ヨシムラ・サイエンス・ラボ

身近な物を材料視点で解説「サイエンスライター」
銅の良さを伝え広める「伝銅師」、金属のお悩みへの相談「メタルソムリエ」

一年経つのは早いものです。伝統工芸MOTコース 第5期募集中

2011年09月19日 | 日記
伝統工芸を材料科学でサイエンスするヨシムラ・サイエンス・ラボです。

一年経つのは早いものです。
昨年、私も参加した伝統工芸MOTコース 第5期生の募集が始まっています。

私の生まれ故郷のすぐ近くの石川県能美市に北陸先端大学院大学という大学があります。
その大学で、地域再生プログラムの一環として平成19年度から伝統工芸の世界に革新を巻き起こす人材(伝統工芸イノベータ)の養成を進めており、今年で第5期となります。
応募の締め切りは9月22日(木)だそうで、対象は、
・石川県の伝統工芸に従事し、産地の中核的人材として次代をになっていくことが期待される若手世代の皆様
・石川県の自治体で働く方で、伝統工芸による地域の活性化に関心が高い皆様
・石川県のNPO・市民団体で活動する方で、伝統工芸による地域の活性化に関心が高い皆様
となってます。

くわしくは、
http://www.jaist.ac.jp/dento/index.html
をご参照ください。

お知らせまで。

金沢ステーションギャラリー 行ってきました!

2011年05月03日 | 日記
伝統工芸を材料科学でサイエンスするヨシムラ・サイエンス・ラボです。

今日、息子と二人でJR金沢駅のみどりの窓口横にある金沢ステーションギャラリーで開かれている「技で魅せるいしかわの伝統工芸」に行ってきました。
実は、本ブログでお世話になっている加賀繍 華工房の眞田さんが実演する一昨日に行く予定だったのですが、その日は強風のためJR富山⇔小矢部間が不通となり、結局、行けず。。。
それで今日行ってきました。

※眞田さんへ 「眞田さんの実演が見れず、残念でした。次の機会にはぜひ。」

本日は、加賀繍と加賀友禅の実演が行われており、先日紹介した鮮やかな色合いの加賀繍の糸を間近に見ることができて、とても興味深かかったです。
来年の3月25日まで開かれています。
皆さんもぜひどうぞ!

お見舞い申し上げます

2011年03月23日 | 日記
こんばんわ。
伝統工芸を材料科学でサイエンスするヨシムラ・サイエンス・ラボです。
最近、ブログ更新ができずすみませんでした。。。

2011年3月11日14時46分ごろ、三陸沖を震源に国内観測史上最大のM9.0の地震が発生しました。
この地震で被害を受けた方々にお見舞い申し上げます。

以前にブログで紹介しましたが、昨春までの10年間、宮城県に在住しておりました。
宮城県に在住中に、今後30年間に宮城県沖地震が発生する確率は99%と聞いておりましたが、とうとう現実のものとなってしましました。
津波の被害地としてTVで映し出される石巻や塩釜、女川は、良く家族で遊びに行ったところでもあり、映像を見る度に悲しい気持ちになります。

早く、復旧することを願っています。

日曜日の富山新聞

2011年01月17日 | 日記
こんばんわ。

今週の日曜日の富山新聞(石川県では北國新聞)の第3面、見ましたか?
「伝統産業 失われた20年」と題して、石川県の伝統産業である加賀友禅、金箔、漆器の生産額について述べられていました。
1990年初頭と比べて、いずれの産業もその生産額が5~8割ほど減少している実情が紹介されていました。
ポイントは、「若者に使ってもらうこと」だそうです。

たぶん、富山新聞にのみだと思いますが、高岡銅器の販売額の変化についても小さい記事ですが書かれており、1990年のピークに対して2008年度は1/3に減少しているとのことでした。

日ごろお付き合いのある業者さん(工業炉メーカー)が先日新年の挨拶に来られた際に、手土産として高岡銅器で作られたうさぎの置物を置いてかれました。

富山では身近な高岡銅器。
新たな用途を拡大し、販売額を持ち直してほしいものです。
そのためにも、ヨシムラ・サイエンスラボも微力ながら頑張ります。

日本の伝統文化を支える南部鉄器

2011年01月12日 | 日記
今日は、岩手県の伝統工芸である南部鉄器を材料科学してみたいと思います。


茶道は単にお茶を点てて飲むだけでなく、庭園や茶室、茶道具も含む幅広い分野にまたがる総合芸術であり、まさに日本の伝統文化と言えます。
茶道の美としては、「なり」、「ころ」、「ようす」の3つが重視され、茶道具の選択基準となっています。「なり」とは茶道具の外見、「ころ」とは大きさや比率、「ようす」とは茶道具が持っている雰囲気、だそうです。

この様な茶道の美に基づく茶道具の中で、金属製のモノで代表的なのは湯を沸かす器の茶釜があります。この茶釜は実に数百種類の形状があると言われています。

茶釜の材質は鉄に炭素を2%以上加えた鋳鉄と呼ばれる金属でできています。
鋳鉄茶釜の産地として岩手県の南部鉄器が有名です。南部鉄器は江戸時代、南部藩のもとで茶釜づくりから発達した鉄鋳物で、盛岡を中心に作られ続けてきたものです。

鋳物とは、溶けた金属を作ろうとする物と同じ形の空間を持つ型に流し込んで固めて造ったものであり、茶釜の材質は鋳鉄に限らず、黄銅やアルミニウムでもこのような手法で作られる製品もあります。
南部鉄器でできた製品は、茶釜の他に風鈴や鉄瓶があります。南部鉄器の風鈴は素朴でやさしい音色で有名で、JR東日本の水沢駅は毎年夏になるとホームに風鈴が吊るされ乗客を楽しませていることから「風鈴駅」の別名も持っています。

茶道の美の一つとして位置づけられる茶釜。それを造る南部鉄器は、まさに日本の伝統文化です。
後世まで引き継いでいかなければいけませんね。

新年、あけましておめでとうございます

2011年01月09日 | 日記
新年、あけましておめでとうございます。

昨年の春に、10年間馴れ親しんで住んでいた宮城県を離れ、地元の北陸に戻りました。
そのタイミングで、技術士事務所「ヨシムラ・サイエンスラボ」を開所しました。
また、北陸先端科学技術大学院大学の伝統工芸イノベータ養成ユニット 伝統工芸MOTコースも受講し、昨年末に無事、修了することができました。
その間、ご指導頂いた緒方先生をはじめ、伝統工芸に関わられているいろいろな方々とお知り合いになることができました。
皆様、ありがとうございました。

昨年は10月以降、ブログ更新ができず、お恥ずかしい限りです。
今年は、伝統工芸に関する内容をどんどん紹介していきたいと思っています。


おしゃれメッセ2010

2010年10月18日 | 日記
おしゃれメッセ2010に行ってきました。
会場のしいのき迎賓館ではA会場とB会場の2会場で伝統工芸技術と現代技術を融合させた数多くの商品が展示されていました。
道路をはさんで向かい側の21世紀美術館では、感性価値デザイン展が開かれていました。
感性工学で開発された商品の展示がありましたので、ついでに見てきました。
直接、伝統工芸とはあまり関係はありませんが、チタンや錫など様々な金属材料が使用されており、材料科学を専門とする私にとってとても興味深く観ることが出来ました。
これから数回に渡って、おしゃれと感性価値デザイン展で展示されていた商品を材料科学の観点から紹介していきます。

皆さん、お楽しみに!

伝統工芸×生活用品

2010年10月14日 | 日記
おしゃれメッセ2010“かなざわごのみ”が、昨日より金沢21世紀美術館での展示会を皮切りに開催されたようです。
伝統工芸を活用した生活用品が紹介されており、まさに伝統工芸と生活雑貨の融合、すなわち「伝統工芸×生活雑貨」です。
ヨシムラ・サイエンス・ラボでは伝統工芸を材料科学の観点から見つめており、言い換えると、「伝統工芸×材料科学」と言えます。

伝統工芸と何かを掛け合わすことにより、別の視点で分析することができ、その結果、新たな相乗効果が生まれる可能性大です。
おしゃれメッセ2010“かなざわごのみ”で、「伝統工芸×生活雑貨」によりどのような相乗効果が生まれているのかが期待されます。

今週末の土曜日に伝統工芸MOTコース第2回目の講義が、石川県地場産業センターで開かれます。
早めに石川県に向かって、金沢21世紀美術館での展示会に寄ってから、伝統工芸MOTコースに参加しようと思います。

展示会の様子については、改めて紹介します。お楽しみに。

金箔って食べても大丈夫なの?

2010年10月04日 | 日記
今日は、金箔について材料科学の観点からサイエンスしてみたいと思います。
さりげなく華やかさを添える金箔。金箔はほんの少量でも豪華な演出が出来ますので、食卓をゴージャスに飾る際には打って付けです。
金箔は金を箔打ちと言われる特別な技法で100万分の1ミリまで薄く延ばしたもので、日本の金箔の99%は石川県の金沢で生産されています。
金箔にはいくつかの種類があります。純金で出来ている純金箔の他に、少量の銀と銅が含まれた色の違う数種類のものがあります。
食用の金箔は、純金や銀を少量含んだ金箔です。
金はそもそも最も耐食性の良い金属です。古来から金が装飾品として珍重されてきたのも、年月を重ねてもその美しさが保たれるからであります。そのため、金は食しても胃酸に溶けることもなく、体内で吸収も排出もされずに排出されていまいます。ですから、食べてもまったく害はありません。また、金箔は厚生労働省が定める食品添加物として認められています。
最近はインターネットショッピングで食用金箔が販売されています。文字や星型形状に形付けられたものなど多種多様です。子供の誕生日や旦那さんとの結婚記念日など、ちょっとした一工夫でお祝いの食事に花を添えることが出来ます。皆さんもお試しあれ。

北陸先端大学院大学 伝統工芸MOTコース

2010年09月21日 | 日記
私の生まれ故郷のすぐ近くの石川県能美市に北陸先端大学院大学という大学があります。
その大学で、地域再生プログラムの一環として平成19年度から伝統工芸の世界に革新を巻き起こす人材(伝統工芸イノベータ)の養成を進めており、今年で第4期となります。
具体的には、3つのコース(伝統工芸MOTコース、産地MOT実践塾、商品開発実践プロジェクト)から構成されており、伝統工芸MOTコースからの順で受講できるようになっています。

私は昨年から入講を検討していたのですが、漸く今年の第4期伝統工芸MOTコースへの入講を実現することができました!
第1回目の講義は10月2日に予定されています。
楽しみです。

銅の鍛金技術

2010年09月20日 | 日記
今日、たまたま富山大和に出かけた際に、新潟県燕市の銅の鍛金職人 大橋保隆氏による鍛金(たんきん)の実演と作品の販売が開かれていました。
本日は、この鍛金について紹介します。

鍛金とは、金属を打って伸ばしながら器物をつくる伝統技法の一つで、銅はやわらかい金属のため、鍛金に適した金属材料です。
その一方で、金属は変形させるほど硬くなる性質をもっていますので、鍛金で形造られた器は硬くて丈夫なものに仕上がります。
新潟県燕市は金属製品の製造拠点として古くから知られており、ステンレスの加工で有名です。
有名な燕市のステンレス加工も、元々は銅の鍛金技術が基礎となっているそうです。
いくつか大橋氏の作品を写真に撮らせていただきました。
写真のお皿は、鍛金で形作った後に硫化カリウムという薬品で色づけされています。
深みのある渋い色合いですね。


大橋さん、本日は実演途中にも関わらず取材させて頂き、ありがとうございました。

鐘や銅像の表面にできた緑錆は無害?

2010年09月05日 | 日記
お久しぶりです。
今日は、鐘や銅像の表面にできる錆(さび)について材料科学の観点からサイエンスしてみたいと思います。
屋外に設置されている銅製の鐘や銅像の表面には、緑青(りょくしょう)と言われる銅特有の緑色の錆びで覆われています。思い出してください。アメリカの自由の女神も確か緑色ですよね? 自由の女神の表面もたっぷりと緑青で覆われています。
この表面にできた緑青は錆が進まないようにする効果があり、この緑錆のおかげで、銅製の鐘や銅像は屋外での風雨に曝さわれてもそれ以上にボロボロに錆が進まない様になっています。まさに、“毒をもって毒を制する”ならぬ“錆をもって錆を制する”ですね。
この緑青は銅であれば別に屋外でなくても発生します。
長い間、机の中にしまっておいた10円玉なんかにも緑青は発生します。皆さんは子供の頃に親から、「緑青は猛毒なんだから、触っちゃいけないよ!」って言われた記憶はありませんか? 筆者の私もそのように教えられており、子供の頃に誤って触ってしまい、思いっきり石鹸で手を洗った記憶があります。
しかし、この緑青。実は無害だったのです!

昔の銅製品には、今ほど技術が進化していませんので不純物が多く含まれていました。
また、今ほど金属元素の有害性も明らかになっていませんでしたので、作りやすさなどからヒ素と呼ばれる金属が銅製品に含まれることが多くあった様です。
ヒ素は人体に有害な金属で、和歌山県で起こった毒入りカレー事件もこのヒ素と関係していました。
昔の銅製品には人体に有害なヒ素が含まれていたため、その銅製品の表面に発生した緑青にもヒ素が混じっていました。そのために、「ヒ素が含まれていた銅製品にはヒ素入りの緑青。ヒ素入りの緑青は猛毒。」となったようです。

お寺と寺院の鐘 -日本の鐘の音は「ゴーン」、西洋の鐘の音は「カランカラン」-

2010年08月21日 | 日記
今日は、鐘の音について材料科学の観点からサイエンスしてみたいと思います。
日本のお寺には、富山の伝統工芸である高岡銅器で作られた鐘が数多くあります。
このお寺の鐘は青銅(せいどう)と呼ばれる銅合金で出来ています。
青銅とは銅(どう)に錫(すず)を混ぜた銅合金(どうごうきん)の一種で、紀元前4000年から使用されている最も歴史ある金属です。
皆さんは、博物館に展示されているブロンズ像とか、ブロンズっていう言葉を聞いたことありますよね。青銅はブロンズとも呼ばれます。

お寺の鐘は、日本だけでなく、西洋の寺院にもありますよね。
実は、日本の鐘も西洋の鐘もどちらも同じ青銅でできているんです。
でも、日本のお寺の鐘の音と西洋の寺院の鐘の音が違ってると思いませんか?
皆さん、思い出してください。日本のお寺の鐘の音は「ゴーンゴーン」、西洋の寺院の鐘の音は「カランカラン」、ですよね?
この鐘を打った時の音の違い。もちろん形状にもよりますが、青銅に含まれる錫の量によって違ってくるんです。
日本のお寺の鐘とチャペルや寺院の鐘の音の違いは錫の含有量の違いによるものなのです!
日本のお寺の鐘には錫が十数パーセント添加された青銅であり、柔らかい特性を有しています。
これに対して西洋の寺院の鐘は錫が二十数パーセント添加された青銅で、硬くて割れやすい特性を有しています。

日本人はお寺の重厚な鐘の音「ゴーン」を聞いて、西洋人は教会や寺院の高い鐘の音「カランカラン」を聞いてそれぞれの思いを抱きます。
文化の違いを感じますね。

愛される快音を醸し出す風鈴

2010年08月16日 | 日記
今日(2010年8月16日)の夕方6時からのNHK富山ニュースで、高岡銅器に関する紹介がありました。
高岡銅器は約400年前から続いている伝統工芸です。その高岡銅器でつくられた風鈴がJR高岡駅に吊るされるのは夏の恒例となっています。今、その高岡銅器でつくられた風鈴において、人の心を和ませる音の創出に向けてのチャレンジが続いています。
高岡市にある従業員6名の高岡銅器を製造するメーカーでは中央大学との共同研究で、伝統工芸としての歴史ある技術と現在の技術を融合させた、既製品とは違う、愛される快音を醸し出す風鈴の創出を目指しています。
音色を調整するのはキャリア50年のベテラン技術者による1/100ミリメートルの精度からなる加工技術によるものだそうです。
職人の技術の奥深さを感じますね。

はじめまして

2010年08月16日 | 日記
はじめまして。
ヨシムラ・サイエンス・ラボ 所長の吉村です。

石川、富山、福井からなる北陸三県には、輪島塗、高岡銅器などをはじめとする古くから受け継がれる伝統工芸が数多くあります。このような日本のよき伝統工芸を後世に受け継ぐべく、サイエンスコミュニケータとして材料科学の観点からわかりやすく紹介していきたいと思っています。
ブログの更新は不定期ですが、みなさん、お楽しみに!