
《今宵は十五夜 月が出ても出なくてもお空見をしませんか?》
湖上
中原中也
ポッカリ月が出ましたら、
舟を浮べて出掛けませう。
波はヒタヒタ打つでせう、
風も少しはあるでせう。
沖に出たらば暗いでせう、
櫂から滴垂る水の音は
昵懇しいものに聞こえませう、
――あなたの言葉の杜切れ間を。
月は聴き耳立てるでせう、
すこしは降りても来るでせう、
われら接唇する時に
月は頭上にあるでせう。
あなたはなほも、語るでせう、
よしないことや拗言や、
洩らさず私は聴くでせう、
――けれど漕ぐ手はやめないで。
ポッカリ月が出ましたら、
舟を浮べて出掛けませう、
波はヒタヒタ打つでせう、
風も少しはあるでせう。
「月が綺麗ですね」
十五夜の宵に紛れて、そんなことを言ってしまう人が多そうな今宵(笑)
みなさま、ごきげんいかがでしょう?
わたしはなんとか生きてます。
今日は十五夜、中秋の名月。
今宵は月の光でも浴びましょうか。
こんな日でもないと、人は宇宙に生きてること、なかなか気づかない。
宇宙の中に月もポッカリ
わたしもポッカリ
ゆうらゆうらと漂って
宇宙のソラの果からやってくる
音なき音を聴くのです
2013中秋の名月の朝に