KOFUKUの家から

演劇的体質の自由人
大きな愛にいだかれて
チワワたち猫たち
南のちいさな森の家にて
芸術的田舎暮らし真っ最中

Reading Musical *Jacob's Radio*初日終了致しました♪

2014-02-16 | 演劇、ミュージカル、エンターテイメント



ローメック(歌う):
  
ラジオが流れる 青い空の下
独り立ち止まり 空を見上げてる
雲は流れてく
どこまでも どこまでも
聞こえる ラジオの音
今も胸に



ローメック:

僕はポーランド系ユダヤ人だ。
でも、ほんの十年前は、ただの「ユダヤ人」だった。
人間でも、動物でもない、ただの「ユダヤ人」だった。
戦争が終わって、10年が過ぎた。
こうして今、僕は生きている。
そして不思議なことに、今はポーランド人だ。
僕は毎日、太陽の下を歩いて、好きなラジオ番組を聞く。
ラジオ…ジェイコブの持っていたラジオ…
十年前の、あの暗くて、何も見えない世界で、僕は一度だけラジオを聴いたことがある。
ジェイコブのラジオ。 
その音は「生きる」と言う希望に満ちていた。


リーディング・ミュージカル「ジェイコブのラヂオ」より抜粋








度重なる雪で日本列島は大荒れですね。
私の住む地域だけが、ポッカリと悪天候から逃れ続けているようです。
現在も雪に降り込められている地域の皆様に
早く救援や復旧作業がなされますようにとお祈りしています。


さて、最初にご紹介した一文は、「ジェイコブのラヂオ」の冒頭部分です。

ジェイコブのラヂオは、終戦間際のポーランド。
ユダヤ人が閉じ込められた街ゲットーでの日々を描いたものです。

ドイツ兵に罪もない妻を目の前で殺され、今はひとり暮らしているパン屋のジェイコブ。
彼はある夜、ドイツ兵の官舎で、ラジオ放送を聞くのです。
ラジオはジャズの音と共に、近くまで自分たちを救う連合軍が来ていることを伝えていました。

その帰り道、駅にユダヤ人を詰め込んだ貨車が止まり、
命をすくため、親にその列車から落とされた12歳の少年ローメックと出会い、
彼の家へと身柄をかくまうことになります。

折しも時代は困難を極め、ユダヤ人への弾圧は日に日に増し、
人々は未来を悲観して命を絶つものが後を絶ちませんでした。

ある朝、ジェイコブは心友が死のうとしているところに出くわし、
命をすくいたい一心で、連合軍が俺たちを助けに近くの街まで来ている
ラジオでそう言っているのを聞いたと話します。

それが「ジェイコブがラジオを持っていて、良いニュースを聞ける」と言う噂になります。
もちろん、ラジオはありません。
ですが、彼のラジオニュースが人々に希望を与え、命を絶つ者はいなくなります。
嘘をつくことに悩むジェイコブ。
けれど、みんなに生きる希望を与えたいと、ジェイコブは嘘をつき続けます。

そして、全ての人が希望失ったその時、
奇跡が起きて…。


というお話。
これは実話が元になっています。
ロビン・ウィリアムスの映画でも有名になりました。
映画は素晴らしかったんです。
でも、私は映画では大きく描かれていないところに一番動かされたんです。

それで私は、青年になったローメックに、この歌を、
このセリフを言って欲しくてこの作品を書きました。
私の作品は、このためにあるといってもおかしくありません。
ジェイコブが命をかけたラジオとは?それは一体なんなのか?
この冒頭が私の答えだ、みなさんと一番共感したいところだ、
そう思ってこの作品を書きました。
いつか、その答えを青木君の素晴らしいお芝居や歌と共に、
一緒に感じてもらえたら嬉しいです。



おりしも大雪に見舞われた2月14日、素晴らしい才能を持つ仲間として、
また兄弟のような気持ちで親しくさせていただいている
青木結矢くんの一人朗読音楽劇「ジェイコブのラヂオ」が上演されました。

彼のライフワークとしてスタートしたこの一人ミュージカルプロジェクト。
私事で恐縮ではありますが、座付き作家のような形で参加させていただいております。

このジェイコブのラヂオは、11年前に私がソウルメイトの祐木鎧くんと
心友でもある岡田雄一くんと言う、素晴らしい二人の俳優さんに
キャラクターを合わせて書かせていただいた二人ミュージカルでした。

残念ながらこの作品を遺作として、それから数日後、
祐木くんはこの世を去ってしまいました。

当時、自分の取り囲んでいるすべてに彼の面影があり、
どこに行っても、どこにいても、苦しく辛かった時期があります。
思い余って、すべてを手放し、舞台を降り、筆を折るつもりで、
ぴーちゃんと二人、日本の南から北まで放浪しました。

ところが不思議なもので、いやいや、まるで計られたかの如く、
それまで以上に芝居やミュージカルから離れることが許されなかったのです。
必ず鎧くんのエピソードとともに「芝居」や「ミュージカル」を教えたり、
演じたりする機会が目の前に置かれました。
しかも、絶対に断れないような状況で。

その後、導かれるように東京に戻った私は鎧くんの心友のひとりでもあった
私の相方さんに、間違いなく鎧くんの不思議なパワーで引き合わされ、
気づけば自分たちの舞台人としての目標と人間としてのプライベートでの目標を
お互いひとつにして歩んでおりました。
そして気がついたら、24時間を自分たちの芝居をして生きる
という生活に身を置いていたのです。
自分自身が舞台に立つことは少なくなりましたが、
その中で再び、脚本を書かせていただいたり、
演出をさせていただいたりするようになりました。
鎧くんが捨てずに居させてくれ、相方さんが新たな命を吹き込んで
共に歩んでくれる、この2度目の演劇人生を、
絶対に悔いがないようにと100%で走り続けた日々でした。

そうして長い日々が過ぎ、ある日、相方さんは本当に突然に
親友の鎧くんが居る場所へとこの世を旅立っていきました。
お元気お調子者の私でもそうとう凹みまして、まあ軽く死んでいた3年間でした。

そして昨年の後半、青木くんからこのプロジェクトのお誘いがありました。
彼の口から聞いた、二人のソウルメイトたちの名前。
そして、アタシの脚本がやりたいと言う言葉。
とても嬉しかったです。

そして、青木君の希望で、このジェイコブのラヂオが第一作目に選ばれました。
今の私は、療養中の身で経済的にもぎりぎり精一杯、一人で移動もできませんから、
メールや電話での対応で少しずつ話を進めさせていただいて。

しかも、最後はもう青木君の才能に全信頼を置いて、すべてを預けさせていただいて…。
私はもう本当に本を独り舞台用に書きなおしただけでした。
全ては青木君の絶え間無い努力と愛によって完成した舞台でした。


そうして迎えた14日。
折しも東京は大雪。
一面真っ白の銀世界。


でも、私は思いました。
世界中の人が心からの愛を伝える素晴らしい日に、
こうしてすべてを真っ白にしてくれる雪が降った。
すべてが真っ白な世界で、
今日、この作品は青木君の魂の一部として新しく生まれるんだ。
新しい愛に生まれ変わって世界に愛という音楽を奏ではじめるんだ。
これはもう、こんな奇跡は、天からの、天使になった二人からの祝福に違いない。


青木君のステージは、あたたかくて、優しくて、とても素晴らしかったそうです。
ご覧くださった俳優様などからも、とても素晴らしかったとご連絡いただきました。

さすが、ソウルメイト二人の芝居魂を次ぐ、魂の弟、青木君です!
相方さんがたったひとりの相手役、と絶賛した若き俳優さんです。
よくやってくださいました!心からのアプローズを捧げたいです!

しかも、皆様、脚本や作詞にも本当に沢山の
暖かくありがたいお言葉をかけてくださって…。
新作を楽しみにしているとまで言ってくださって…。
福は、心から、心から、嬉しくてなりませんでした。
役者です。くさっても。そして、その私だから作品をかけると思っています。
愛の日に降った雪は、確かに私の役者魂もまた新たに生まれ変わらせてくれたのです。

何よりも、「この作品をいつか演じるのが夢でした」
「映画より、福ちゃんの作品の方が全然いい」
と言ってくれた演者の青木君に感謝しております!
ありがとうございましたっ!

この作品を天と地をつないで一緒に作ってくれた鎧ちゃん、相方さん、
その作品を地上で形にしてくれた青木結矢くん、
応援してくださった皆様、
ご覧くださった皆様、
本当にありがとうございました。

このプロジェクトから新たなペンネームで活動しており、
今まで私をご存知だった方は名前だけ聞いたらわからないかもしれませんが、
私を知ってる方にも、知らない方にも、いつかどこかで
皆様の心に作品を通して出会えたら、と心から願っています。

この作品はこれからいろんな場所をめぐっていくそうです。
彼らの残した愛も一緒にして、皆様に新たな愛をつないでいくそうです。
いつか、あなたの町で出会うかもしれませんね。
その時はぜひ抱きしめていただけたら、と思います。

次回作は相方さんの残した作品を舞台にと頑張っております。
マイペースですが、それでも精一杯の愛をこめて描こうと思います。
近い日にお目にかけることになると思います。
どうか楽しみにしていてくださいませ。


ひとつだけ、はっきりしたこと。
精一杯、愛し抜いてやってきたものは
必ず愛を返してくれるんですね。

この作品で、それも描いたのでしたが、
今回、魂の奥底まで実感しました。

私は役者になってよかったな。
脚本を書いてきてよかったな。
大好きな人を精一杯愛してよかったな。
みんなに出会えてよかったな。
ここに生まれてよかったな。
本当に感謝が溢れます。

皆様、本当にありがとうございました。
また舞台でお会いできます日を楽しみにしております(*´∀`*)

感謝をこめて





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