バイデン氏の核戦略 世界が注目
「核なき世界」最大の妨害者 問われる日本の姿勢
史上初めて、核兵器を違法化する核兵器禁止条約が来年1月22日に発効します。米国の民主党・バイデン新政権が発足するのは、その2日前の1月20日(現地時間)。核超大国・米国はどのような対応を取るのか。唯一の戦争被爆国でありながら、日本政府は「核なき世界」を妨害し続けるのか―。世界が注目しています。バイデン氏は公式サイトで、「核兵器の唯一の目的は抑止であり、もし必要なら、核攻撃に対して(核で)報復する」と明言。「核抑止」を維持する考えを明確にしており、発足当初のオバマ政権が標ぼうしていた「核なき世界」には触れていません。同時に、核兵器の役割の大幅な拡大を進めてきたトランプ政権による新たな核兵器の開発に対しては「不必要、むだ、防衛に適さない」(民主党政策綱領)と主張し、核兵器の役割を削減するとも述べています。こうしたことから、バイデン政権は新たな「核態勢見直し」(NPR)に着手する可能性もあります。重要なのは、核兵器の役割削減にあたり、バイデン氏が「同盟国や軍と協議する」(公式サイト)と述べていることです。オバマ政権の「核なき世界」が行き詰まったのは、米軍や軍需産業など米国内の核固執勢力に加え、同盟国の抵抗を受けたからです。中でも、日本政府は最大の妨害者としてふるまってきました。2009年、米議会諮問委員会が同盟国に行った意見聴取で日本政府代表者は、核トマホークの退役や米国の核削減に反対。核弾頭の最新鋭化まで求めていたことが明らかになっています。さらに、米ワシントン・ポストが16年、安倍晋三首相(当時)がオバマ政権の核先制不使用宣言に反対したと報じ、波紋を広げました。ウィリアム・ペリー元国防長官も、クリントン政権をはじめ歴代の米民主党政権が模索してきた「核の先制不使用政策」に日本政府が反対してきたと指摘しています。(8月1日、長崎市内での国際シンポジウム)現時点で、バイデン次期政権の核戦略は未知数ですが、日本政府が米国の核抑止にしがみつき、これ以上、「核なき世界」の実現を妨害することは許されません。 (竹下岳)
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年明け? 選挙の顔にならない菅/政界地獄耳
★就任以来、口では、いや原稿では、コロナ対策が最重要課題としていた首相・菅義偉だが、対策など何もせずコロナ対策と経済の両輪を回すという名の経済対策ばかりを優先。Go Toトラベルの推進で、既に第3波ともいえるコロナの猛威に襲われクラスターの発生が相次いでいる北海道と札幌市に対しての判断にも、遅れが出ているといわざるを得ない。
★9日、官房長官・加藤勝信は「ある都道府県がステージ3相当と判断された場合には当該事業にかかる感染リスクを総合的に考慮して、当該都道府県を(Go Toトラベルから)除外することも検討していただきたいという提言を(分科会から)いただいている」と発言。遠回しに分科会判断と責任を回避しているが、前厚労相として事態を予見する能力を身に付けていただきたい。北海道の警戒ステージが2から3に上がった7日以降は「店を開けてもほとんど客は来ない」というが、政府はこれが第3波の入り口と認識すべきだ。
★年末年始にかけて、飲食業では「年が越せない」という悲鳴にかわるだろう。一部では、年明けの衆院解散・総選挙がささやかれるが「こんな時に選挙などできるのか」とは、自民党若手。これから米国がトランプ政権とは違ってコロナ対策に力を入れれば、日本もまね事を始めるだろう。まねといえば自民党中堅議員が言う。「選挙になったら首相は、選挙中一切街頭演説をしなかった大嫌いな都知事・小池百合子の選挙をまねて、コロナ対策があるとして全国遊説を一切やらないのではないか。予算委員会を見ていて、あれほどしゃべれないとは思わなかったが、選挙の顔にはならない。だがほかの議員は選挙区を回らないわけにはいかない。年明けの選挙は妙な形の選挙になりかねない」と懸念を示す。これが1年間だけの暫定首相の役割か。(K)※敬称略
“スガ友”顕彰 終身年金350万円「文化功労者」に経済人の愚
8億円の年金を問題視(本多衆院議員)/(C)日刊ゲンダイ
所管する文科省の元次官の言葉だけに説得力がある。 東京新聞のコラム(8日付)で前川喜平氏が、文化の向上に功績があった人を称える「文化功労者」について<自らは創造活動をしない経済人が選ばれたことには、強い違和感を覚えた>と疑問を呈していた。 前川氏が「あれ?」と思ったのは、おととしからだという。確かに調べてみると、2018年は資生堂名誉会長の福原義春氏とキッコーマン名誉会長の茂木友三郎氏、19年は日本財団会長の笹川陽平氏、今年はインターネットイニシアティブ会長の鈴木幸一氏とぐるなび会長の滝久雄氏が選ばれた。 経済人が選ばれることの違和感は文化功労者のその「特権」にある。年間350万円の年金を、死ぬまで受け取れるのだ。
文化への貢献者には「文化勲章」があるが、憲法14条に「栄誉、勲章その他の栄典の授与はいかなる特権も伴わない」という規定があり、お金は出せない。そのため1951年に「文化功労者年金法」を制定し、年金支給を決めた経緯がある。つまり“功労金”を渡すことが目的の制度なのだ。前述のコラムで前川氏は<功績顕著な学者や芸術家でも、経済的な成功者とは限らない。例えば作歌だけで生活できる歌人はほとんどいない><三百五十万円の年金は貴重なご褒美だ。しかし、成功した経済人には不要だろう>と記していた。
■年間予算総額8億円
この一件は、4日の衆院予算委員会でも取り上げられ、立憲民主党の本多平直議員の質問に萩生田文科大臣は「現在の文化功労者は233人。年金の年間総額は8億1550万円」と答弁している。そのうえ、今年選ばれたぐるなび会長は、菅首相の“オトモダチ”だ。子会社が献金もしている。本多議員があらためて言う。「惻隠の情から国会では実名をあげませんでしたが、菅首相の知人は文化功労者に選ばれただけでなく、経営する『ぐるなび』が『Go To イート』によって恩恵を受けている。ネット予約分に616億円の予算がつけられ、ぐるなびには事務費用として10億円が支払われます。菅政権は、日本学術会議に年間10億円の税金が使われていることを問題視するなら、文化功労者への8億円の使い方も議論すべき。経営者にまで終身年金を払う必要があるのかどうか」
その通りで、これほど「前例打破」にぴったりな事案はない。