ゆうわファミリーカウンセリング新潟 (じーじ臨床心理士・赤坂正人)     

こころと暮らしの困りごと・悩みごと相談で、じーじ臨床心理士が新潟市で公園カウンセリングなどを相談・研究しています

黒田章史『治療者と家族のための境界性パーソナリティ障害治療ガイド』2014・岩崎学術出版社

2024年11月22日 | 精神療法に学ぶ

 2015年のブログです

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 精神科医の黒田章史さんの『治療者と家族のための境界性パーソナリティ障害治療ガイド』(2014・岩崎学術出版社)を読みました。

 いい本です。

 境界例の治療に詳しい黒田さんの丁寧な実践が紹介されていて,とても参考になります。

 こまやかで温かく,かつ冷静な黒田さんの面接はすごいと思います。

 実は,じーじの記憶に間違いがなければ,黒田さんがだいぶ以前に家族療法学会にデビューされた時に,たまたまその発表の場に私もいました。

 黒田さんが哲学者のヴィトゲンシュタインさんの考えをもとに境界例の患者さんの治療について発表をされ,その丁寧で刺激的な内容にずいぶん感心させられました。

 そしてその会場にいらっしゃった下坂幸三さんが,いつもは厳しくてとても怖い先生なのですが(下坂さん,ごめんなさい),黒田さんの発表を大絶賛をされたことをとても印象深く覚えています。

 その後,黒田さんは下坂さんらと一緒に勉強をされ,その成果が本書につながっているのだろうと思います。

 今後も時間をかけて学んでいきたい本だと思いました。        (2015.5 記) 

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 2021年冬の追記です

 今、考えると、境界性パーソナリティ障害のかたも、白か黒かにはっきりさせないと落ち着かないかたがたで、あいまいさに耐えることが苦手なかたがたなんだな、と思い当たります。

 ビオンさんのいうあいまいさに耐える能力、消極的能力の大切さが理解できるような気がします。         (2021.2 記)

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 2023年秋の追記です

 ヴィトゲンシュタインさんにはその後も何度かチャレンジしているのですが、やはりなかなか難解です。

 ただ、なにか大切なことを書かれているらしいことは感じられます。

 今後も勉強していこうと思います。         (2023.9 記)

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 ゆうわファミリーカウンセリング新潟(じーじ臨床心理士・赤坂正人・個人開業)のご紹介

 経歴 1954年、北海道函館市に生まれ、旭川市で育つ  

    1977年、ある四流私立大学文学部社会学科を卒業、浦和、新潟家庭裁判所などで家庭裁判所調査官として司法臨床に従事する  

    2014年、定年退職間際に放送大学大学院(臨床心理学プログラム・修士)を修了 

    2017年、臨床心理士になる

 仕事 個人開業で、カウンセリング、心理療法、家族療法、遊戯療法、メールカウンセリング、面会交流の援助などを研究しています

 学会 精神分析学会、遊戯療法学会会員

 論文「家庭裁判所における別れた親子の試行的面会」(2006・『臨床心理学』)、「家庭裁判所での別れた親子の試行的面会」(2011・『遊戯療法学研究』)ほか 

 住所 新潟市西区

 mail  yuwa0421family@gmail.com    

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樋口有介『魔女』2004・文春文庫-女性はみんな魔女なのです(?)

2024年11月22日 | 小説を読む

 2018年のブログです

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 またまた有介ワールドにひたってしまいました。

 樋口有介さんの『魔女』(2004・文春文庫)。

 久しぶりの再読です。

 女性はみんな魔女なのだ!という小説です(?)。

 まあ、半分は冗談ですが、半分は真実かもしれません(?)。

 女性は本当に怖いですよ。

 さて、本書、就職浪人中の青年と青年の元彼女の妹とのお話。

 元彼女の死因をめぐって、二人が活躍をします。

 彼女の妹というのが、不登校児なのですが、ある理由があってのことで、それがラストで判明します。

 元彼女は、付き合っていた人物によって、さまざまな印象を抱かせる複雑な性格で、このあたりは映画の「羅生門」を思い出させるような内容です。

 多重性人格と虐待、それも虐待とはまったく無関係のような人物が絡んでいたりしていて、質のいいミステリーが展開します。

 青年と元彼女の妹の淡いラブロマンスも素敵で、まさに有介ワールドが堪能できます。

 ミステリーの謎解きも面白い小説ですが、じーじにはそれよりも、青年の成長や温かさがこころに染み入りました。

 こういう青年時代を送りたかったな、というかすかな反省も伴ないます。

 とてもいい青春小説かもしれません。

 少しだけエッチな場面(?)もありますので、20歳以上の人に読んでもらいたい青春推理小説です。       (2018.11 記)

 

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