つばた徒然@つれづれ津幡

いつか、失われた風景の標となれば本望。
私的津幡町見聞録と旅の記録。
時々イラスト、度々ボート。

小品、滅美(ほろび)。

2023年11月04日 08時00分00秒 | 日記
                          
僕は、人工物が朽ちてゆく様子に、ある種の美を見る。
それは時間とともに成熟してゆく種類の美だ。

・初期、そこには「寂しさ」がある。
 崩壊の度合いはまだ遠慮がちで賑わいの名残が漂うアンバランスな雰囲気。
・中期、そこでは「熟成」が進む。
 人影が消え時が経ち、侵食を始めた自然との奇妙なバランスが育まれてゆく。
・後期、そこには「価値」が生まれる。
 風雪にさらされ、人工物が駆逐されていくに従い元の記録も記憶もなくなり、
 やがて「遺跡」として捉えられるようになる。

見えない時が降り積もり成熟してゆく様は、烈しく、切なく、美しい。
僕は密かに「滅美(ほろび)」と呼んでいる。



石川県・津幡町から隣接した金沢市へ向かう途中、
国道8号線沿いで滅美の始まりを見止めたのは4~5日前のことだった。





そのパチンコ店が休業してから2年と少し。
敷地のアスファルトから草が伸び、建造物が倒れ、
柱に錆が浮き出て、壁が剥がれ落ち始めている。
廃墟とするにはまだ早い初期段階なのだが、遊興施設跡だけに寂しさが際立つ。
近い将来、新店舗が建つのかもしれないが、朽ちるにまかせた今(2023/11/04)から、
きっと多くの人が行き交っていたであろう現役当時の面影は見いだせない。

僕個人はパチンコ・パチスロに馴染みがないため詳しくないが、
コロナパンデミックを経て、遊技の人口は減少傾向と聞く。
戦前・昭和初期に産声を挙げ、100年近く。
業界は節目を迎えているのかもしれない。

(※取り上げた店舗跡以外の県内系列ホールは、営業中である)
                      

コメント (6)    この記事についてブログを書く
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6 コメント

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Unknown (Zhen)
2023-11-05 22:11:56
りくすけさんへ

滅美、言い得て妙、美しい言葉です。
1枚目、味がある、モノクロならでは。

では、また。
返信する
Zhen様へ。 (りくすけ)
2023-11-06 06:06:57
コメントありがとうございます。

滅美、共感を得て嬉しい限り。
本文中にも書きましたがパチンコ店跡というのが、
余計に哀愁を誘います。
個人的な考えですが---イメージキャラクターが
「スカルノ夫人」というのも愁いを増している気がします。
余談ながら、今投稿で「#パチンコ」を入れたら、
goo側から受付拒否されました。
これも業界への風当たりの強さを感じます。
以前、貴ブログで取り上げた「結婚式場跡」も、
少子化を背景にした滅美候補でしょうか。

ところで先日のワラビスタン発砲立てこもり、
さぞ騒ぎになった事と思います。
貴兄に大事はなかったでしょうか?
この事件もある意味、高齢化社会の写し絵の様に思えます。

では、また。
返信する
Unknown (Zhen)
2023-11-06 11:27:41
りくすけさんへ

お気遣いありがとうございます。
発砲事件のあった郵便局は、目と鼻の先ですが、幸い封鎖線の外側なので、実害はなかったです。ただ、夜まで上空のヘリコプターの音が続き、騒々しい1日でした。
返信する
素敵な美っくり! (ゆうか)
2023-11-06 12:25:35
りくすけさん、おじゃまします。

「熟成」から「価値」へ。

出会い別れにも言えそうですし、
生きることもそう捉えたら、
時が信頼できるものに思えました。

全てを温かい希望で包み、
わたしにとっては
世界を開いてくれることばになりました

では、また。
ゆうか
返信する
Zhen様へ。 (りくすけ)
2023-11-06 19:11:23
現場は目と鼻の先。
封鎖線の外とはいえ、気になる事件でしたね。
確か午後の発生から解決したのは深夜と記憶。
騒々しい数時間だったとお察しします。
お疲れ様でした。

では、また。
返信する
ゆうか様へ。 (りくすけ)
2023-11-06 19:22:54
コメントありがとうございます。

誰かとの出会いと別れ。
近しい間柄だった時は気が付かなかったけれど、
離れてみて分かることは確かにあります。
時の流れを遡る事は出来ませんが、
決して止まらない事は信頼に値します。
拙ブログが何かしら貴女様が思考する機会になったなら、
誠に嬉しい限り。
これからも、どうぞよしなに。

では、また。
返信する

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