、10月27日から11月9日までの2週間を言います。

社団法人読書推進運動協会によると、読書週間の由来は次のように述べられています。
終戦間もない昭和22年、未だ戦火の傷痕が至るところで残っている中で、「読書の力によって平和な文化国家をつくろう」という決意のもと、出版社・取次会社・書店と公共図書館、そして新聞・放送のマスコミ機関も加わって、11月17日から、第1回「読書週間」が開催されました。
その時の反響が素晴らしく、「1週間では惜しい」との声が集まり、翌年の第2回からは、期間を文化の日を中心とした10月27日~11月9日の2週間と定められました。
その後、この運動が全国に広がっていくとともに、日本の国民的行事として定着したと述べられているそうです。

・今年のポスターと標語です。
     

・標語
   「思わず夢中になりました」


近年、子供から大人に至るまでの全ての年代で、読書離れ、活字離れが進んでいるといわれています。
読書世論調査によると、1ヶ月に読む書籍は平均1.5冊で、「最低1冊は読む」人の割合が5割を切ったそうです。

読書は言葉を磨き、想像力を養うとともに表現力や創造力、コミュニケーション能力を高めるなどの効果があります。
素晴らしい本との出会いによって新しい世界を知ることができます。
また、その世界に浸ることにより、豊かな感性が湧き上がり、人生をより深く生きる力を身につけることもできます。

読書離れ、活字離れを感じている皆さん!
この読書週間を契機として、読書の習慣を取り戻してみようではではありませんか?




「メキシカン・セージ」の花

2009-10-26 | 
この時期、あちらこちらでよく見かけるこの花を、読者の皆さんは見られたことがありますよね。
私も散歩の途中よく見かけ、いつも気になっていた花です。
しかし、どうしても名前が分かりませんでしたが、先日、ホームセンターの花売り場に展示されていたのを見つけ、「メキシカン・セージ」であることが判明しました。
そこで、今日は、この「メキシカン・セージ」について調べました。

・熊取:長池公園の遊歩道に咲いている「メキシカン・セージ」の花です。


「メキシカン・セージ」は、しそ科サルビア属の多年草で、メキシコから中南米が原産地と言われています。
草丈は1~1.2mくらいになり、10月~11月にかけて長い花穂を伸ばして、赤紫色のビロードのような花を咲かせます。

・傍で見ると、ビロードのような柔らかい感じがよく分かります。
 紫の花のように見えているものは蕚片で、その先についているピンクや白色の小さなものが花です。


この花の学名は、サルビアレウカンサと言いますが、日本ではメキシカン・セージ、またはアメジストセージといわれています。
アメジストとは「紫水晶」のことで、この花が宝石のアメジストのような色をしていることからつけられた名称のようです。

・葉は対生して細長く、裏は軟毛に被われています。


・30㎝もある長い花穂が、このように一箇所にまとまって咲いたときの「メキシカン・セージ」の花は大変見応えがあります。


セージには、ハーブとして料理やスープなどに使われる種類や疲労回復・消化促進などの効能も謳われている薬用サルビアという種類もありますが、メキシカンセージにはハーブとしての効能は余りないことから食用には適さず、ポプリやドライフラワーとして利用されることが多いようです。

(参考)
 ポプリとは、ハーブ類の植物の香りある葉・樹脂・花弁などを乾燥させて混ぜ、香料を加えたものだそうです。




「キイジョウロウ・ホトトギス」の花

2009-10-25 | 

今日は「山里の貴婦人」といわれる珍しい花、「キイジョウロウホトトギス(紀伊上臈ホトトギス)」の花をご紹介します。

「キイジョウロウホトトギス(紀伊上臈ホトトギス)」は、ユリ科ホトトギス属の多年草で、原産地は日本です。
この花の名前の由来は、紀伊半島に自生することから紀伊、そして、上臈(ジョウロウ)とは、江戸幕府大奥の職名で、御殿女中の高級の者に使われ、優雅な貴婦人と言う意味からこの名前がつけられたようです。

・これが「山里の貴婦人」といわれる珍しい花、「キイジョウロウホトトギス(紀伊上臈ほととぎす)」の花です。


(参考)
上臈(ジョウロウ)の「臈」とは、仏教では僧侶の出家後の年数のことで、その年数を積んだ高僧を上臈(ジョウロウ)言い、他にも、身分や地位の高い人で、貴公子や貴婦人のことを言います。
江戸幕府では大奥の職名として、御殿女中の高級の者に使われました。



この花は紀伊山地の固有種だそうですが、山野草ブームで乱獲されたため環境省の絶滅危惧種に指定されています。
このため、和歌山県のJR周参見駅から20kmほど山間に入った、県道すさみ古座線沿いの、すさみ町佐本地域では30年前から保護に努めており、「キイジョウロウホトトギスの里」として知られているそうです。

・花の内側を撮影するため、「キイジョウロウホトトギス(紀伊上臈ホトトギス)」の花を支柱で持ち上げて撮影したものです。
 花の内側にはホトトギスと同じような紫褐色の斑点があります。


この花は、ホトトギスの仲間で黄色花の品種です。
花は釣鐘のような形で、茎は垂れ下がって40~50cmになり、葉は披針形で先端が尖っています。

・これが我が家の鉢植えの「キイジョウロウホトトギス(紀伊上臈ホトトギス)」の花です。


我が家では、数年前に親戚から茎を少しもらって挿し木をしました。
昨年、初めて一輪咲きましたが、開花まで4~5年要したように思います。
「山里の貴婦人」と呼ばれるだけあって、優雅に咲いた花はとてもきれいです。




神無月と出雲大社

2009-10-24 | 雑学

10月は旧暦で「神無月」と呼ばれています。そこで、今日は「神無月」と出雲大社」について調べました。

「神無月」とは
その由来には諸説あるようです。
1.「神無月」は、神を祀る月であることから、「神の月」とする説が有力とされています。 
  (「神無月」の「無」は「水無月」の「無」と同じく、「の」を意味する格助詞「な」ということのようです)
2.他には、10月に全国の神々が出雲大社に集まり、諸国に神がいなくなることから「神無月」になったとする説があります。
3.また、雷の鳴らない月で「雷無月(かみなしづき)」が転じて「神無月」になったとする説。
4.新穀で酒を醸す月なので「醸成月(かみなしづき)」が転じて、「神無月」になったとする説などがあります。

・出雲大社です。(出雲大社HPより)


「出雲大社に神が集まるのは何故?」
神々が出雲に集まる理由は、日本国土を開発した神様である大国主大神が自分の息子や娘を各地に置き、その地の管理を任せたことに由来すると言われています。古事記や日本書紀には、出雲系の神々が日本中で活躍していたことが描かれているようです。

全国の息子や娘たちの神様は、年に1度出雲に戻ってきて父神である大国主大神に報告をし、来年の予定の打ち合わせのほか、全国の人間の運命についても話し合いをするそうです。

出雲の大国主大神といえば「縁結びの神様」といわれますが、この縁結びは単に男女の仲を結ぶだけでなく、人間が立派に成長するように、社会が明るく楽しいものであるように、全てのものが幸福であるようにと、お互いの発展のための繋がりが結ばれることのようです。
この「むすび」の御霊力(みちから)をそそいでくれる神様であることから、出雲大社は「縁結びの神」として信仰されているといわれているようです。(出雲大社HPより)

この神様の会議は旧暦10月11日から17日までの間に出雲大社で開かれ、次に佐太神社に移動して10月26日まで会議が続きます。
このため全国の神社では神様がいなくなる事から「神無し月」といわれますが、出雲大社と佐太神社ではその期間は「神在祭り(かみありまつり)」が行われるそうです。

・佐太多神社ご本殿三社です。(佐太多神社HPより)
御本殿三社

(余談)
神様が出雲に行って留守の間、「留守神」と呼ばれる留守番をする神も考え出されるようになりました。
一般に「留守神」には「恵比須神」が当てられ、10月に「恵比須」を祀る恵比須講を行う地方もあるといわれています。(ウィキペディアより)




「霜降(そうこう)」と「木枯らし」

2009-10-23 | 季節

今日は二十四節気の一つ「霜降(そうこう)」です。
そこで、今日は「霜降」と「木枯らし」についてご紹介します。

「霜降」とは、露が冷気によって霜となって降り始める頃のことで、楓や蔦が紅葉し始める頃です。
大阪地方ではまだ霜が降りる頃ではありませんが、今朝のニュースでは、北海道の札幌で今年初めて霜が降りたことが確認されたそうです。

この「霜降」で、暦の上での「秋」も終わり、次の二十四節気は、いよいよ冬の到来を.告げる「立冬」を迎えることになります。

「木枯らしの定義」
通常、「霜降」のこの日から、立冬(今年は11月7日です)までの間に吹く寒い北風を「木枯らし」と呼びますが、気象庁では10月半ばから11月末にかけて西高東低の気圧配置になった時、北よりの8m/s(㍍毎秒)以上の風が吹くと、その風を「木枯らし」と認定しているようです。

そして最初の木枯らしを「木枯らし1号」として発表しています。
この発表は、気象庁による東京地方と、大阪管区気象台による大阪地方に限られており、その他の地方では発表がありません。
また、理論上、木枯らし2号や3号もありますが、発表は行われません。
因みに昨年の木枯らし1号は、東京地方は11月1日、大阪地方は11月18日でした。


「霜降り」を詠んだ和歌を1首ご紹介します。

 ・「葦辺行く 鴨の羽がひに 霜降りて 寒き夕(ゆうべ)は 倭(やまと)し思(おも)ほゆ」 志貴皇子(しきのみこ) (万葉集64)
  (釈:葦の生えた水辺を行く鴨の羽に霜が降って、こんな寒い夕暮れには大和のことを思います。)
  (羽交(はがひ)は、鳥の左右の羽が重なり合ったところです。706年(慶雲3年)に難波宮にいた志貴皇子が、京のことを思って詠んだ歌です。)


(参考)
 志貴皇子(しきのみこ)(668年~716年)は、飛鳥時代から奈良時代初期にかけての皇族です。
 父は天智天皇(中大兄皇子)ですが、第3皇子とも第7皇子とも言われた皇族だったため、皇位継承とは全く無縁で、政治より和歌などの文化の道に生きた人だった
 ようです。



藤袴の花

2009-10-22 | 

今日は秋の七草の一つ「フジバカマ(藤袴)」をご紹介します。

「フジバカマ(藤袴)」はキク科ヒヨドリバナ属の多年生植物で、原産地は中国といわれています。
日本には、奈良時代に香料として唐から渡来し、その後、野生化したようです。

・畑に咲いている藤袴の花です。 


藤袴は10月~11月にかけて小さなピンク色の花をたくさん咲かせます。
名前の由来は、花の色が藤色で、花弁の形が袴に似ているところからつけられたといわれています。

・蕾は濃い赤紫で、花が開くと薄いピンクになります。


藤袴は、生木には香りはありませんが、刈り取った茎葉を半乾きの状態にすると、桜餅のような甘い香りがします。
これはクマリン、クマリン酸、チモハイドキノンによるもので、中国では花の一枝を女の子の簪(かんざし)にしたり、香り袋として身につけていたようです。
日本でも、平安時代の女性はこれを干した茎や葉っぱを洗髪に利用したり、香り袋に入れて十二単にしのばせたりしたそうです。

・フジバカマの葉は3分裂するのが特徴となっていますが、全ての葉がそうとは限りません。


「薬草としての藤袴」
蕾をつけた藤袴を採取し、2~3日干して乾燥させたものが生薬名の蘭草(らんそう)と言われています。
それを煎じたものを、1日数回お茶代わりに飲むと糖尿病の予防に有効といわれています。
また、適量の蘭草(らんそう)を布袋に入れて、鍋などで煮出してから風呂に入れて入浴すれば、入浴剤として保温、肩こり、神経痛に有効といわれ、皮膚のかゆみがあれば布袋でこすると効果があるそうです。


「藤袴」を詠った歌を3種ご紹介します。
・ 「萩の花 尾花 葛花 なでしこの花 女郎花 また藤袴 朝貌の花」  山上憶良 (万葉集・巻八 1538)
 この歌は、「秋の七草」の由来になったといわれている有名な 歌です。

・「やどりせし 人のかたみか 藤袴 わすられがたき 香ににほひつつ」  紀貫之 (古今集)
 (家に泊まって行った人の残した形見か、藤袴。忘れがたいと香りを残して)

「なに人か きてぬぎかけし 藤袴 くる秋ごとに 野べをにほはす」  藤原敏行 (古今集)
 (着ていた服を脱いで掛けたのは誰? 秋が来るたびに野辺に良い香りを漂わせて)