花の公園・俳句 ing

日本は素晴しい花の国。美しい花々と公園、四季折々の風景を記録したいと思います。我流の俳句は06年3月12日からです。

殺戮の世界史、イスラムの黒人奴隷

2019年06月21日 08時26分56秒 | 本、HP制作、写真のアップ       
「殺戮の世界史」マシュー・ホワイト著、住友 進訳、早川書房 2013年。

人類史上の虐殺の被害者数を推定し、100件をランク付けするという大胆
な研究です。
膨大な書物を渉猟し、報告されている推定数を再検討して独自の被害者数
を算出しています、また戦闘や生贄による直接の死者だけでなく、戦争に
起因する飢饉や疫病の流行による死者数も加算しています。

1位 第二次世界大戦    6600万人
2  チンギス・ハーン   4000万人
   毛沢東         〃
4  英領インドの飢饉   2700万人
5  明王朝の滅亡     2500万人
6  太平天国の乱     2000万人
   ヨシフ・スターリン   〃
8  中東の奴隷貿易    1850万人
9  ティムール      1700万人
10 大西洋の奴隷貿易    1600万人

犠牲者の数え方に異論はたくさんあるようですが、人類がどれほどの
愚行、いや野蛮行を行ってきたか。知らないことがたくさん出てきて、
とても教えられることが多い。
しかしインドでは、宗教による虐殺はほとんど見られない、それが一神教
と遭遇した時以外は、という指摘があります。東アジアもそうです。
6位の太平天国の乱はキリスト教団でした。

イスラム教は平和な宗教というプロパガンダがなされていますが、8位と
9位はイスラムが主役です。
ティムールは敬虔なイスラム教徒で、今でいえば原理主義的だったよう
で、イスラムであっても不純なデリーとオスマン帝国を打倒しました。
中東の奴隷貿易はあまり知られておらず、私も知りませんでした。
アフリカの黒人を奴隷狩りしてアラブ・イスラム世界に売り渡す行為で、
期間が7~19世紀とたいへん長いので、よく知られている大西洋の奴隷
貿易 (アフリカ~アメリカ) より犠牲者が多くなっています。
イスラムの制度は奴隷にやさしかった、などという解説がなされますが、
狩られるほうは奴隷一人に死者が5人~10人も発生したと言われます。
まことに、勝者の歴史はご都合主義そのものです。

これについては、
「イスラムの黒人奴隷」ロナルド・シーガル著、設楽國廣訳、明石書店 
2007年 も参照しました。
なんと、20世紀の後半になっても、サウジアラビアなど一部で続けられ
ていたとのことです。そうすると、犠牲者はもう少し多くなる計算です。

2位のチンギス・ハーンが4000万人を虐殺している頃、ヨーロッパでは
アッシジのフランチェスコが清貧と善行に身をささげるフランチェスコ
修道会を設立していました。(163p) 2人はまったくの同時代人です。

時代がそうだったから、とか、現代の価値観で歴史を裁くな、という
意見もありますが、それでは歴史を学ぶ意味の半分が失われるでしょう。
歴史の必然、とかいう論理で非道な行為を承認することはできません。
   (わが家で  2019年6月21日)

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