僕が暮らす傍には「イチョウ並木」がある。
冬枯の枝の芽吹き。
春の瑞々しい新緑。
茂(しげり)は夏。
黄葉し落葉する秋。
その繰り返される営みは、いつも季節の移ろいに寄り添う。
今(2023/11/1)は、秋の盛りを教えてくれているのだ。
イチョウは古生代後期・ペルム紀(2億8千万年前頃~)に出現。
中生代・ジュラ紀(2億130万年前頃~)に大繁栄。
白亜紀(1億4千5百万年前頃~)中程までは、世界中で繁殖していた。
しかし21世紀現在、広範囲に自生しているのは限られた地域だという。
その1つが日本。
理由は、樹皮が厚く、火に強い樹木の特性。
延焼を防ぐ火避地、神社や寺の境内、街路樹などに植えられ広がったと考えられる。
自然災害が多く、木造家屋で火事が少なくない日本だからこそ、
重宝されたと言えるかもしれない。
ちなみに、身近なだけにピンと来ないかもしれないが、
イチョウは「国際自然保護連合 」のレッドリストで絶滅危惧種に指定されている。
また、世界に1種しかなく、古代から殆ど姿かたちを変えていない。
過去の生物大量絶滅を乗り越えてきた、いわゆる“生きている化石”。
カモノハシ、シーラカンス、肺魚、ライチョウ、オウムガイ、
ソテツ、メタセコイヤなどと同じなのだ。
初めはゆっくりと。
やがて突然に葉を落とし、道を黄色で埋め尽くすイチョウ。
この現象が年々遅くなっている。
かつては10月後半だったと記憶している。
気候変動の兆候だ。
太古から存続してきたイチョウにとって、
今回が初めて体験する大きな気候変動ではないが、
美しい営みが未来も受け継がれることを、僕は願って止まない。
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