美人局
スマホでニュースを見ていたら、埼玉新聞の記事で、「美人局・・・男性が女とホテルに入室すると、部屋に男が入ってきて恐喝容疑で男女逮捕」と言う見出しがありました。
内容は、「出会い系サイトで知り合った男性をホテルに誘うなど、美人局の手口で現金1万円を脅し取ったとして、埼玉県の朝霞署が恐喝の疑いで、東京都新宿区大久保の飲食店の店員で22歳の女と男2人を逮捕した。」と言うものです。
ところで、この記事の見出しにある「美人局」というこの漢字を何と読むのかご存知でしょうか?
「びじんきょく」それとも春日局(かすがのつぼね)と同じように「びじんのつぼね」でしょうか?
今日はこの言葉の読み方の由来について調べました。
前記の「美人局」の読み方、正解は「つつもたせ」です。
美人局(つつもたせ)とは、夫婦で打ち合わせた上で妻が他の男と会い、妻とその男が色恋的な関係を持った、或いは持ちそうになったことを言いがかりに、夫が男から金銭をゆすることです。
男女の共謀であれば夫婦以外でもこの言葉は使われます。
・男を誘う女性(ネットより)
ではなぜ、美人局と書いて「つつもたせ」と読むのでしょうか?
日本では、「つつもたせ」は「筒持たせ」と書き、「詐欺」や「いんちき」の意味で用いられた言葉であり、 この言葉には女性が誘惑して金銭をゆすり取る意味はありませんでした。
この「筒持たせ」と言う言葉は賭博用語で、筒はサイコロ博打(ばくち)で使う筒の事なのです。
「細工した筒を使う」と言うことから「詐欺」や「いんちき」の意味になったと考えられています。
この「つつもたせ」に「美人局」の漢字が当てられるようになったのは近世後期からで、その理由は、中国の犯罪が日本の「つつもたせ(筒もたせ)」に通じることから、「美人局」と書いて「つつもたせ」と読むようになったそうです。
では、中国の「美人局」と言う犯罪とはどのようなものなのでしょうか?
広辞苑によると、中国の元の頃、娼妓を妾と偽って少年などをあざむいた犯罪を行ったことに始まり、夫ある女が夫と慣れ合いで他の男と姦通し、姦夫から金銭などをゆすり取ること。 と説明しています。
即ち、中国・元の時代(1271~1368年)に何も知らない少年を娼婦が誘い込み、後から出てきた男が娼婦を妻と偽って、少年から金品を巻き上げていた犯罪を「美人局」と言っていたのです。
埼玉新聞に載っていた「美人局(つつもたせ)」の事件は、700年余り前の中国の犯罪を現代の出会い系サイトを利用して再現しているようなものなのです。
この美人局には英語にもピッタリする同義語があります。
ご存知のとおり、現在では中国共産党がよく使う手口の「honey trap(ハニートラップ)」です。 嘗て、橋本元総理が引っかかったと週刊誌が報じていましたね。
真偽のほどは分かりませんが・・・。
ハニーは「蜜」、トラップは「罠(わな)」の意味で、美人を使って政府高官から情報を聞き出す手口です。正に「美人局」と同じ意味なのです。
日本も中国もそして英語圏でも、世界中どこにでも女による同じような罠があるようです。
男性の皆さん十分気をつけてくださいね。