ヨシムラ・サイエンス・ラボ

身近な物を材料視点で解説「サイエンスライター」
銅の良さを伝え広める「伝銅師」、金属のお悩みへの相談「メタルソムリエ」

ゲストハウスウエディングの鐘の音 その3

2014年05月24日 | 金属
伝統工芸と身近なものを材料科学でサイエンスするヨシムラ・サイエンス・ラボです。

前回は、音響の観点から優れた金属を選定する指針の一つとして、『弾性率/密度』を紹介し、その値が高い金属ほど良いことを紹介しました。

今回は、音響の観点から優れた金属を選定するもう一つの指針である、「内部摩擦」について紹介します。
鐘やおりんをたたくと、音が響かずに止まってしまうより、「ゴ~ン」とか「リ~ン」と音の余韻が永く伸びた方が好ましいですよね。
この金属をたたいた時に音の余韻が永く伸びるかどうかは、金属の「内部摩擦値」が関係します。
金属の「内部摩擦値」が小さいと、音の振動が吸収されにくくなるため、金属から発せられる音が、より聴衆の耳に達しやすくなるそうです。
この様な「内部摩擦値」の大小は、金属に限らず、楽器に使用される木材でも重視されています。
例えば、マリンバといった打楽器では出した音の余韻が長く伸びた方が好ましいようで、「内部摩擦値」の小さいローズウッドが使用されているようです。

楽器に使用されてる材料に求められる特性は、金属であれ木材であれ一緒なんですね。

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ステンレスのお手入れ法をご紹介しま~す

2014年05月08日 | 金属
伝統工芸と身近なものを材料科学でサイエンスするヨシムラ・サイエンス・ラボです。

ステンレスは錆びない金属のため、清潔さや美観が求められる器具に使われます。
例えば、システムキッチンやスプーンなどに使われていますよね。
本日は、ステンレス製品の美観を損なわずに使い続けるためのお手入れについてご紹介します!

具体的には次の通りです。

・使用後は、塩などの塩分はしっかりと除去する
・汚れが付いた場合は、柔らかいスポンジを使用して磨く
・できるだけ乾燥させる

錆びない金属として知られるステンレスも、時と場合によっては錆が発生する場合があります。
愛着のある器具は、上記のお手入れをして、キラリと光る輝きさを保って長年使いたいですよね。

身の周りにあった水銀(第五回)

2014年05月05日 | 金属
伝統工芸と身近なものを材料科学でサイエンスするヨシムラ・サイエンス・ラボです。

水銀は体温計や消毒剤などの身近なところで使用されてきましたが、近年は水銀を使用しない代替製品の普及が進んでいます。
6回に渡って、水銀が使用されていた製品について紹介していきます。

第五回の今回は、虫歯治療に用いるアマルガムについて。

アマルガムとは、銀、銅、錫などの金属粉と水銀を混ぜ合わせた金属で、虫歯で出来た穴に詰める歯科用の金属のことです。
日本では、30年程前からその使用が減少してきており、現在ではほとんど使用されていないようです。
虫歯の穴に詰めるときは柔らかくて、詰め終わると硬くなるため、歯科用金属としては使い勝手が良かったようです。

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身の周りにあった水銀(第四回)

2014年05月04日 | 金属
伝統工芸と身近なものを材料科学でサイエンスするヨシムラ・サイエンス・ラボです。

水銀は体温計や消毒剤などの身近なところで使用されてきましたが、近年は水銀を使用しない代替製品の普及が進んでいます。
6回に渡って、水銀が使用されていた製品について紹介していきます。

第四回の今回は、防腐剤として使用してきたチメロサールについて。

チメロサールとは、舌を噛みそうな名前ですが、殺菌作用のある水銀化合物のことで、以前はワクチンに保存剤として添加されていたそうです。
最近ではチメロサールを添加しないワクチンや、チメロサールを減量したワクチンが増え、チメロサールをワクチンの保存剤としてできるだけ添加しない方向にあります。
ちなみに、チメロサールは、人間への毒性が心配されるエチル水銀に分解するそうです。

横浜市衛生研究所サイトより

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身の周りにあった水銀(第三回)

2014年05月03日 | 金属
伝統工芸と身近なものを材料科学でサイエンスするヨシムラ・サイエンス・ラボです。

水銀は体温計や消毒剤などの身近なところで使用されてきましたが、近年は水銀を使用しない代替製品の普及が進んでいます。
6回に渡って、水銀が使用されていた製品について紹介していきます。

第三回の今回は、乾電池。

乾電池の保存性を高めるために、マイナス極材料の亜鉛表面を水銀でカバーしていましたが、1991年(平成3年)にマンガン乾電池で、1992年(平成4年)にはアルカリ乾電池で、それぞれ水銀使用ゼロが実現されたようです。

(一社)電池工業会 なるほど電池Q&Aより


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身の周りにあった水銀(第二回)

2014年04月28日 | 金属
伝統工芸と身近なものを材料科学でサイエンスするヨシムラ・サイエンス・ラボです。

水銀は体温計や消毒剤などの身近なところで使用されてきましたが、近年は水銀を使用しない代替製品の普及が進んでいます。
6回に渡って、水銀が使用されていた製品について紹介していきます。

第二回の今回は、蛍光灯。
LEDに押され気味の蛍光灯ですが、蛍光灯の中には水銀が封入されているそうです。
その量は、1975年代の約50mgから2005年には約8mgに減少しているそうです。

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身の周りにあった水銀(第一回)

2014年04月27日 | 金属
伝統工芸と身近なものを材料科学でサイエンスするヨシムラ・サイエンス・ラボです。

水銀は体温計や消毒剤などの身近なところで使用されてきましたが、近年は水銀を使用しない代替製品の普及が進んでいます。
今回から6回に渡って、水銀が使用されていた製品について紹介していきます。

第一回の今回は、体温計。
最近は電子式が普及していますが、私が子供の頃は、水銀の熱膨張を利用した水銀式の体温計でした。
電子式はピピッツと体温を知らせてくれますが、昔の水銀式はうまく挟んでいないといつまで経っても正確な温度が測れませんでした。
懐かしい思いですね。

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非鉄金属って?

2014年01月22日 | 金属
伝統工芸と身近なものを材料科学でサイエンスするヨシムラ・サイエンス・ラボです。

皆さんは非鉄金属って聞いたことがありますか?
今日は、その非鉄金属についてご紹介します。

金属を大別すると、鉄と鉄以外の2つに分けられる場合が多いようです。
これは、世の中で最も多く使用されている金属が鉄であることから、鉄と鉄以外といった分け方がなされている様です。
後者の鉄以外の金属を総じて非鉄金属と呼びます。
具体的には、銅、鉛、亜鉛、アルミニウム、錫など、電気・電子・機械部品や建築材料、自動車などの様々な産業分野に利用されています。
最近の新聞記事をにぎわすリチウムやインジウム等のレアメタルも非鉄金属です。
鉄が「産業の父」とすれば、非鉄金属は「産業の母」であり、現代社会ではますます非鉄金属の重要性が増してきています。

次回は、非鉄金属の代表であるアルミニウムについて、身近なものの実例を挙げて紹介します。
お楽しみに。

身近な金属 「はんだ」

2014年01月09日 | 金属
伝統工芸と身近なものを材料科学でサイエンスするヨシムラ・サイエンス・ラボです。

本日は、身近な金属としての「はんだ」に関する小話です。

私が子供のころの趣味と言えば、電子工作!
ラジオや電子オルゴールなど、いろいろ作りました。
当時、「ラジオの製作」とか「初歩のラジオ」という電子工作専門雑誌があって、毎月楽しみにしていた記憶があります。
さて、電子工作に欠かせないのが「はんだ」。

はんだは、金属同士を接合したり、電子回路で電子部品をプリント基板に固定するために使われる金属で、①低い融点、②接合する相手材とのくっつき易さ、③電気を通しやすい、④接合後の十分な強度、等の特性が求められます。
これらの特性を満足する合金として、錫の濃度が60~63%の鉛‐錫合金がはんだとして使用されています。

ところが、はんだの合金成分の一つである鉛は人体に有害な金属のため、鉛を含まない鉛フリーはんだ(なまりふりーはんだ)が開発され、その使用が主流となってきています。
鉛フリーはんだの発端は、1990年代には廃棄された電子部品のはんだから酸性雨により鉛が溶け出して地下水を汚染するという問題が起こったことが原因だったようです。

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1円玉と5円玉 製造再開!?

2014年01月05日 | 金属
伝統工芸と身近なものを材料科学でサイエンスするヨシムラ・サイエンス・ラボです。
本日は、身近なものの一つである1円玉と5円玉について。


硬貨は金属でできていますが、その材質はそれぞれ1円玉は純アルミニウム、5円玉は真鍮(銅合金)で出来ています。
この1円玉と5円玉。
2014年度から、その製造を再開するそうです。
1円玉や5円玉は毎年製造されていると思いきや、本格的に製造されるのは、1円玉は2009年度以来の5年ぶり、5円玉は2008年度以来の6年ぶりだそうです。(※2014年1月5日 朝日中学生ウイークリーより)

というのは、今年の4月から消費税が5%から8%にアップしますが、それに伴い、1円玉と5円玉の使用が増えるためだとか。

日頃、何気なく使っている1円玉と5円玉。
製造再開とは意外でしたね。。。

「生活を支える金属 いろはにほへと」

2013年09月08日 | 金属
伝統工芸と身近なものを材料科学でサイエンスするヨシムラ・サイエンス・ラボです。

技術雑誌「ツールエンジニア」(大河出版)に隔月連載頂いている「生活を支える金属 いろはにほへと」。
これまで2回にわたって『スプーンの秘密』と題して、日ごろ何気なく使っているスプーンを題材にステンレス、銀、アルミニウムの耐食性、熱伝導性、加工性について解説しました。
金属の専門家には物足りない内容かもしれませんが、金属を専門としない人にとって読みやすくなる様に工夫してありますので、機会があればぜひご覧ください。

第4回目となる次号の9月号からは、身近な金属製品の実例を挙げながら「金属を形作る製法」について解説していきます。
引き続き、できるだけ分かり易い構成にしていきたいと思っています。

ツールエンジニア9月号は、今月末の発刊です。
お楽しみに。

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10円硬貨、実はすごいんです!

2013年08月16日 | 金属
伝統工芸と身近なものを材料科学でサイエンスするヨシムラ・サイエンス・ラボです。

お財布のなかに入っている10円硬貨。
日頃何気なく使っていますが、実はすごいんです。

銅は殺菌特性があることは以前から知られていますが、その効果は10円硬貨にも!
10円硬貨は、銅に数%の錫を添加した青銅と呼ばれる銅合金で、様々な菌を死滅させる効果を持っているのです。
例えば、台所の排水溝に10円硬貨を置くとヌメリを失くしたり、靴の中に10円硬貨を忍ばせると嫌なにおいをおさせてくれます。

皆さんもお試しあれ。

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携帯電話のACアダプタ

2013年02月19日 | 金属
伝統工芸と身近なものを材料科学でサイエンスするヨシムラ・サイエンス・ラボです。

最近はスマホにおされて、すっかり地位を下げつつある携帯電話。
ガラケー(ガラパゴス携帯)とも呼ばれております。
本日は、その携帯電話のACアダプターをサイエンスしてみたいと思います。


先日、テレビのクイズ番組を見ていて、面白い問題が出ていました。
それは、「携帯電話のACアダプタに貼られている警告ラベルはアルミニウムで出来ています。その理由は?」という問題でした。

剥がれにくくするため?
オシャレにするため?
・・・・

その答えは、「熱を放熱しやすくするため」 だそうです。

コンセントの100ボルトの交流を、携帯電話の5.4ボルト直流に変換する際に熱が発生します。
今、みなさんがお使いのパソコンのアダプターを触ってみてください。
確かに温かいでしょ?

その熱を放出しやすくするために、熱を通しやすいアルミニウムでできたラベルが貼られているそうです。
なるほどね。


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365日 Charming Everyday Things 第二回目“各種の鋏(はさみ)”

2012年11月25日 | 金属
伝統工芸と身近なものを材料科学でサイエンスするヨシムラ・サイエンス・ラボです。

金沢21世紀美術館で開かれていた「365日Charming Everyday Things」で展示されていた商品のご紹介 第二回目です。

それは、諏訪田製作所(http://www.suwada.co.jp/)で製造・販売されている“鋏(はさみ)”(5月24日)です。
爪切りから盆栽用まで、新潟三条市の技術で製造された鋏!
諏訪田製作所では開かれた工場を特徴としており、各種加工工程がHPで見学できるようになっています。
HPは、一見の価値ありです!




365日 Charming Everyday Things 第一回目“Party Dress”

2012年11月11日 | 金属
伝統工芸と身近なものを材料科学でサイエンスするヨシムラ・サイエンス・ラボです。

先日、金沢21世紀美術館で開かれていた「365日Charming Everyday Things」で展示されていた商品のご紹介 第一回目です。

それは、株式会社100percent(http://100perstore.com/?pid=35371301)で販売されている“Party Dress”(10月14日)です。
新潟県燕三条のステンレス製カトラリーにレーザー加工して模様を付けて、まるでシマウマのような容貌をしたカトラリーに仕上がっています。
大変面白い逸品です。
家族で味わう夕食も一段と美味しくなりそうですね!