ヨシムラ・サイエンス・ラボ

身近な物を材料視点で解説「サイエンスライター」
銅の良さを伝え広める「伝銅師」、金属のお悩みへの相談「メタルソムリエ」

高岡市美術館 × 鋳ぐるみ

2020年10月04日 | 高岡銅器
伝統工芸と身近な物を材料科学するヨシムラ・サイエンス・ラボです。

今日は、久しぶりに妻と富山県高岡市にある高岡市美術館に行ってきました。
高岡市美術館では、9月11日から10月18日まで「大澤光民の世界」が開催されており、人間国宝の大澤氏の鋳造作品が展示されていました。



「鋳ぐるみ」と呼ばれる、あらかじめ銅やステンレスなどの金属を鋳型にセットしておき、その鋳型に青銅の溶湯を鋳込んで、異種金属からなる鋳造品からなる加飾表現の優れたさまざまな作品が数多く展示されていました。
また、鋳物で一般的に除去される、型と型のすき間に発生する「鋳バリ」を作品に意図的に利用した展示品もあり、
「バリを活用する作品とは逆転の発想だなあ」と感じながら見学してきました。

異種金属からなる鋳物!
差別化となる新たな鋳造技術として参考にしたいですね。

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趣きのある色合いの高岡銅器、アイスクリームを溶かしやすいスプーン、錫製品、などなど

2015年12月02日 | 高岡銅器
伝統工芸と身近なものを材料科学でサイエンスするヨシムラ・サイエンス・ラボです。

もうすでに終わってしまいましたが、先週、高岡市のイオンモール高岡で開催された「Takaoka Craft」について。


高岡市がほこる名品が一同にありました。
例えば、趣きのある色合いの高岡銅器、アイスクリームを溶かしやすいスプーン、錫製品、などなど。

早めにブログで紹介したいと思いつつ、ご紹介が遅れてしまいました。。。

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モノ・コト・ココロ展  鋳物製品の製造工程が理解できます!

2015年11月15日 | 高岡銅器
伝統工芸と身近なものを材料科学でサイエンスするヨシムラ・サイエンス・ラボです。

本日は、富山にある百貨店の富山大和に妻と訪れた際に見つけた金属製品のイベントについてご紹介します。

高岡にある錫製品を製造販売している ㈱能作 のイベントとして、
11月11~17日(10:00~19:00)、能作 富山大和店 一周年記念イベント 「モノ・コト・ココロ展」が、富山大和5Fトピックスにて開催されています。


会場には、インゴットと呼ばれる原材料地金から、溶けた金属を固める金枠・鋳物砂、出来上がった鋳物(いもの)などが展示されていますので、
金属製品がどの様な過程を経て作られているかがよく分かります。
おすすめの展示ですので、ぜひご覧ください。










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高岡の鋳物に関するデザイン画

2014年01月19日 | 高岡銅器
伝統工芸と身近なものを材料科学でサイエンスするヨシムラ・サイエンス・ラボです。

富山県民会館開催されている「北高展」に行ってきました。


富山県立富山北部高校の情報デザイン科による作品が展示されており、大変レベルの高い作品が数多くありました。
その中には、高岡の伝統工芸である鋳物に関するデザイン画もありました。

明日の来週月曜日まで開催されていますので、お近くの方は、ぜひご覧ください。

movin' vol.21

2013年04月17日 | 高岡銅器
伝統工芸と身近なものを材料科学でサイエンスするヨシムラ・サイエンス・ラボです。

高岡の伝統工芸を中心とした技術とデザインを中心に紹介する movin' 2013年Vol.21が発刊されました。

アイスクリームを早く溶けさせて食べやすくする アイスクリームスプーン も紹介されています。


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JR高岡駅のメロディー

2013年03月12日 | 高岡銅器
伝統工芸と身近なものを材料科学でサイエンスするヨシムラ・サイエンス・ラボです。

本日から本業で出張で大阪に来ています。
朝8時過ぎのサンダーバードに乗車し、大阪に向かいました。
富山駅の次は高岡駅が停車駅なのですが、停車後の発車前には。。。。
高岡銅器のおりんの音色がホームに響きます。

なごみのいい音色ですね。
何度聞いても心地よいです。

涼しげな高岡銅器 風鈴

2012年08月01日 | 高岡銅器
伝統工芸を材料科学でサイエンスするヨシムラ・サイエンス・ラボです。

今、富山駅には涼しげな風鈴が並んでいます。
改札口の入り口前通りと、改札口入った正面に、高岡銅器と富山ガラスの風鈴です。
暑い日が続いていますが、風鈴の涼しげな音を聞くと、厚さでイライラした気持ちも和みますよね!


富山情報

2012年02月05日 | 高岡銅器
伝統工芸を材料科学でサイエンスするヨシムラ・サイエンス・ラボです。

富山のフリーペーパー「富山情報 2/1号」に、とやまモダンデザインとして富山の伝統工芸技術を使った新しい商品が紹介されました。

高岡銅器の伝統的な着色技術を活かしたモダンな時計。
銅合金の落ち着いた風合いを活かした鍋敷きや栓抜き。
透明感あふれるガラス素材を用いた器。

機会があれば、手に取って実物を見てみたいものです。


ちなみに、富山情報は週一で富山市と射水市の一般家庭に個別配布されているフリーペーパーで、富山市と射水市以外は、県東部と県西部のショッピングセンターなどにおかれています。

芸文金属図鑑 その2

2011年10月29日 | 高岡銅器
伝統工芸を材料科学でサイエンスするヨシムラ・サイエンス・ラボです。

先週ご紹介した、高岡の駅地下芸文ギャラリーで開かれている「芸文金属図鑑」に行ってきました。


富山大学の学生さんの作品展と共に、金属の加工方法である「鍛金」、「鋳金」、「彫金」などの金属の加工方法についてもわかりやすく紹介されていました。
金属を炉の熱で溶かす際に使用する使い古された黒鉛るつぼや各種の道具が展示されており、とてもリアルでした。


学生さんの作品の中で目を引いたのは、「つながり」と題された短い金属棒を溶接でつなぎ合わせた作品です。
まるで雪だるまがどんどん大きくなるように、溶接でつなぎ合わせる作業を繰り返していった様子が目に浮かびました。


「芸文金属図鑑」は、明日10月30日が最終日です。
皆さんも行かれてはいかがでしょうか?

ちょっと遅かったかな?

2011年04月24日 | 高岡銅器
伝統工芸を材料科学でサイエンスするヨシムラ・サイエンス・ラボです。

今日は家族と高岡にあるイオンショッピングセンターに行ってきました。
その帰りに金屋町に行きましたが、到着したのが18時すぎ。
どこのお店も閉まっており、ちょっとさみしい雰囲気でした。。。

次回はもう少し早めに行こうと思います!
※写真に写っているのは、私の最愛の娘と息子です。

加賀繍の材料科学でサイエンス 始まりま~す♪

2011年03月31日 | 高岡銅器
伝統工芸を材料科学でサイエンスするヨシムラ・サイエンス・ラボです。

江戸時代、加賀友禅の加飾などに使われて発達した加賀繍(かがぬい)。
加賀繍は日本刺繍の一つであり、石川県の加賀地方を産地として発展した伝統的工芸品です。
絹糸や金糸、銀糸を巧みに使って立体感あふれる図柄を浮かび上がらせるのが特徴で、繊細な技術を駆使しながらひと針ひと針、丹精につくられます。

今回から全4回で石川の伝統工芸の一つである加賀繍について、材料科学でサイエンスしてみたいと思います。
なお、今回の加賀繍に関するサイエンスついては、「加賀繍 華工房」の眞田さんにアドバイスをいただきました。
第1回目の今日は、眞田さんについて紹介しておきます。

眞田さんは、数ある加賀繍工房の一つである「加賀繍 華工房」に所属する職人見習いで、ブログで加賀繍の魅力について紹介されています。
先日は、テレビ金沢の夕方のニュース・情報ワイド番組「となりのテレ金ちゃん」でも紹介されたそうですよ。
ヨシムラ・サイエンス・ラボのブックマークに入れてありますので、みなさんも眞田さんのブログ(http://hanakoubou.at.webry.info/)をご覧になっては如何でしょうか?

それでは、次回から加賀繍を材料科学でサイエンス、始まりま~す♪
お楽しみに!

錫の価格

2011年03月25日 | 高岡銅器
こんばんわ。

伝統工芸を材料科学でサイエンスするヨシムラ・サイエンス・ラボです。
今日は、高岡銅器には銅の次に欠かせない錫(すず)に関するサイエンス 第3回目です。

今、錫は、銅に負けず劣らず、高騰しています。
グラフは、錫の1キログラムあたりの価格推移を示していますが、2000年初めは約800円だったのが、今はなんと約3倍の約2,500円!


錫の主要な用途は、電子機器に使用されるハンダです。
電子機器のハンダ向けなど需要が堅調な一方、供給懸念が強まっていることもあり、錫価格が高騰しているようです。
中国をはじめとする新興国のものすごい需要拡大が影響しているんでしょうね。

このように、これまでにない勢いで金属が消費され続けるといったいどうなっていくんでしょうか?
最近、「レアメタルが無くなってしまう!」なんていう記事をよく見ませんか?
次回は、金属資源の枯渇について紹介します。

高岡銅器と同じ金属が携帯電話にも。。。

2011年02月24日 | 高岡銅器
こんばんわ。

伝統工芸を材料科学でサイエンスするヨシムラ・サイエンス・ラボです。
今日は、高岡銅器には銅の次に欠かせない錫(すず)に関するサイエンス 第2回目です。

現代生活で無くてはならないモノとなっている携帯電話。
最近は、スマートフォンと呼ばれる更に進化した多機能携帯電話もかなり普及しています。
数年前は、スマートフォンを持っていると「スマートフォン、持ってるんだ!」って少し注目されましたが、今ではあちこちでスマートフォンを持っている人を見かけますよね。
実は、この携帯電話を初めとするハイテク機器に、高岡銅器と同じ金属が使われているて知っていましたか?

高岡銅器には青銅(せいどう)と呼ばれる銅(どう)に錫(すず)を混ぜた銅合金が用いられていることは前回お話ししましたよね。
携帯電話にも、銅に錫が入った リン青銅 と呼ばれる銅合金が、電気配線の部品に使用されています。
リン青銅は高岡銅器に使用されている青銅と同じ錫を含む銅合金なので、人間で例えるとちょうど兄弟のような位置づけです。

青銅の弟分のリン青銅は、かなり強くてたくましく、ばねのように曲げてもすぐに戻る、ハイテク機器には欠かせないピカイチの銅合金の一つです。

次回は、この錫の地金価格についてサイエンスします。
錫は、銅に負けず劣らず、高騰しています。
お楽しみに。

金属の錫(すず)から音が出る??

2011年02月22日 | 高岡銅器
こんばんわ。

伝統工芸を材料科学でサイエンスするヨシムラ・サイエンス・ラボです。
今日は、高岡銅器には銅の次に欠かせない錫(すず)についてサイエンスします。

高岡銅器には青銅(せいどう)と呼ばれる銅合金が使用されています。
青銅とは銅(どう)に錫(すず)を混ぜた銅合金の一種で、紀元前4000年から使用されている最も歴史ある金属です。

この錫は、融点(溶ける温度)が230℃と低く、容易に溶かしたり固めたりできる金属の一つです。
そのため、錫は鉛(なまり)と混ぜて、電子部品を回路に取り付ける はんだ にも使用されています。

また、錫は体に対する有害性も低いため、食器にも使われます。
確か、京都の工芸品で錫でできた ぐい呑み も有名だったと思います。
科学的な原理はよく理解していませんけど、錫でできた ぐい呑み で飲むお酒は、甘くてまろやかな味になるそうです。

あと、錫は曲げたりつぶしたりすると、「ピキッ」という独特の音が発生します。
金属から音が発生するって知らなかったでしょ?
これは、金属の結晶構造が変形によって変態するためです。←ちょっと専門すぎて難しいですよね。
この現象を、錫鳴き っていうですよ。

次回も錫についてサイエンスしたいと思います。
それではまた。

1号、2号の正体

2011年02月18日 | 高岡銅器
こんばんわ。
材料科学の観点から伝統工芸をサイエンスするヨシムラ・サイエンス・ラボです。

今日は前回に引き続き、故銅についてサイエンスします。

前回、故銅は日本工業規格(JIS)で32種類に分けて規定されていること説明しましたが、その詳細についてふれておきます。

まず、最も不純物を含まない純銅に近いものが1号銅線屑です。
これは、1本の銅線の太さが1.3mm以上の純良な銅からなるもので、表面が光った状態なのでピカ線とも呼ばれます。

次に、次に純度が高いのは2号銅線屑です。
これは、1本の銅線の太さが1.3mmに満たない銅線屑です。
表面が真っ黒になった被覆物を焼いて除去した銅線も2号銅線屑にあたります。
この表面が真っ黒になった銅線を焼き線とも呼びますが、被覆物を焼く際にガスが発生するため、最近は環境問題の観点からあまり焼き線を見なくなりました。

最近の銅価格高騰に対する対応として、この様な純度の高い故銅が有効に活用されています。

次回は、高岡銅器の原材料で銅の次に多く使用される錫(すず)についてサイエンスします。
お楽しみに。