ゆうわファミリーカウンセリング新潟 (じーじ臨床心理士・赤坂正人)     

こころと暮らしの困りごと・悩みごと相談で、じーじ臨床心理士が公園カウンセリングや訪問カウンセリングなどをやっています。

河合隼雄『河合隼雄のカウンセリング入門』1998・創元社-河合隼雄さんのカウンセリングに学ぶ

2024年08月28日 | ユング心理学に学ぶ

 2011年のブログです

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 河合隼雄さんの『カウンセリング入門』(1998・創元社)を読みました。

 なぜか読みそびれていて、しかも実際の講演は1965年~68年に行われたもので、河合さんがユング研究所で資格を取って間もなくの時期の講演ということになります。

 ちなみにじーじは1977年に今の家裁調査官の仕事について、河合さんの『コンプレックス』や『ユング心理学入門』などを読んでカウンセリングの勉強を始めましたので、とても懐かしい感じがしました。

 じーじはその後、家族療法や精神分析、遊戯療法と興味の範囲が広がっているのですが、最近、なぜかまたユング心理学に興味が出てきているところで、この本も興味深く読みました。

 じーじ自身は最近は逆転移や投影同一化などという概念について考えることが多いのですが、この本で河合さんはほとんど理論的なことはおっしゃらないで、実際にロールプレイでカウンセリングのあり方を示されたり、質問の聞き方そのものや質問内容のまとめ方などを示すことで、カウンセリングの実際を具体的に示そうとされていて、とても新鮮な刺激になりました。

 理論も大事だけれども、カウンセリングや心理療法を具体的に示すことができるということは本当に力のある人でないと難しいと思います。

 読んでよかったですし、今後も大切な一冊になるだろうなと思いました。      (2011.6 記)

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 2021年6月の追記です

 何でもそうかもしれませんが、具体例を示すということはとても大切で、かつ、なかなか難しいことだと思います。

 事例研究会でも、その点が大切になりますが、いざ、それを実行するということになると、かなりの力量がないとできません。

 さらに力をつけていきたいと思います。     (2021.6 記)

 

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藤沢周『界』2019・文春文庫-これまた不思議な小説たちです

2024年08月28日 | 小説を読む

 2019年のブログです

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 藤沢周さんの『界』(2019・文春文庫)を読みました。

 これも旭川の本屋さんで見つけました。

 藤沢さんの小説は初めて。

 新潟出身で、あの水島新司さんのマンガのモデルで有名になった新潟明訓高校卒業と聞いています。

 BSの「週刊ブックレビュー」や地元新潟のローカル番組でそのお姿はお見かけしていますが、なぜか小説はなかなか読めませんでした(藤沢さん、ごめんなさい)。

 そして、今回、新潟でなく北海道で、藤沢さんの『界』という不思議な小説を読むことになりました。面白いものですね。

 『界』は本当に不思議な短篇小説集です。

 解説の姜尚中さんが泉鏡花の『高野聖』に比していますが、確かにそんな雰囲気が漂います。

 50過ぎの中年おやじが、迷い、苛立ち、流されます。

 60過ぎのじーじも身につまされます。

 子どもの頃、おとなや親はどっしりしているもの、と思っていますが、そんなことはまったくありません。

 そんな情けない姿が正直に、しかし、生と性を見すえてじっくりと描かれます。

 そう、ここには生きている人間がしっかと書かれています。

 若い人たちには少しわかりにくいかもしれませんが、おとなの人間の一面が見事に描かれたいい小説だと思います。     (2019.8 記)

 

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