美人を形容する言葉に「立てばシャクヤク、座ればボタン、歩く姿はユリの花」があります。
この言葉は、美しい女性の容姿や立ち居振る舞いを花にたとえて形容したもので、江戸時代の滑稽本・洒落本の中にあるようです。
この3つの花の
・芍薬(しゃくやく)は、すらりと伸びた茎の先端に美しい花を咲かせることから、すらっとした美しい女性をたとえており、
・牡丹(ボタン)は枝分かれした横向きの枝に花をつけるため、まるで美しい女性が座っているかのように見えるさまを表現しています。
・そして、百合(ユリ)は風を受けて揺れるさまから、女性が優美に歩く姿のようだと比喩しています。
今日はこれらの花の中から「ボタン」についてです。
「ボタンの由来」
牡丹は、ボタン科ボタン属の落葉性低木で、華やかでシャクヤクに似た大輪の花を咲かせます。
その美しさから、「百花の王」とも呼ばれており、多くの人々に長く愛されています。
名前の由来の「牡丹」は原産国である中国の漢語からで、「牡」はオスを意味し、「丹」は赤色の意味で、雄しべや雌しべが花弁になることからつけられたとされています。
そして、わが国には、ボタンは8世紀に中国から薬用植物として渡来したといわれていますが、その後、観賞用にも栽培されるようになり、江戸時代には数多くの観賞用の園芸品種が生み出されました。
「二十日草の由来」
そのボタンの別名には、名取草、「深見草」「夜白色草(よしろいろぐさ)」など、いろいろありますが、その一つに「二十日草(はつかぐさ)」と言う別名があります。
この「二十日草」という呼び名は、唐の詩人白楽天の漢詩「牡丹芳(ぼたんほう)」に由来すると言われています。
漢詩の一部に以下の一節があります。
「花開花落二十日、一城之人皆若狂」
(花開き花落つ二十日、一城の人皆狂ふが若し
読み:(はなひらき はなおつにじゅうにち いちじょうのひと みなくるえるがごとし)
語訳:花が咲いて花が落ちる、その間二十日、 城中の人は皆、牡丹の花にとりつかれたようだ。
更に、牡丹が二十日草と呼ばれるようになったのは、崇徳院(すとくいん)に命ぜられて藤原忠通が詠んだ、次の和歌が由来ともいわれています。
「咲きしより 散りはつるまで 見しほどに 花のもとにて 二十日へにけり」
(咲き始めてから散り果てるまでを見ていたら、花の傍らで二十日経ったという)
牡丹は、別名の「二十日草」と言われている通り、人々が二十日間もとりつかれるほど美しく、正に「百花の王」と呼ばれるに相応しい花です。
もし、見かけられたらゆっくりご堪能下さい。
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なるほど、芍薬はいかにも薬用植物らしいですが、牡丹もそうでしたか。
女性に見立てられ歌にも詠まれるロマンティックなお花たちです。^^
> 音楽鑑賞に舞踊会の鑑賞、良い一日を過ごされましたね。
イベントがコロナ禍・下降に伴い増えました。
でも、街を歩く人は二極化しています。
マスクした方は、舗道から車道へ人と交わるのを避け、通り過ぎたら舗道に戻ったりしています。