2019年のブログです
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中井久夫さんの『精神科医がものを書くとき』(2009・ちくま学芸文庫)を再読しました。
もう何回目になるでしょうか。
本は付箋とアンダーラインで大変な状態。少しだけ整理をしながら読みました。
中井さんが精神科医になった前後のお話や大学病院での実践などが語られます。
全編を貫くのは中井さんの患者さんへのやさしい祈り。
以前にも書きましたが、中井さんは患者さんの薬を手渡すときに、効きますように、と祈りの言葉をそえる、といいます。
他にも、わたしも病棟の一部になったら、患者と出会えるだろうと思った、とか、精神医学の目指す健康とは、苦しみや脅えなしに、ゆとりをもって生活を営めること、などと書きます。
さらには、症例報告を書いた後の治療は、しばらくうまくいかない、などと、耳の痛い言葉もあります。
いずれも患者さん第一の中井さんならではの言葉だと思います。
そして、同じような姿勢は患者さんの家族にも貫かれます。
すごいな、と本当に感心させられます。
解説の斎藤環さんが、中井さんは精神医学を体系化しなかった、とその現場第一主義を評していますが、本当に患者さんのことだけを考えて働いてきたのだな、と感心させられます。
今からでも見習っていこうとつくづく思いました。 (2019. 10 記)
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2023年秋の追記です
中井さんからはたくさんのことを教えていただいていますが、そのうちのひとつが、わからないことに耐えることの大切さ。
中井さんがハムレットで見つけられた「ホレイショの原則」という、この言葉を患者さんにお話するそうです。
中井さんから、先のことはわからなくても、そんなに心配いらないよ、とやさしく言われたら、誰でも安心できそうですね。 (2023.9 記)
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ゆうわファミリーカウンセリング新潟(じーじ臨床心理士・赤坂正人・個人開業)のご紹介
経歴 1954年、北海道生まれ
1977年、浦和、新潟家庭裁判所で家庭裁判所調査官として司法臨床に従事
2014年、放送大学大学院修了(臨床心理学プログラム・修士)
2017年、臨床心理士
仕事 個人開業で、カウンセリング、心理療法、家族療法、遊戯療法、メールカウンセリング、面会交流の援助などを研究しています
学会 精神分析学会、遊戯療法学会会員
論文「家庭裁判所における別れた親子の試行的面会」(2006、『臨床心理学』)、「家庭裁判所での別れた親子の試行的面会」(2011、『遊戯療法学研究』)ほか
住所 新潟市西区・北海道東川町(夏期)
mail yuwa0421family@gmail.com