KOFUKUの家から

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南のちいさな森の家にて
芸術的田舎暮らし真っ最中

光と影

2009-11-11 | KOFUKU日記


久しぶりの雨に濡れました。秋の雨の香りがしました。
さて、昨日は総勢18名で秋の芸術鑑賞会を敢行してまいりました!
私の大好きな弟分でもあり(間違っても息子ではない・笑)、
尊敬する若き俳優の一人「こっしー」こと水越友紀くんがご出演の
ミュージカル「ロザリー」(ミュージカル座公演)を
ご招待にて拝見させて頂きました。

ロザリーはフランス革命好き(ベルばら好きとも言う・笑)なら
絶対ご存知の女性「ロザリー・ラ・モリエール」と
時代を駆け抜けたフランス王妃「マリー・アントワネット」の物語。

ミュージカル座といえば代表作「ひめゆり」、「ルルドの奇跡」をはじめとする
史実をリアルにそして感動的に起こした台本と、
心打つ音楽で綴るオリジナルミュージカルを創りあげる劇団です。
類にもれず、このロザリーも史実にぐっと迫るかのような
私たちの心を深くえぐるような作品でした。

生まれは皇女と農民の娘と言う身分の違いはあれど、
もとは無垢で純粋な少女2人がそれぞれの人生の中で起きた出来事に
それぞれのたましいの輝きで歩んだ道のりを描いた作品です。

貧しさのために人生の幸せの美しさをすべて奪われた少女と
王妃であるが為に人生の幸せという自由を奪われた少女。
取り巻く人々もその時代の波に流されてゆきます。

時代の波の流れの中で最後に罪人とそれを世話する女中として
牢獄で出会った二人は互いの人生を語り合います。
王妃を憎むことでいのちを存えていたロザリーと
王妃で居ようとしたことで憎まれる存在となった王妃。

最後に王妃がロザリーを抱きしめ言います。
「あなたを苦しめたこと、お許しください」
そしてあれ程、王妃を憎んでいたロザリーは
王妃に牢獄から逃げろというのです。
「王妃さまに罪はありません」と。

また、水越くん演じるルイ16世とアントワネットの別れ前のシーン。
水越君の演技がそれはそれはすばらしかったのですが、
シーン自体も心に残るものでした。


《水越友紀さん・オフィス夢の街公演「オーファンズ」より》

ルイ16世はおっとりと優しい性格、錠前作りなどが趣味で
身体的な理由から永くマリーと夫婦関係を結べなかった事で有名ですが
マリーをとても愛していたことでも有名です。
二人がとらわれた牢獄の中で初めて心を語り合うシーンは胸を打ちます。
「私のせいで不幸にしてしまった、許してください」
お互いが相手を思い、心を交わし、許しあい魂に触れるのです。

「私はあなたが幸せそうに笑っているのを見るのが好きでした。
今度生まれ変わったら、職人にでもなって
またあなたと幸せに暮らしたいと思います。」

「フランス国民に伝えてほしい。
私の流す血がこの国の幸せの礎となるよう望みます」

ルイ16世の言葉は心の中に熱く強く流れ込んできました。

それらのシーンを見ながら「人間」と言う存在に不可欠の「原罪」や
「運命」、「本当の幸せ」というものを強く感じ、考えました。
そして、私たちの中にいる、「彼ら」を感じました。
光と闇を感じました。
答えはまた、じっくりと自分を探り探そうと思います。

昨日は先日、ブログでもご紹介したセラピストのYさまもご一緒でした。
YさまやスタッフのKちゃんとは考えてることがよくリンクします。
実は実は私たち、この一ヶ月ほど前からず~~~~っと
マリーアントワネットとロザリーの話をしていたんです。
だから、このご招待の話を頂いた時もホントびっくりしました!
来るべくしてやってきたお話だったのだと思います。
そして、親しい水越君がルイ、、、不思議です。
とにかく本当に深き善き学びの時間を頂いたと思います。
水越君と天のお導きに感謝です。

さて、この公演、感動と共にいろいろ複雑な心境もめぐった機会でございました(^^;
私、本職は腐っても俳優、自分も舞台に立っておりました。
年間500ステージはこなしていたので、俳優になって20年
普通に考えてもステージ経験回数で言えば経験多いほうかと思います。
ついでに演じる側を飛び出して脚本家やら演出家
プロデューサーなんてのも時にやってしまう側です。

さらに今回拝見した水越くんは19歳の若き時に私のやっていた
店の最後のショーキャストであり、事務所の所属でありました。
そこから、レ・ミゼラブルへと羽ばたいていったのであります。
ちょびっと彼の俳優成長過程をお世話した側でしたし、
昔からアタシと水越君ってよく似てる~、ご兄弟ですかぁと言われまして
(確かに小学3年生の甥っ子に良く似ています・笑)
なんと言いますか、身内的感情とマネージャー的感覚が交錯しまして(^^;)
ある意味で彼をお目にかけると言うお客さまへの責任のようなものを
つよく強く感じつつ拝見させていただきました。
ああ、もうねーちゃんか母ですな、この感情はね。

そうなりますとね、ええ、勝手に業界的意識が働くわけですよ(笑)
なんツーか、色々な評価が生まれてきちゃうんですよねっ!
ええ、アタクシ、以前は人を死に追いやるほど辛口でございましたの(^^;)
私がお世話した人、皆さん3回くらいは「死を夢見た」と…(ご、ごめん…^^;)
あ、でもね、辛口つっても劇場の出口で出演者に
「お金返して」
って言い放つ某親友には負けますがね。。。。

って、言うのもですね、ただ文句言いたいわけとはちゃうんですよ!
やっぱり、演るにも創るにも、そのとき納得できたものを
皆様にはごらん頂きたいわけな故なのですよ。
もちろん、芸の道に終わりはないので、追求あるのみなんですけども。
けど、サイテーここまではやらねばならん!ってのはあると思うわけです。
時に拝見する作品でね、そこまで行ってないって時もあるんですよね。
そういう時は葛藤しますね、心がざわざわと・・・(^^;)
今回見せていただいた公演は俳優さんによって、
その落差が大きかったと感じました。
いや、もちろん、皆さんはそれぞれ100パーでやってたと思います。
でもプロ的意識で言えばがんばるのは当たり前なのですな、これが。
なんて事を言っちゃいそうになりそうなときも。。。。ちょこっと。。。
あ、すいません、偉そうに、たわごとなんでスルーで(^^;)

しかしながら俳優であると自身を振り返る時に考えます。
俳優とはお客さまを舞台に誘うものでなくてはならないと私は思う。
そのときお客さまの心は俳優の中に入り込み、一緒に舞台にあがる。
そして、お客さま自身が色々な役となって、その世界を経験し、
相手が喋る言葉を自分への言葉として聞く。
だからこそ見ている方の中に「感動」が生まれる。
私はそう思っています。

そうある為には俳優自身の努力が前面に見えては成り立ちません。
だってお金もらってるんですもん。学校の発表会じゃないんですもの。
「あらー、がんばってたわねー」
なんて言わせてはお客さまに失礼と思いません?
俳優であるなら役として自然にそこに「生きて」いなければならない。
少なくともそれを目指してそこにいてほしい、と思う。
私は演じる側としても、作る側としてもその様なあり方を望みます。

ただ、それは簡単なことではありません。
個々の才能と努力と環境が伴わなくてはバランスが取れません。
舞台は総合芸術です。一人芝居さえ、一人では出来ない。
先日、敬愛する先輩がおっしゃっておりましたが
舞台というものはお客さまが入って初めて完成いたします。
お客さまは「芝居」の中のかけがえのない一部です。
その為にはお客さまの心に「観る」安心感があり、
その舞台の世界を自由に魂の旅が出来てこそなのです。
お客さまを置いていったり、個人的心配をさせる舞台はNGです。
私はそう思って俳優やってます。
道は遠いけれど、舞台人としてはそんな舞台での生き方をしたい。

ミュージカル座さんは本当に善い作品を掲げていらっしゃるので、
今後も是非ともがんばって頂きたいと思います。
すみませんね、偉そうに。
でもこれは私への永遠の警鐘でもあります。
プロとして生きるからには妥協はしたくないものです。

さて、ご一緒に観劇してくださったお教室の子どもとお母様方、
Yさまご家族とOさまご夫妻、演劇クラスの親子様、
スタッフのKちゃん、米澤さん、えりちゃん、
ご一緒してくださってどうもありがとうございました。
偶然あったみほちゃんにも感謝!
あなたのプロ意識トークが私を安心させてくれました。
やっぱ、そうでなくてはね。いかんね、うん。
自分の俳優魂、芸術家魂、再認識しました。

お疲れのところ面会してくださった
コッシー、みきネエさま、シャケちゃんに
心から感謝申し上げます。

ロザリーは14日まで!
ぜひ心の旅路にお出かけくださいませ!