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お寺と寺院の鐘 -日本の鐘の音は「ゴーン」、西洋の鐘の音は「カランカラン」-

2010年08月21日 | 日記
今日は、鐘の音について材料科学の観点からサイエンスしてみたいと思います。
日本のお寺には、富山の伝統工芸である高岡銅器で作られた鐘が数多くあります。
このお寺の鐘は青銅(せいどう)と呼ばれる銅合金で出来ています。
青銅とは銅(どう)に錫(すず)を混ぜた銅合金(どうごうきん)の一種で、紀元前4000年から使用されている最も歴史ある金属です。
皆さんは、博物館に展示されているブロンズ像とか、ブロンズっていう言葉を聞いたことありますよね。青銅はブロンズとも呼ばれます。

お寺の鐘は、日本だけでなく、西洋の寺院にもありますよね。
実は、日本の鐘も西洋の鐘もどちらも同じ青銅でできているんです。
でも、日本のお寺の鐘の音と西洋の寺院の鐘の音が違ってると思いませんか?
皆さん、思い出してください。日本のお寺の鐘の音は「ゴーンゴーン」、西洋の寺院の鐘の音は「カランカラン」、ですよね?
この鐘を打った時の音の違い。もちろん形状にもよりますが、青銅に含まれる錫の量によって違ってくるんです。
日本のお寺の鐘とチャペルや寺院の鐘の音の違いは錫の含有量の違いによるものなのです!
日本のお寺の鐘には錫が十数パーセント添加された青銅であり、柔らかい特性を有しています。
これに対して西洋の寺院の鐘は錫が二十数パーセント添加された青銅で、硬くて割れやすい特性を有しています。

日本人はお寺の重厚な鐘の音「ゴーン」を聞いて、西洋人は教会や寺院の高い鐘の音「カランカラン」を聞いてそれぞれの思いを抱きます。
文化の違いを感じますね。

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