同カテゴリー(手すさびにて候)先回投稿で書いたとおり、
僕は割と年季の入った格闘技ファンである。
また、同じくらい長く「格闘アクション漫画」の愛読者でもある。
今回は、中でも取り分け気に入っている作品の1つ、
「技来静也(わざらい・しずや)」著「セスタス」シリーズが
春からアニメ化されると聞き、筆を取った。
ほんの手すさび、手慰み。
不定期イラスト連載 第百六十七弾は「拳奴セスタス」。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4c/84/2cdfab13133f9284054f2ebf5a885d5f.jpg)
物語の幕開けは、紀元54年。
地中海沿岸~ヨーロッパ全域~北アフリカ~西アジアまでを領有し、
黄金期に差し掛かった古代ローマ帝国が舞台だ。
世界の覇権を握った大帝国の内情は、超格差社会。
沢山の奴隷を使い大農園を経営する一握りの富裕層と、
財力がなく土地を追われた、元・中小小作農の貧困層が同居。
眩い(まばゆい)繁栄の光は、濃い影も落としていたのだ。
貧民たちは首都に殺到し、国や有力者に「パンとサーカス」を要求。
無産者とはいえ、彼らは投票権などの諸権利が認められた「ローマ市民」。
政治の安定を図るため政府も面倒を見ざるを得ず、食料と娯楽を振舞うのが常態になる。
その見世物の1つが、拳闘(ボクシング)だった。
古代ボクシングは、現代のそれとは別物。
階級、ラウンド、カウントアウト、採点の各制度は存在しない。
一方が完全KOされるか、ギブアップするまで続く、時間無制限一本勝負。
反則は目潰しと金的のみ。
背面・延髄・後頭部への打撃、ダウン後の追撃OK。
フットワークやコンビネーションの概念も乏しく、
足を止め、真っ向から殴り合うブルファイト。
頑丈で大きな体格と、腕っぷしの強さがモノを言った。
しかも、両拳には、革帯に鉄の鋲(びょう)を打った装甲グローブ。
流血、骨折、殺傷に至ることも日常茶飯事だったという。
物語の主人公「セスタス」は、
そんな血生臭い世界で生きる15歳の奴隷拳闘士である。
拳を鎧う(よろう)武器と同じ名前とは裏腹に、見た目は華奢。
生真面目で純粋ゆえの危うさもはらんだ黒髪の美少年だ。
前述の勝利に必要な要素--- ビッグサイズ、タフ、ハードパンチ --- は、どれもない。
代わりに、優れた動体視力、スピード、しなやかな肉体を活かして戦う。
古代ボクシングに革命をもたらす“異質の逸材”だ。
@打たせずに打つ“理想の拳闘”を練り上げる過程や、
技術と勇気を駆使して強敵に立ち向かうシーンは、
格闘技マンガ、ボクシング漫画として読み応え充分。
@随所に盛り込まれた当時の庶民・貴族の暮らしぶりも目を引く。
市街地・建築物の様子、服飾、食事などの緻密な描写は、
歴史マンガとしても値打ち十分。
脇を固めるキャラクターも魅力的だ。
@かつて当代随一の拳士と謳われた、理論派の師。
@後に稀代の暴君へと変貌する、同世代の少年皇帝。
@野望に燃え、権力に固執する皇太后。
@傾国の美女。
@曲者、強者揃いの対戦者たち。
@超人的な能力を誇る、皇帝直属の私設軍。
ストーリーは、これら多彩な登場人物たちが織り成すエピソードを交え、
身分の底辺で奮闘する主人公を中心に進行してゆく。
漫画「セスタス」シリーズの連載開始は1997年。
掲載誌を変えながら今も続く長編だ。
アニメ版は「セスタス -The Roman Fighter-」として、
来月・2021/4/14から、フジテレビ「+Ultra」(BSフジ)では、
毎週水曜深夜24:55~放送。
僕は大いに楽しみにしている。
もしご興味あれば、是非、ご覧になってみて欲しい。
もちろん漫画版も大推薦である。
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