2024年2月25日(日)
コウノトリ Ciconia boyciana
20230628 1m大 翼長2mほど
巣立ち直前の3羽のコウノトリ、キキとキラとキララだ。(命名は公募の結果、地元の小学生たち)
昨春、広島県世羅町に飛来・営巣していた親コウノトリが子育てに成功したのだ。
世羅町は広大な台地を利用した梨などの果樹や米、園芸植物などで有名な町だ。
私たち夫婦は、超格安(十数個で500円とか)で美味しいのに出荷されない梨を毎年買いに行く。
たまたま、そんな傷物の梨を買いに訪れたこの日、営巣地付近を通ってたら、巣へと長いクレーンが伸びてるのが見え
「何事ぞっ!」と眺めてたら、人が集まっていた。
どうやら研究関連の人とかマスコミや地元の方々(一部遠方より野鳥観察好き)みたいだ。
邪魔にならぬよう遠巻きに近づいてみた。
たまたま、ちょうど「個体識別の足環」を装着し終えたところだった。
マスコミ各社は、地元の方々や研究者さんにマイクを向けたり、大きなカメラを振り回したりと大忙し。
1956年、特別天然記念物に指定されてる鳥だし、こういう時でないとうかつに近づけるものではない。
「たまたまの幸運は準備をしていた者にしか訪れない」と言ったのは
リンネだったかラマルクだったかデカルトだったか・・・すっかり忘れたが
かみさんが「梨を買いに行くだけよ!」と言うからといって「カメラの準備」は忘れない。
寄り道して早速撮影するのに曇天が続き、この画像の一瞬の晴れ間もまさに偶然の賜物だ。
翌日、地方のマスコミ各社は大変喜ばしいニュースとして報道していた。
地元の農家さんたちも減農薬をして対応したり、電気供給ラインの変更を工夫したりと頑張った成果だ。
コウノトリ観光が町おこしになる!という光の部分だ。
ただ、光が当たれば影もできる。
理系の一人として、常に逆の側面からも覗いてみる思考法を心がけてるから天邪鬼かもしれぬが、手放しで喜ぶわけにはいかない。
一番大きな(キキかな?)が羽ばたきの練習を何度も繰り返してた。
コウノトリは、ロシア北東部で繁殖し、中国などアジア東部で越冬をする冬鳥。
ただ、一部留鳥(1年中とどまり繁殖する鳥)として過ごすケースもある。
たまたま移動コースをはずれ、ほぼ迷鳥として日本へ飛来することもある。
花札にも描かれてる「松に鶴」の鶴はコウノトリのこと。(本物の鶴は松にとまれない)
だから、日本でも古くからよく知られてる野鳥だ。
西洋では「赤ちゃんを運ぶ幸運な鳥」として、口ばしの赤いシュバシコウが有名だが
あれは、よく似てるけど口ばしの色以外にも違いがあり、コウノトリとは違う鳥だそうだ。
だから、コウノトリは赤ちゃんを運んでくるという伝聞はちょっとあやしい。
さて、1960年代のこと、日本のコウノトリは野生下でも人工繫殖下でも完全に絶滅した。
困った国は飛来してくるのを待つ余裕もなく、ロシアからコウノトリ数羽を譲り受け、繁殖を試みた。
その結果、兵庫県豊岡市で繁殖成功し、個体数も回復し、野生へと放鳥するまでにいたった子孫たちなのである。
つまり、コイツらは、日本で昔から留鳥として繁殖を繰り返していた野生種とは少なくとも地理的にかなり異なる『国外外来種』といってもおかしくない。
ヒナに与えるエサであるカエルやヘビの量は、毎日1羽あたり1~2kgにもなるという。
3羽も育てられるほどの豊富なエサがいる世羅町の自然はすばらしい。
例えば、シマヘビの幼体が道路わきを這っていたりもして、散歩してても楽しい。
ところが、近辺では短足で動きの鈍いナゴヤダルマガエル岡山集団も野生分布してるのである。
そりゃ、コウノトリが外来種であるウシガエルやアメリカザリガニ・スクミリンゴガイばかり食べてくれれば何ちゃ問題はないのだが
在来種も外来種も「根こそぎ食っちゃ移動する」のである。
それを嫌って農家は追い払ったり農薬を使ったり、狩猟者は撃ったり食べたりもしてきた。
自然開発も含め、それらの歴史の結果として、絶滅は起こるべくして起きたのではなかったんじゃないかなあ。
ごく一部の地域にかろうじて生き残ってるナゴヤダルマガエル岡山集団たちにとって、コウノトリは根こそぎ食いつくし、絶滅へと導く大悪党の飛来でもある。
といって、毎日、飛来を監視するわけにもいかない。
防止網でも張って万が一コウノトリが絡み、死滅させるわけにもいかない。
長年保護活動を続けておられる研究者さんにとっては憤懣やるかたないだろう。
これは、コウノトリ繁殖をめぐる影の部分なのかもしれない。
さてさて、私のこんないい加減な話より
4月13日(土)開催「広島県の生物多様性と希少種の状況」シンポジウム
では、きっと専門家の方たちから詳しくわかりやすく話してもらえるものと思うからね。
ぜひ、ご参加のほど!
コウノトリ Ciconia boyciana
20230628 1m大 翼長2mほど
巣立ち直前の3羽のコウノトリ、キキとキラとキララだ。(命名は公募の結果、地元の小学生たち)
昨春、広島県世羅町に飛来・営巣していた親コウノトリが子育てに成功したのだ。
世羅町は広大な台地を利用した梨などの果樹や米、園芸植物などで有名な町だ。
私たち夫婦は、超格安(十数個で500円とか)で美味しいのに出荷されない梨を毎年買いに行く。
たまたま、そんな傷物の梨を買いに訪れたこの日、営巣地付近を通ってたら、巣へと長いクレーンが伸びてるのが見え
「何事ぞっ!」と眺めてたら、人が集まっていた。
どうやら研究関連の人とかマスコミや地元の方々(一部遠方より野鳥観察好き)みたいだ。
邪魔にならぬよう遠巻きに近づいてみた。
たまたま、ちょうど「個体識別の足環」を装着し終えたところだった。
マスコミ各社は、地元の方々や研究者さんにマイクを向けたり、大きなカメラを振り回したりと大忙し。
1956年、特別天然記念物に指定されてる鳥だし、こういう時でないとうかつに近づけるものではない。
「たまたまの幸運は準備をしていた者にしか訪れない」と言ったのは
リンネだったかラマルクだったかデカルトだったか・・・すっかり忘れたが
かみさんが「梨を買いに行くだけよ!」と言うからといって「カメラの準備」は忘れない。
寄り道して早速撮影するのに曇天が続き、この画像の一瞬の晴れ間もまさに偶然の賜物だ。
翌日、地方のマスコミ各社は大変喜ばしいニュースとして報道していた。
地元の農家さんたちも減農薬をして対応したり、電気供給ラインの変更を工夫したりと頑張った成果だ。
コウノトリ観光が町おこしになる!という光の部分だ。
ただ、光が当たれば影もできる。
理系の一人として、常に逆の側面からも覗いてみる思考法を心がけてるから天邪鬼かもしれぬが、手放しで喜ぶわけにはいかない。
一番大きな(キキかな?)が羽ばたきの練習を何度も繰り返してた。
コウノトリは、ロシア北東部で繁殖し、中国などアジア東部で越冬をする冬鳥。
ただ、一部留鳥(1年中とどまり繁殖する鳥)として過ごすケースもある。
たまたま移動コースをはずれ、ほぼ迷鳥として日本へ飛来することもある。
花札にも描かれてる「松に鶴」の鶴はコウノトリのこと。(本物の鶴は松にとまれない)
だから、日本でも古くからよく知られてる野鳥だ。
西洋では「赤ちゃんを運ぶ幸運な鳥」として、口ばしの赤いシュバシコウが有名だが
あれは、よく似てるけど口ばしの色以外にも違いがあり、コウノトリとは違う鳥だそうだ。
だから、コウノトリは赤ちゃんを運んでくるという伝聞はちょっとあやしい。
さて、1960年代のこと、日本のコウノトリは野生下でも人工繫殖下でも完全に絶滅した。
困った国は飛来してくるのを待つ余裕もなく、ロシアからコウノトリ数羽を譲り受け、繁殖を試みた。
その結果、兵庫県豊岡市で繁殖成功し、個体数も回復し、野生へと放鳥するまでにいたった子孫たちなのである。
つまり、コイツらは、日本で昔から留鳥として繁殖を繰り返していた野生種とは少なくとも地理的にかなり異なる『国外外来種』といってもおかしくない。
ヒナに与えるエサであるカエルやヘビの量は、毎日1羽あたり1~2kgにもなるという。
3羽も育てられるほどの豊富なエサがいる世羅町の自然はすばらしい。
例えば、シマヘビの幼体が道路わきを這っていたりもして、散歩してても楽しい。
ところが、近辺では短足で動きの鈍いナゴヤダルマガエル岡山集団も野生分布してるのである。
そりゃ、コウノトリが外来種であるウシガエルやアメリカザリガニ・スクミリンゴガイばかり食べてくれれば何ちゃ問題はないのだが
在来種も外来種も「根こそぎ食っちゃ移動する」のである。
それを嫌って農家は追い払ったり農薬を使ったり、狩猟者は撃ったり食べたりもしてきた。
自然開発も含め、それらの歴史の結果として、絶滅は起こるべくして起きたのではなかったんじゃないかなあ。
ごく一部の地域にかろうじて生き残ってるナゴヤダルマガエル岡山集団たちにとって、コウノトリは根こそぎ食いつくし、絶滅へと導く大悪党の飛来でもある。
といって、毎日、飛来を監視するわけにもいかない。
防止網でも張って万が一コウノトリが絡み、死滅させるわけにもいかない。
長年保護活動を続けておられる研究者さんにとっては憤懣やるかたないだろう。
これは、コウノトリ繁殖をめぐる影の部分なのかもしれない。
さてさて、私のこんないい加減な話より
4月13日(土)開催「広島県の生物多様性と希少種の状況」シンポジウム
では、きっと専門家の方たちから詳しくわかりやすく話してもらえるものと思うからね。
ぜひ、ご参加のほど!
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