2015年のブログです
*
精神科医の黒田章史さんの『治療者と家族のための境界性パーソナリティ障害治療ガイド』(2014・岩崎学術出版社)を読みました。
いい本です。
境界例の治療に詳しい黒田さんの丁寧な実践が紹介されていて,とても参考になります。
こまやかで温かく,かつ冷静な黒田さんの面接はすごいと思います。
実は,じーじの記憶に間違いがなければ,黒田さんがだいぶ以前に家族療法学会にデビューされた時に,たまたまその発表の場に私もいました。
黒田さんが哲学者のヴィトゲンシュタインさんの考えをもとに境界例の患者さんの治療について発表をされ,その丁寧で刺激的な内容にずいぶん感心させられました。
そしてその会場にいらっしゃった下坂幸三さんが,いつもは厳しくてとても怖い先生なのですが(下坂さん,ごめんなさい),黒田さんの発表を大絶賛をされたことをとても印象深く覚えています。
その後,黒田さんは下坂さんらと一緒に勉強をされ,その成果が本書につながっているのだろうと思います。
今後も時間をかけて学んでいきたい本だと思いました。 (2015.5 記)
*
2021年冬の追記です
今、考えると、境界性パーソナリティ障害のかたも、白か黒かにはっきりさせないと落ち着かないかたがたで、あいまいさに耐えることが苦手なかたがたなんだな、と思い当たります。
ビオンさんのいうあいまいさに耐える能力、消極的能力の大切さが理解できるような気がします。 (2021.2 記)
*
2023年秋の追記です
ヴィトゲンシュタインさんにはその後も何度かチャレンジしているのですが、やはりなかなか難解です。
ただ、なにか大切なことを書かれているらしいことは感じられます。
今後も勉強していこうと思います。 (2023.9 記)
昔、ヴィトゲンシュタインの哲学の本を読んだことがありますが、難解でほとんどわかりませんでした。
今度、読むときは少しは理解できるといいのですが…。