安倍“謝罪”会見後の醜態 フリー記者を無視し急ぎ足で去る
24日、「桜を見る会」前夜祭事件や118回もの虚偽答弁について、衆院議員会館内で“謝罪”会見を開いた安倍前首相。「深く、深くお詫び申し上げる」「政治責任は極めて重い」「信頼回復に努力する」と反省の弁を繰り返したものの、うわべだけ。舞台裏は見え透いた三文芝居のような会見だった。
■口先だけの「信頼回復に努力」
24日午後の「安倍氏夕方会見」の一報を受け、日刊ゲンダイ記者は永田町に向かった。ところが、安倍事務所が発した案内は、自民党を担当する記者クラブ「平河クラブ」所属メディアに限定し、用意されたのもたった24席のみ。日刊ゲンダイやフリーの記者は排除されたのだ。
記者は狭い会見場で自民党スタッフに入場を懇願。「首相会見では本紙が所属する雑誌協会にも枠があり、参加できることもある」と告げると、スタッフは「そうなんですか。コロナ対策もあって、安倍事務所から平河クラブオンリーと指示されている。安倍事務所に聞いてください。ここにはいませんが」と取り付く島もない。会見後、安倍事務所を訪ねると、ファクスでの質問を求められた。言う通りに送ったものの、期限までに回答はなかった。
安倍晋三前首相会見で馬脚! “桜”前夜祭補填の原資はポケットマネー、公選法違反疑惑が再燃…秘書も解雇せず本人関与が明白に
首相官邸HPより
案の定、安倍晋三・前首相は不起訴、公設第1秘書の配川博之氏の略式起訴(東京簡易裁判所が罰金100万円の略式命令)というかたちで幕引きされた「桜を見る会」前夜祭問題。昨日24日の18時からおこなわれた会見では、安倍前首相は「私が知らないなかでおこなわれていたこととはいえ、道義的責任を痛感しております」などと謝罪の言葉を述べたが、「会場の時間がある」などという理由で開始から約1時間で会見を打ち切ってしまった。
しかし、「私が知らないなかでおこなわれていた」と安倍前首相が必死で主張するも、昨晩の会見はむしろ、安倍前首相の関与が濃厚になったと言うべきものだ。
その最たる例が、「前夜祭」費用を補填した際の原資にかんする問題だ。
今回、検察は安倍事務所がおこなった「前夜祭」費用の補填額を2016年から2019年の4年間で計708万円だと認定したが、一方、「安倍晋三後援会」の2019年分の政治資金収支報告書の繰越金は466万円しかないと質疑応答で朝日新聞の記者が追及。「補填の原資はそもそもどこから出ていたのか」と質問をした。
すると、安倍前首相はこんなことを言い出したのだ。
「当該資金についてでありますが、資金につきましてはですね、私のいわば預金から下ろしたものを、たとえば食費、あるいは会合費、交通費、宿泊費、私的なものですね。私だけじゃなくて妻のものもそうなんですが、公租公課等も含めて、そうした支出一般について事務所に請求書がまいります。そして事務所で支払いをおこないますので、そうした手持ち資金としてですね、事務所に私が合わせているもののなかから支出をしたということであります」
私的な支払いのために自分の預金から下ろして事務所に置いてある「手持ち資金」から、「前夜祭」費用の補填をおこなった……!? つまり、安倍前首相の“ポケットマネー”から出されていた、というのである。
まず、安倍前首相は費用の補填を「知らなかった」と言い張るが、私的な支払いのために預けてある金が計約700万円も使途不明のまま消えて、一度もおかしいとは思わなかったのだろうか。
いや、というよりも、私的な支払いのために預かった金を安倍前首相に断りもなく秘書が勝手に流用していたとなれば、それは完全に横領ではないか。
それでなくても、安倍前首相いわく、国会で追及を受けるなかで「事務所に幾度も確認」したにもかかわらず、事務所の秘書たちは嘘の説明を繰り返し、そのために虚偽答弁をしてしまったのだと主張している。そんな重大な嘘をつかれたばかりか、知らぬ存ぜぬところで約700万円も横領・流用していたのだ。普通、背任か横領罪で被害届を出すとか訴訟を起こすとかするような問題だろう。
しかし、にもかかわらず安倍前首相は、自分を欺きつづけた秘書を即刻懲戒解雇することもなく、公設第1秘書と東京の私設秘書のふたりは「辞職」という扱い。しかも、公設第1秘書の今後について問われると、安倍前首相は「本人も当分の間、謹慎していきたいというふうに考えているということであります」と回答。いずれ復職する可能性まで匂わせたのだ。
この、自分を裏切りつづけた秘書に対する扱いひとつをとっても、安倍前首相が何も知らなかったとはとても思えず、むしろ秘書に罪をかぶらせたとしか考えられないのだ。