もろさ露呈 東京大停電で高まった「送電線テロ」のリスク
12日午後3時半ごろに都内で起きた大規模停電で、都心は一時パニックになった。原因は、埼玉県新座市にある東京電力関連施設の火災。地中に埋まっている送電線から出火したという。「人為的ではない」「テロを類推させるものはない」というが、日本の心臓部の“もろさ”を改めて露呈した格好だ。「送電線は血管みたいなもので、各地の発電所、変電所から“大動脈”を伝って都心部に向かい、“毛細血管”に広がって各家庭に電気が届く。今回は新座変電所から東京の練馬、豊島両変電所に続く6本の“太い血管”のうち1本が破れ、そのあおりで残り5本も使えなくなり、“心停止”してしまったというわけです」(東電関係者)新座の“動脈破裂”のせいで、午後3時39分には豊島区の約10万9500軒をはじめ、最大58万軒で送電がストップ。東京消防庁によると、都内ではエレベーターの中に閉じ込められたり、火災報知機が誤作動したという通報が相次いだ。西武池袋線や新宿線など複数の鉄道が一時運転を見合わせ、明治通りでは少なくとも10カ所の信号が消えるなど、都市の“足”も止まった。駅前はタクシーを待つ行列で大混雑……。
■「日本の心臓部」もマヒ
何より怖いのは、霞が関の官庁街も停電したことだ。財務省や文科省、厚労省、参議院の議員会館など、まさに日本の心臓部が10分ほどとはいえ“マヒ”してしまったわけだ。「財務省では大臣室や事務次官室も10分ほど電気が消えてしまった。警視庁本部でも停電になり、固定電話などが使えなくなったそうです」(霞が関関係者)午後4時25分に完全復旧したとはいえ、1時間近くもパニックに! 軍事ジャーナリスト世良光弘氏は「今回はテロではないでしょうが」と前置きしてこう言う。「埼玉の送電線火災で都内がパニックになるとは関係者以外、誰も予想していなかったはずです。逆に言えば、今回の一件で、そうなることを世界中のテロリストに知られてしまった。それも、警備が手厚いわけでもない施設で起きた。90年代に水源地の“毒物テロ”の議論が盛り上がりましたが、同じように“送電線テロ”のリスクも高まったと言えるでしょう」送配電会社の東京電力パワーグリッドによると、東電管内には架空と地中を合わせて4万キロメートル超の送電線があるという(昨年末現在)。地球1周分と同じ長さがテロの標的になってしまった。
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