猛威を振るう新型コロナウイルスの第3波が雇用環境を一層脅かしている。菅首相の泥縄対応により、年末年始は人の動きが止まり、経済活動がほぼストップするのは確実。この先、一体どうなってしまうのか。
12月17日(木)
厚労省によると、新型コロナ関連の解雇や雇い止めは、見込みを含めて7万6543人。前週比1202人増で、アルバイトなどの非正規労働者が約6割にあたる702人を占めた(いずれも11日時点)。業種別では製造業が最多の1万5310人。飲食業1万902人、宿泊業9542人などが続いた。都道府県別では東京都が断トツの1万8476人。大阪府6581人、愛知県4315人、神奈川県3354人、北海道2979人で、深刻なコロナ禍を反映している。厚労省がコロナ解雇の統計を取り始めたのは「緊急事態宣言」明けの5月29日集計分から。解雇や雇い止めが最も多かったのは、第2波が落ち着き始めた9月18日集計分だ。1週間で4856人に上り、8割近い3762人を非正規雇用が占めた。東京都が酒類などを提供する飲食店に対し、延べ7週間の時短営業要請を終えた週にあたる。この時短要請期間に都内では6847人が職を失った。
経済評論家の斎藤満氏は言う。「そもそも、コロナ解雇が7.6万人という数字に違和感があります。これは労働局やハローワークに寄せられた相談や報告をもとにした集計にすぎず、実数ははるかに多いでしょう」トラベル事業は年末年始を挟む今月28日から来月11日まで全国一律で停止。東京都や愛知県は時短要請を同じく来月11日まで延長する。全国のあちこちで似たような措置が取られている。
「Go To事業と関わりが深い宿泊や飲食などの業界はこの一年、散々な目に遭ってきた。ゴールデンウイークや夏休み、結果的に年末年始の書き入れ時までダメにされ、経営体力を奪われ続けている。この年末年始に休業や廃業に追い込まれる事業者が続出するのは確実で、そうなれば首切りも広がる。コロナ解雇のケタがひとつ増えるのは確実で、それにとどまらず何倍にも膨れ上がるリスクがあります」(斎藤満氏)
菅の場当たりがどれほどの人を苦境に追い込むのか……。