たぶん2011年ころのブログです
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山野保さんの『「うらみ」の心理-その洞察と解消のために』(1989・創元社)を再読しました。
何回目になるでしょうか。
何回読んでも得るところの多い本です。
このところ,「うらみ」ということについて考えることが多く,そういえば、家庭裁判所の当事者のかたがたや心理臨床のクライエントのかたがたに,「うらみ」にとらわれている人々が多くおられるなと感じています。
「うらみ」のせいで,本来,力のあるかたがたが,冷静な判断をできずに苦しんでいる姿をよく拝見します。
「うらみ」の世界からは,自分ひとりの力だけでは,なかなか抜け出すのが難しいようです。
適切な援助者の手助けを利用することも,大切なのかもしれません。
この本の中で,「うらみ」をいかに「解消」するか,その一端を山野さんは家庭裁判所のケースなどを中心にしてわかりやすく述べておられます。
実は山野さんは,じーじが四十数年前に家裁調査官になった時の指導官のお一人。
ずいぶんお世話になりました。
面接のしかたや面接の訓練について,丁寧に教えていただきました。
一度,山野さんのカウンセリングを見学させていただいたことがありました。
ふだん,部屋では毒舌で厳しい山野さんが(山野さん,ごめんなさい),別人のように優しいカウンセラーになられていて,その変身ぶりに,びっくりした記憶があります。
プロはすごいな!と思いました。
不肖の弟子はまだまだ半人前。
もっともっと勉強をしていかないといけません。 (2011?記)
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2020年12月の追記です
「うらみ」が「甘え」と関係していることを述べたのが、土居健郎さん。
「甘え」足りないと「うらみ」が発生することを土居さんも山野さんも述べています。
しかし、「甘え」足りない部分を満たすことは至難の業。
結局は、「甘え」足りずに「うらみ」に浸っていることを自ら理解し、「諦める」という「喪」の作業が大切になるのかもしれません。 (2020.12 記)
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2022年5月の追記です
よく考えると、「うらみ」を解消するといっても、すごく難しい作業ですよね。
われわれにできることは、せいぜい、「うらみ」を抱いているということをきちんと自覚すること、くらいなのかもしれません。
それだけでも、ずいぶん違ってきそうな気もします。 (2022.5 記)
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ゆうわファミリーカウンセリング新潟(じーじ臨床心理士・赤坂正人・個人開業)のご紹介
経歴
1954年、北海道函館市に生まれ、旭川市で育つ。
1970年、旭川東高校に進学するも、1年で落ちこぼれる。
1973年、某四流私立大学文学部社会学科に入学。新聞配達をしながら、時々、大学に通う。
1977年、家庭裁判所調査官補採用試験に合格。浦和家庭裁判所、新潟家庭裁判所、同長岡支部、同新発田支部で司法臨床に従事する。
1995年頃、家族療法学会や日本語臨床研究会、精神分析学会、遊戯療法学会などで学ぶ。
2014年、定年間際に放送大学大学院(臨床心理学プログラム・修士課程)を修了。
2017年、臨床心理士になり、個人開業をする。
仕事 個人開業で、心理相談、カウンセリング、心理療法、家族療法、遊戯療法、メールカウンセリング、面会交流の援助などを相談、研究しています。
所属学会 精神分析学会、遊戯療法学会
論文「家庭裁判所における別れた親子の試行的面会」(2006・『臨床心理学』)、「家庭裁判所での別れた親子の試行的面会」(2011・『遊戯療法学研究』)ほか
住所 新潟市西区
mail yuwa0421family@gmail.com