福良雀
「福良雀」、この漢字を何と読みますか?
「ふくりょうすずめ」ではありません。
「ふくらすずめ」と読みます。
「ふくらスズメ」とは、広辞苑では、
①肥えふくれたスズメの子。また、寒気のため全身の羽毛を膨らませたスズメ。
②紋所・文様の一。羽を伸ばしたふくら雀の正面から見た姿を図案化したもの。
③女の髪の結い方の一。以下略。
他5項目まで説明しています。
辞書に説明しているように、「福良雀」は、寒気のため全身の羽毛を膨らませたスズメを言い、家紋や縁起物にもなっています。
そこで今日は「福良雀」について調べました。
「ダウンを着た雀」
福良雀は、冬になると外でまんまるに膨らむ雀のことを言い、見た目がふっくらしていることからその名前が付けられたようです。
これは寒さから身を守るために自分で羽の中に空気の層をつくり、まるでダウンを着たような温かさを作り出す、言わば雀の防寒対策なのです。
・寒さ対策でふくれている「福良雀」です。
「縁起物」
福良雀は、まるまるとした姿から、「豊かさや繁栄を象徴する縁起物」とされています。
雀は元々、「厄をついばむ」とされ、一族繁栄・家内安全の象徴とされており、特に冬の雀はふくふくと肥えふくれたその姿から、食物に飢えることなく子孫繁栄していくようにと願いが込められていることから、縁起ものとしても大変喜ばれているそうです。
更に、縁起が良いということから、お見合い、結納、成人式といった祝い事の際に女性が着る着物の帯の結び方に「ふくら雀」と言われる結び方があったり、福良雀が描かれている着物や帯などもあるということです。
・縁起物の福良雀の置物です。
「伝承」
縁起の良い福良雀には、次のような伝承があります。
お百姓さんにとって、田んぼのお米を食べてしまう雀は迷惑で疎ましい存在でした。
しかし、豊作の年には、お百姓さんも雀が食べる程度のお米に目くじらを立てることはありません。
雀も米を啄んで、ふっくらと太ることができることから、『福良雀がみられると豊作の年』と言われ、福良雀が豊かさの象徴になったという言い伝えがあるということです。
福良雀には、「食べるものに困らないように」「豊かに暮らせるように」という願いが込められているようです。