2018年のブログです
*
昨日の東川の天気予報は曇りのち雨、しかし、朝から雨でした。
それで曇り空を求めて、今回の旅2回目の北への旅をしました。
前回は目的地は設定せずに、しかし、結果的に、美深の町まで行って、村上春樹さんの『羊をめぐる冒険』をめぐる旅(ややこしいですね)をしました。
しかし、今回は違います。朱鞠内湖(しゅまりないこ)。じーじには似合わない美しい響きの湖です。
たまたま何日か前の北海道新聞で朱鞠内湖の記事を読み、戦争中にできた人工湖と知って興味があったところに、同じ日、宮下奈都さんの短編集『遠くの声に耳を澄ませて』(2012、新潮文庫)を読んでいたら、やはり朱鞠内湖を舞台にした小説が出てきて、その中で、何もないところ、と書かれていて、こころが動きました。
こういう偶然は時々あることですが、やはりユングを尊敬するわたしとしては、この天の声を大切にしようと思いました。
ということで、愛車タント号に乗って出発、なんと隣りの比布町に入ると雨も上がりました。
快調なドライブで塩狩峠を越え、剣淵町、士別市に入り、ここから国道40号線と別れて、幌加内に向かいます。
幌加内はお蕎麦で有名な町で、道の両側は蕎麦畑とじゃがいも畑。
どちらも白い花をつけますので、白いじゅうたんのような畑が続き、夢のような景色です。
1時間ほど走って、朱鞠内の集落。
昔、ここまで鉄道が伸びていたということで、びっくりします。
間もなく、朱鞠内湖に到着。
今の朱鞠内湖は、何もないところ、ではなくて、湖畔に遊覧船やモーターボート、貸しボートがありました。
しかし、人は少なく、喧騒からはほど遠く、静かな、美しい湖でした。
森林と湖水と空が綺麗で、「美」に疎いじーじでも感動します。
まるで東山魁夷の絵のようだと思いました。
しばらく、静かで、美しい景色を堪能し、お昼のパンを食べて、帰ることにしました。
と、ここでアクシデント発生、なんと財布をどこかに落としてしまいました。
車の中や歩いたところを探しますが、見つかりません。
しかたなく、恥ずかしさをしのんで、貸しボート屋さんに、財布の落とし物が届いていませんか?とお聞きすると、なんと拾った人が届けてくれたので、案内所に預けたとのこと。
お礼をいって、案内所に行くと、困っているかもしれないと思ってすぐに駐在所に届けに行ったということ。
恐縮をしていると、届けに行った職員さんと連絡を取ってくれて、まだ届け出前なので駐在所の前で待っていてくれるという。
すぐに急行し、駐在所のところで、職員さんに免許証を提示して本人確認、無事、財布が戻ってきました。
善意の素早いリレーのおかげてありがたいことに財布が戻りましたが、考えてみれば、こんな奇跡のようなことはおそらく都会などでは考えられないことで、財布を拾って届けてくださった方をはじめ、ボート屋さんのご夫婦、案内所のおじさん、駐在所まで届けに行ってくださった美人の職員さん、みなさんに本当に感謝です。
朱鞠内の人たちは、こころも美しい人たちでした。 (2018.8 記)