の~んびり タイランド 2

タイの風景、行事や趣味の陶磁器を写真を中心に気ままに紹介しています。

パヤオ文化展示会館(1)

2015年12月26日 | 博物館

朝一番に「パヤオ文化展示館」を見学します。正月前だからでしょうか、普段見かけなかった露店が表通りに出ています。





玄関には対のパヤナーク、寺院の棟飾り「チョーファー」のようです。除けの意味を持つチョーファーは一般的に聖鳥ですが・・・。

博物館の売店です。パヤオや各地の遺跡、文化財の書籍やパヤオの民芸品などのアクセサリーが売られています。

正面はシリントーン王女のお写真です。
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1階右手の第一室目です。パヤオ出土の仏陀像が安置されています。
パヤオで仏教美術が開花するのはラーンナーの属国となった1338年以降です。特にラーンナー国王テイロカラート(在位:1442年~1488年)時代が最高潮になります。

博物館の解説に「キング・ティローカラートとパヤ・ユディシュティラ(Phya Yudhisthira)」というタイトルがありました。展示品の時代背景がわかるので記しておきます。
◆ラーンナー王国のティローカラート王は当時支配下にあったパヤオを足掛かりにスコータイの支配下にあったプレーや姻戚関係にあったナーンへ侵攻します。
スコータイはアユタヤとも婚姻関係により、アユタヤの支配下にあって、領土を割譲しピサヌロークを治めるだけになっていました。しかし、ナーン同様に信頼できる同族の国がラーンナーにも存在しました。
ソーン・クウェー(ピサヌローク)のスコータイ王パヤ・ユディシュティラはアユタヤのボローム・トライ・ローカナート王(第9代国王、在位:1448年~1488年)との苦々しい闘争でティローカラート王に帰順し、ラーンナーの軍隊を指揮して数年間アユタヤと戦います。

後にティローカラート王はパヤ・ユディシュティラをパヤオの国主に任命します。ガーオ、プレー、ナーンもパヤ・ユディシュティラの支配下となります。
パヤ・ユディシュティラはパヤオにワット・パー・デーンと呼ばれる巨大寺院を建立します。後にワット・パヤ・ルアンと改名され、現在はワット・パー・デーン・ルアン・ドン・チャイ・ブンナーグとして知られています。仏塔、仏陀像、その他の美術品はスコータイ様式です。
昔の「ワット・パー・デーン」という名前の寺院は人気があってシー・サチャナライ、チェンマイ、ケントゥーンなど様々な都市に建造されました。おそらくワット・パー・デーンという名前はスリランカ様式の上座部仏教と共にスコータイを通じてタイ各地に伝わったのでしょう。

【ピサヌローク(ソーン・クウェー)の国主「Phya Yudhisthira」は他の大方の資料では「Phraya Yuttisathian(プラヤ・ユティサティエン)、後の「Mahabharata」となっています。チェンマイ年代記ではティローカラート王を少年時代の友人としています。
パヤオの国主となったプラヤ・ユティサティエンは、1459年にガーオ、プレーの国主も兼任しますが、その後の記録から消えてしまいます。
現在バンコク国立博物館に展示されている1476年に鋳造された青銅仏に彼の銘が刻まれています。
不確定ですが1486年にティローカラート王に対する謀反が露見して処刑されたとも言われています。
アユタヤとラーンナーの紛争は1456年から和平交渉の成立する1474年まで続きます。その間、1463年にアユタヤ王トライローカナートは都をピサヌロークに遷し、ラーンナーに対抗します。】

中央のケースには、パヤオ王国時代から近世までの陶磁器などが雑然と並んでいます。左右の棚には発掘され仏陀像が保管されています。
奥の棚は、パヤオで焼かれた壺などの大物陶器が展示されています。

この棚には頭のなくなった仏陀像が並んでいます。



こちらの棚は、仏頭がびっしりと並べられています。





展示室中央の展示ケースですが、展示品が整理されているとは言えません。

奥の壺片はナーンのボースアック、左はカロンの小壺、右はパーンの小皿だろうか、器形はパーンですが、青磁の緑が濃すぎるようです。

ラオスのパイプです。その横は銀貨が並んでいます。17世紀のランサーン時代のものです。

口辺に鉄釉をかけた口紅染付です。手をかけた青花磁器です。

さらに部屋続きの小部屋です。

18、9世紀のラーンナー様式の仏像が納められています。





ランサーンの陶器です。

パヤオで出土した壺が並んでいます。
パヤオの窯業活動は12世紀から14世紀と報告されており、窯跡の科学調査で1300年前後に廃窯されています。これらの展示品は胎土が見えず断定できませんが、パヤオ以外の支配地域から運び込まれた15、6世紀ごろの壺ではないかと思います。







右の青磁はパーン窯、その隣は窯不詳のランサーンの緑彩瓶です。
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象の台座です。仏陀像は壊れてありません。

パヤオで発掘された14世紀から15世紀にかけての石碑がたくさん並べられています。
いづれもラーンナータイ語、タイ文字で書かれた碑文です。



2階の展示室へ上がっていきます。

2階テラスから眺めるパヤオ湖です。


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