ヨシムラ・サイエンス・ラボ

身近な物を材料視点で解説「サイエンスライター」
銅の良さを伝え広める「伝銅師」、金属のお悩みへの相談「メタルソムリエ」

グリーン × 金属

2021年10月16日 | 金属 よもやま話
伝統工芸と身近な物を材料科学するヨシムラ・サイエンス・ラボです。

近年の海水面の上昇や異常気象などもあり、最近、急激に環境に対する意識が高まっていますよね。
そんな中で、新聞や雑誌、ネットで、「グリーン〇〇〇」という言葉をよく見かけます。
具体的には、グリーンイノベーション、グリーン戦略、グリーン経営、グリーン調達、グリーン購入、・・・など、さまざまな言葉と「グリーン」を組み合わせて表現されています。
これらはいずれも、環境の事を考えて環境負荷ができるだけ小さい製品やサービス、あるいは環境負荷の低減に向けた取り組みを表す言葉として使用されているように思います。
(※明確な定義が見当たらなかったので、あくまで推測となります。)

実は、金属においても同様で、最近、「グリーンメタル」という言葉を見かけます。
グリーンメタルとは、温室効果ガスの発生がない、もしくは発生量が極めて少ない方法で調達した金属のことを意味しているようで、鉄鋼材料の場合は「グリーンスチール」、アルミニウムの場合は「グリーンアルミニウム」のように、個別の金属名と組み合わせて使用される場合もあるようです。

これまでの金属材料の分類は、鉄鋼材料/非鉄金属材料、軽金属/重金属、コモンメタル/レアメタル、ベースメタル、貴金属、などがありましたが、これからは、グリーンメタルというカテゴリーでの分類も使用されて一般的になっていくのかもしれませんね。

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身の周りでひっそりと使用されている亜鉛

2021年10月03日 | 身近な金属製品
伝統工芸と身近な物を材料科学するヨシムラ・サイエンス・ラボです。

今日は、「亜鉛」のお話です。
亜鉛は、鉄、銅、アルミニウムと同様に、ベースメタルと呼ばれる私たちの生活を支える基盤となる金属材料の1つです。
しかし、亜鉛と言われても、一般の方々にとっては、馴染みの薄い金属材料ではないでしょうか。
そこで、本日は、私たちの身の周りで活躍している亜鉛の用途についてご紹介します。

亜鉛の用途を多い順で並べると、トタンと呼ばれる犠牲防食を目的としためっき用途、次に銅への添加元素としての伸銅品用途、ダイキャスト用途、無機薬品用途、の順になります。

亜鉛用途1位のめっき用途は、鉄鋼材料の赤錆を抑制するいわゆる犠牲防食の役割で、灰色の模様のある街角のポールや門扉で見ることができます。

亜鉛用途2位の伸銅品用途は、銅に亜鉛を添加して銅の強度などの特性を向上させる役割で、その銅合金を黄銅や真鍮と呼びます。
亜鉛用途3位目のダイカスト用途は、亜鉛にアルミニウムを添加した亜鉛合金を使用した用途で、おもちゃや自動車部品などに使用されています。

1位の鉄鋼材料の赤錆を防ぐめっき用途と、2位の銅の特性を向上させる伸銅品用途は、亜鉛用途全体のおおよそ70%弱を占めています。
これらの用途は、どちらかというと亜鉛が主役というよりは、鉄鋼材料や銅を陰で引き立てる、黒子、あるいは縁の下の力持ち的な役割と言えるのではないでしょうか?
亜鉛が主役となるダイカスト用途がようやく3位にありますが、ダイカスト製品のほとんどは、その表面に塗装やめっきが施されていますので、亜鉛が使用されていることに気づくことが少ないようです。
具体的には、先日のブログでご紹介したアメリカの1セント硬貨のように。

以上から、亜鉛は、身の周りでひっそりと使用されている金属材料と言えるかもしれませんね。

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