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《相方さんが最後の秋にケータイに残していたぴーちゃんと彼岸花》
《横浜・寺家の森の入口の田んぼにて》
「こほろぎ」
中 勘助
肩すそさせのこほろぎは
秋の夜ごとに涙をさそふが
あなたがそばにゐたときは
それはやっぱり唄だつた
あなたのゐないことしの秋
肩させや 裾させや
心ありげなその鳴き声は
刺青(ほりもの)の針と肌にしみる
あなたのみないことしの秋
着物は人に頼みもしよう
わたしの胸のほころびを
誰が 誰が縫つてくれる
玄関脇や庭の奥で彼岸花が早秋の風に揺れている
ゆうらりゆうらりと揺れている
あの人が最後の秋に見た彼岸花は真っ赤だった
あの日もゆうらりとした秋の風が吹いていた
彼岸花を見ていると、胸の奥深くを
ほんの少しだけ秋色の深まった風が通り過ぎる
人はこれをセツナサと呼ぶのだろうか
カナシミと呼ぶのだろうか
今年も曼珠沙華が咲きました