ゆうわファミリーカウンセリング新潟 (じーじ臨床心理士・赤坂正人)     

こころと暮らしの困りごと・悩みごと相談で、じーじ臨床心理士が新潟市で公園カウンセリングなどを相談・研究しています

山野保『「うらみ」の心理-その洞察と解消のために』1989・創元社-「うらみ」を超えて

2024年08月30日 | 心理療法に学ぶ

 たぶん2011年ころのブログです

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 山野保さんの『「うらみ」の心理-その洞察と解消のために』(1989・創元社)を再読しました。

 何回目になるでしょうか。

 何回読んでも得るところの多い本です。

 このところ,「うらみ」ということについて考えることが多く,そういえば、家庭裁判所の当事者のかたがたや心理臨床のクライエントのかたがたに,「うらみ」にとらわれている人々が多くおられるなと感じています。

 「うらみ」のせいで,本来,力のあるかたがたが,冷静な判断をできずに苦しんでいる姿をよく拝見します。

 「うらみ」の世界からは,自分ひとりの力だけでは,なかなか抜け出すのが難しいようです。

 適切な援助者の手助けを利用することも,大切なのかもしれません。

 この本の中で,「うらみ」をいかに「解消」するか,その一端を山野さんは家庭裁判所のケースなどを中心にしてわかりやすく述べておられます。

 実は山野さんは,じーじが四十数年前に家裁調査官になった時の指導官のお一人。

 ずいぶんお世話になりました。

 面接のしかたや面接の訓練について,丁寧に教えていただきました。

 一度,山野さんのカウンセリングを見学させていただいたことがありました。

 ふだん,部屋では毒舌で厳しい山野さんが(山野さん,ごめんなさい),別人のように優しいカウンセラーになられていて,その変身ぶりに,びっくりした記憶があります。

 プロはすごいな!と思いました。

 不肖の弟子はまだまだ半人前。

 もっともっと勉強をしていかないといけません。         (2011?記)

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 2020年12月の追記です

 「うらみ」が「甘え」と関係していることを述べたのが、土居健郎さん。

 「甘え」足りないと「うらみ」が発生することを土居さんも山野さんも述べています。

 しかし、「甘え」足りない部分を満たすことは至難の業。

 結局は、「甘え」足りずに「うらみ」に浸っていることを自ら理解し、「諦める」という「喪」の作業が大切になるのかもしれません。         (2020.12 記)

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 2022年5月の追記です

 よく考えると、「うらみ」を解消するといっても、すごく難しい作業ですよね。

 われわれにできることは、せいぜい、「うらみ」を抱いているということをきちんと自覚すること、くらいなのかもしれません。

 それだけでも、ずいぶん違ってきそうな気もします。          (2022.5 記)

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 ゆうわファミリーカウンセリング新潟(じーじ臨床心理士・赤坂正人・個人開業)のご紹介

 経歴 1954年、北海道函館市に生まれ、旭川市で育つ  

    1977年、ある四流私立大学文学部社会学科を卒業、浦和、新潟家庭裁判所などで家庭裁判所調査官として司法臨床に従事する  

    2014年、定年退職間際に放送大学大学院(臨床心理学プログラム・修士)を修了 

    2017年、臨床心理士になる

 仕事 個人開業で、カウンセリング、心理療法、家族療法、遊戯療法、メールカウンセリング、面会交流の援助などを研究しています

 学会 精神分析学会、遊戯療法学会会員

 論文「家庭裁判所における別れた親子の試行的面会」(2006・『臨床心理学』)、「家庭裁判所での別れた親子の試行的面会」(2011・『遊戯療法学研究』)ほか 

 住所 新潟市西区・北海道東川町(夏期)

 mail  yuwa0421family@gmail.com    

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佐藤多佳子『明るい夜に出かけて』2019・新潮文庫-その1・生きづらい大学男子の友情と恋愛を描く

2024年08月30日 | 小説を読む

 2019年のブログです

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 佐藤多佳子さんの『明るい夜に出かけて』(2019・新潮文庫)を読みました。

 この本も旭川の本屋さんで見つけました。

 面白かったです。

 佐藤さんは『しゃべれども しゃべれども』や『一瞬の風になれ』などの、名作と呼んでいい小説を書かれていますが、本作もなかなか力作です。

 主人公は大学を休学中の男子学生。

 人づきあいがあまり得意でなく、しかも、じーじと同じ女子恐怖症(?)で、生きづらそうです。

 それでも、コンビニのアルバイトをしているので、じーじより優秀(!)です。

 楽しみはラジオの深夜番組への投稿。

 こう書くと、ネクラとしかいいようがありませんが、そんな彼がバイト仲間やラジオ仲間との交遊の中で、少しずつ変わっていく姿が描かれます。

 登場人物がユニークで、魅力的。

 佐藤さんの温かな視線が光ります。

 もっとも、お話は全然、甘くはなく、冷徹(?)で、シビアな世界が展開します。

 おとなが読んでも、いろいろと考えさせられる深みのある小説です。

 読後感がすごくいい。

 旅先でいい小説と出会えて、幸せです。     (2019.8 記)

 

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