つばた徒然@つれづれ津幡

いつか、失われた風景の標となれば本望。
私的津幡町見聞録と旅の記録。
時々イラスト、度々ボート。

本津幡駅に集う。

2012年12月14日 23時59分41秒 | 鉄道
冬将軍が撤退して晴れ間が広がった今朝、
まだ仄暗いうちに、白い息を吐きながら散歩に出かけた。
自宅を出発して庄町商店街を通り、庄南交差点を斜め右に。
住ノ江橋を渡って津幡川沿いの道を往き、おやど橋を渡る。
四つ角を直進して本津幡駅へ辿り着いたのが、午前7時。
空がようやく明るくなってきた。

ちょうど登校時間に当たり、ホームには学生服姿が目立つ。
「今日の一枚」のように、
一人また一人と津幡町の若者が駅舎に吸い込まれてゆく。
平日の朝には、お馴染みの光景だ。
高校時代の僕は、春から秋は自転車通学だったが、
冬になると同じ様に列車を利用したものである。
また、社会人になりたての頃は通勤の足だった。

このローカル線は、中津幡駅⇔津幡駅間に差し掛かると、
昼夜問わず一時的に車内が消灯する。
これは、直流電化の七尾線と交流電化の北陸本線で、
電機方式を切り替える「デッドセクション」があるためだ。
…などと、思い起こしていた時、アナウンスが耳に飛び込んできた。

『七尾線上り列車は、宇野気駅を4分遅れで出発しました』

濃霧のためか?
強風のためか?
あるいは???
大きな遅れではないが、時間に追われる朝には影響がありそうだ。
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津幡駅の懐かしき声。

2012年02月15日 23時17分26秒 | 鉄道
「あんころぉぉー!」

僕が高校生だった時分まで、国鉄・津幡駅のホームに列車が止まると、
辺りに、一本調子で力強い声が響いたものだ。
発声元は「きびあんころ」を入れた黒い箱を肩に掛けた売り子さん。
僅かな停車時間の間、懸命に声を振り絞っていた。

 

かけ紙には北陸本線・津幡名物とある「きびあんころ」は、
一世紀の歴史を刻む鉄道銘菓。
餅米を蒸し、きび粉を練り込んだ小さな団子に漉し餡をまとわせた、
素朴な味わいのスイーツだ。
駅舎近くの「庭田商店」にて100年前から同じ製法を堅持している。
かつては、乗降客を相手に直接販売されていたのだが、
現在は駅舎内の売店で販売。
立売スタイルが姿を消して久しい。

「あんころぉぉぉぉーっ!」

発車のベルが鳴り車両が動き出すまで続く威勢のよい大音声こそ、
津幡駅の名物だった。
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記憶と眼前のギャップ~20世紀の本津幡駅篇。

2012年01月19日 23時35分45秒 | 鉄道
「冒頭の一枚」は、今朝撮影した本津幡駅舎内。
ガラスの向こうの切符売場に目をやり、
ディスプレーがある事に気付きハッとした。
何故ならそれは、僕にとって違和感たっぷりの構図だったからである。

…ま、冷静に考えれば21世紀の今、
チケットや運行状況をシステムで管理するのは当然至極。
北陸の小さな駅であっても電子機器の存在は珍しくない。
しかし、ここから列車を利用しなくなって久しい脳裏に残る本津幡駅は、
20世紀のまま。
記憶の中のチケット販売は、とてもアナログなのである。

本津幡⇒中津幡。本津幡⇒森本。本津幡⇒金沢。
本津幡⇒七尾。本津幡⇒輪島。本津幡⇒蛸島…。

本津幡駅を起点に、着駅区間毎の印刷された厚紙の切符があって、
窓口で行き先を申し出ると、沢山の種類の中から駅員さんが選別。
手動のナンバリング機で、あるいは日付印字専用の機械に通し、
日付を刻印してから切符を渡してくれた。
そして、改札鋏で穴を開けてもらって改札をくぐる。

一連の通過儀礼を終え、
切符を握りしめて向かうは、陸橋を渡った上り路線。

 

当時、鉄骨が剥き出しになった骨組をこんなポスターが彩っていた。

 
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津幡町で聞く、トレイン・ソングス。

2011年08月13日 16時33分01秒 | 鉄道
先日、30代半ばと思しき方と話をする機会があった。
彼には、幼少期に鉄道と親しんだ記憶がないそうだ。
彼の故郷は、過疎化の進む岐阜県の山間の町。
かつて周辺の貴重な足だった路線は、物心つく頃に廃線となり、
鉄道に関する思い出と言えば、錆びたレールの上で遊んだ事だけ。
・・・仕方が無いのだが、それは何だか寂しい気がする。

「今日の一枚」は、津幡町の「石川高専」…
「国立 石川工業高等専門学校」の近くを走る列車。
これまでも何度か「鉄道」について投稿してきたとおり、
散歩中には列車とよくすれ違う。
津幡町には、滋賀県・米原市と新潟県・上越市のを結ぶ北陸本線。
その分岐路線として能登半島の七尾市・和倉温泉駅と津幡駅を結ぶ七尾線。
2つの鉄路が通っているためだ。

「鉄道」は、僕の記憶にとって大切なカテゴリー。
規則正しくリズムを刻むレール音は、
旅愁をかき立てる列車の歌のようにも聞こえるのである。
そんな感覚は国境を超えて、歌心をかき立てるらしい。
例えばこんな曲がある。

「People Get Ready」
『みんな、準備はできたかい? そろそろ列車がやってくる。
 荷物はいらない。 体一つあればいい。
 切符なんていらない。 素直な心があればいい。
 只、神様への感謝の心を忘れずに。
 People Get Ready. さぁ、旅立とう。
 そろそろ列車がやってくる。』
(原典:カーティス・メイフィールド/意訳:りくすけ)
 
列車を、自由と解放の待つ未来へ向かう手段に例えたナンバーは、
ちょうど、黒人公民権、人権問題などの運動が活発になりはじめた
1965年のアメリカでヒットした。

もう1つ・・・「Midnight Train to Georgia」。
『彼にとって、ロサンゼルスは荷が重すぎた。
 厳しい現実を知って、今の生活を捨て去ろうとしている。
 彼は言った「見つけるために帰ろう」。
 それほど遠くない過去に捨てた世界へ、
 別の何かを探しに。
 He's leaving.
 彼は去ってゆく。
 On that midnight train to Georgia.
 ジョージア行きの夜汽車に乗って。」
(原典:グラディス・ナイト&ザ・ピップス/意訳:りくすけ)
 
失意のうちに故郷に戻るある男の心を歌った「夜汽車よ、ジョージアへ」。
スターになることを夢見て大都会にやってきたものの、
そこは競争が激しく、夢を叶えるには厳しい街。
成功は平等ではないと悟った男は、
片道切符を手に、真夜中のジョージア行きの列車に乗る。
1973年の全米ナンバー1ヒット・・・ソウルの名曲である。

更にもう一丁・・・「Long Train Runnin'」
『ここから半マイルほど先。
 角を曲がったあたり。
 お前は古い列車が走っていくのを眺めてる。
 そしてお前は愛を失い、姿を消した。
 
 機関車のピストンは激しく動き続ける。
 車輪は回り続ける。
 冷たく硬い鉄のレール上を、列車は何マイルも走り続ける。
 愛をなくしたお前は、今どこにいるんだろう。
 今、お前はどこにいるんだろう。』
(原典:ドゥービー・ブラザース/意訳:りくすけ)
 
70年代のウェストコースト・ロックを代表するバンド、
「ドゥービー・ブラザーズ」。
長い活動の歴史の中でサザンソウルからAORまで、
時代によってサウンドは変化したが、
「ロング・トレイン・ランニン」は傑作と言っていい。
特に冒頭から切れ目なく奏でられるギターリフがかっこいい。
全編を通し、列車のレール音のように規則正しく続く。

久しぶりに聞きたくなってきた。
検索、検索!
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賑やかな津幡の春。

2011年04月23日 10時08分37秒 | 鉄道
「今日の一枚」は、通勤通学のお客を乗せた七尾線の普通電車。
撮影時刻は午前7時過ぎ。 
金沢への道行きを見送るように、満開の山桜が風に揺れていた。
画面下、線路の手前は田園。
間近に迫った田植えに備え、水が張られている。

線路からは規則正しいレール音。…カタンカタン、カタンカタン…。
水田からは嬉しそうな蛙の鳴声。…グワワッ、グワッ、グワワッ…。
背後の山々から響く今年初の鶯。…ホーホケキョ、ケキョケキョ…。

様々な音が共演し、なかなか賑やかな春の朝。
既に初夏の空気も漂っている。

つい先頃まで咲き誇っていた染井吉野は、
ハラハラと散り、路上を飾り始めた。

最近の「りくすけ」は、盛んに辺りを嗅ぎ回りながら歩いている。
きっと香りも賑やかになっているのだろう。
人間より鋭い嗅覚を備えた彼の脳裏に映る春は、
僕たち人間が感じるそれとは、別の世界なのかもしれない。
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