ヨシムラ・サイエンス・ラボ

身近な物を材料視点で解説「サイエンスライター」
銅の良さを伝え広める「伝銅師」、金属のお悩みへの相談「メタルソムリエ」

加賀繍の材料科学でサイエンス 始まりま~す♪

2011年03月31日 | 高岡銅器
伝統工芸を材料科学でサイエンスするヨシムラ・サイエンス・ラボです。

江戸時代、加賀友禅の加飾などに使われて発達した加賀繍(かがぬい)。
加賀繍は日本刺繍の一つであり、石川県の加賀地方を産地として発展した伝統的工芸品です。
絹糸や金糸、銀糸を巧みに使って立体感あふれる図柄を浮かび上がらせるのが特徴で、繊細な技術を駆使しながらひと針ひと針、丹精につくられます。

今回から全4回で石川の伝統工芸の一つである加賀繍について、材料科学でサイエンスしてみたいと思います。
なお、今回の加賀繍に関するサイエンスついては、「加賀繍 華工房」の眞田さんにアドバイスをいただきました。
第1回目の今日は、眞田さんについて紹介しておきます。

眞田さんは、数ある加賀繍工房の一つである「加賀繍 華工房」に所属する職人見習いで、ブログで加賀繍の魅力について紹介されています。
先日は、テレビ金沢の夕方のニュース・情報ワイド番組「となりのテレ金ちゃん」でも紹介されたそうですよ。
ヨシムラ・サイエンス・ラボのブックマークに入れてありますので、みなさんも眞田さんのブログ(http://hanakoubou.at.webry.info/)をご覧になっては如何でしょうか?

それでは、次回から加賀繍を材料科学でサイエンス、始まりま~す♪
お楽しみに!

これまでに掘りこされた金の量はプール3杯分

2011年03月28日 | 金属 よもやま話
伝統工芸を材料科学でサイエンスするヨシムラ・サイエンス・ラボです。

前回は、中国などの新興国のものすごい需要拡大による、銅や錫地金の価格高騰について説明しました。
このように、これまでにない勢いで金属が消費され続けるといったいどうなっていくんでしょうか?
今日は、金属資源の枯渇について紹介します。

金属資源があと何年持つでかを見積もる指標として可採年数(かさいねんすう)があります。
可採年数とは、埋蔵量(確認可採埋蔵量)を年生産量で割った値のことです。

各金属の可採年数を示すと、次の様に計算されています。
(※環境省総合環境政策局ライフサイクル評価(LCA)、「鉱物資源使用」カテゴリーの特性化係数(2004年3月)から引用)
銅:36年
錫:26年
亜鉛:23年
このように、銅や錫、亜鉛が今後20~40年後に枯渇してしまうというデータが公開されています。

ちなみに、伝統工芸の材料として欠かせない金属の一つである金。
これまでに掘り出された総量は約14万トン!
この14万トンを量に例えると、オリンピックの競泳用プール3杯分くらいになります。
決して多くない量ですよね。
さすが、貴重な金属の王様  ですね。

金屋町の大寺幸八郎商店

2011年03月26日 | 金屋町訪問
伝統工芸を材料科学でサイエンスするヨシムラ・サイエンス・ラボです。

先日、高岡駅地下の駅地下芸文ギャラリーで開かれた、高岡の銅器や漆器と富山のガラス技術を融合させた新作の展示「春のしつらい」に行ったついでに、高岡市の金屋町に行ってきました。
金屋町は高岡銅器発祥の地です。
銅器記念公園の駐車場に車を止め、鋳物資料館を抜けて、金屋町の通りに出た途端、石畳の続く、雰囲気の良い通りにでました。
昨年の夏に、家族でおわら風の盆を見に八尾に行った時に八尾の町並みにも感動しましたが、金屋町の町並みのすばらしさにも感動しました。
ちなみに、後から知ったのですが、金屋町の石畳には所々銅のプレートが埋め込まれていました。
銅器の町ならでわですよね。


今回は、通りに面した大寺幸八郎商店さん(HPアドレス:http://www.ootera.com/)に寄ってみました。
大寺幸八郎商店さんは、金属工芸美術品の販売をされています。
お店の大寺康太さんに色々とお話をお伺いさせて頂きながら、お店の商品を見せていただきました。
趣のある店内に、銅器や錫製品など数多くの商品が所狭しと陳列されていました。
皆さんも、高岡の金屋町にお越しの際は、ぜひ大寺幸八郎商店さんに寄られてはいかがでしょうか?

次回は金屋町の別のお店を訪れてみたいと思います。

錫の価格

2011年03月25日 | 高岡銅器
こんばんわ。

伝統工芸を材料科学でサイエンスするヨシムラ・サイエンス・ラボです。
今日は、高岡銅器には銅の次に欠かせない錫(すず)に関するサイエンス 第3回目です。

今、錫は、銅に負けず劣らず、高騰しています。
グラフは、錫の1キログラムあたりの価格推移を示していますが、2000年初めは約800円だったのが、今はなんと約3倍の約2,500円!


錫の主要な用途は、電子機器に使用されるハンダです。
電子機器のハンダ向けなど需要が堅調な一方、供給懸念が強まっていることもあり、錫価格が高騰しているようです。
中国をはじめとする新興国のものすごい需要拡大が影響しているんでしょうね。

このように、これまでにない勢いで金属が消費され続けるといったいどうなっていくんでしょうか?
最近、「レアメタルが無くなってしまう!」なんていう記事をよく見ませんか?
次回は、金属資源の枯渇について紹介します。

お見舞い申し上げます

2011年03月23日 | 日記
こんばんわ。
伝統工芸を材料科学でサイエンスするヨシムラ・サイエンス・ラボです。
最近、ブログ更新ができずすみませんでした。。。

2011年3月11日14時46分ごろ、三陸沖を震源に国内観測史上最大のM9.0の地震が発生しました。
この地震で被害を受けた方々にお見舞い申し上げます。

以前にブログで紹介しましたが、昨春までの10年間、宮城県に在住しておりました。
宮城県に在住中に、今後30年間に宮城県沖地震が発生する確率は99%と聞いておりましたが、とうとう現実のものとなってしましました。
津波の被害地としてTVで映し出される石巻や塩釜、女川は、良く家族で遊びに行ったところでもあり、映像を見る度に悲しい気持ちになります。

早く、復旧することを願っています。

行ってきました! 

2011年03月05日 | お知らせ
こんにちは。
伝統工芸を材料科学でサイエンスするヨシムラ・サイエンス・ラボです。

昨日のメールでご紹介した、高岡の銅器や漆器と富山のガラス技術を融合させた新作の展示「春のしつらい」に行ってきました。
場所は、JR高岡駅の正面改札口を降りてすぐの地下街の中にある駅地下芸文ギャラリーです。
どこにあるのか、最初は分からず、ちょっと迷いました。。。


透明感のあるガラスと、光沢のある金属や鮮やかな色の漆が融合した新作が数多く展示されていました。
写真に示す金属のワイヤーで形作った水引を埋め込んだガラス製のペーパーウエイトや、鮮やかな色の漆が透けて見える箸置きは、特に目を引く作品でした。

銀色のワイヤー(材質はステンレスかな?)と赤色のワイヤー(材質は銅かな?)からなる水引は、透明感のあるガラスの中に埋め込まれているからこその輝きがあり、また、小さく精巧に作られているので感動するほどの美しさでした。

来週の日曜日 3月13日まで開かれているようです。
皆さんも見に行かれてはいかがでしょうか?


技(わざ)の融合 ~今日の富山新聞から~

2011年03月04日 | お知らせ
こんばんわ。
伝統工芸を材料科学でサイエンスするヨシムラ・サイエンス・ラボです。

今日の富山新聞に「富山、高岡の技融合 ガラス+銅器、漆器=新作」と題して、高岡の銅器や漆器と、富山のガラス技術を融合させた新作完成に関する記事が載っていました。

これは、2008年4月に結成された「MGJプロジェクト」による取組みの一つで、異なる素材を複合化させることでデザイン性に優れた商品を開発することが狙いだそうです。

ガラスは光を透過しやすく、その透明感は他のどんな素材よりも優れています。その一方で、ガラスは割れやすい性質を持っており、はかなさも感じる素材ですよね。

銅器は、これまでにヨシムラ・サイエンス・ラボで何度となく紹介していますので今さら紹介するまでもありませんが、金属が持つ重みや色合い、重厚感が特徴で、歴史のある素材です。

漆は、ウルシ科の植物から取れる樹液を加工したウルシオールと呼ばれる天然の樹脂、いわゆる天然のプラスチック素材と言えます。

これらの全く異なる特徴を有する三つの素材の融合によって生まれた作品。
非常に興味深いですね。

明日(5日)から、高岡市の駅地下芸文ギャラリーで展示されるそうです。
明日にでも見てきたいと思いますので、その結果についてはまた紹介したいと思います。