安倍晋三元首相銃撃事件で、社会問題化していた宗教団体、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)と政治との不透明な関係が再び注目を集めている。各党は教団との関係を調査し、公表すべきだ。
事件の容疑者は母親による多額の献金が家族を壊したと恨みを抱き、教団の関連団体にメッセージを寄せた安倍氏を教祖の代わりに標的にしたと供述している。
どのような理由でも、人の命を奪うことは許されない。だが、教団と政治の関係に触れずに、この事件の全容解明もあり得ない。
旧統一教会問題は一九六〇年代後半にさかのぼる。教団に勧誘されて家を出た子どもたちを取り戻す保護者の運動が起こり、八〇年代には霊感商法や合同結婚式が問題視された。全国霊感商法対策弁護士連絡会によると、霊感商法の被害は過去三十五年間で約三万四千件、総額で千二百億円を上回るが、これは氷山の一角だという。
こうした資金集めや強引な信者勧誘は司法の場でも裁かれ、軒並み違法判決が確定している。
連絡会はこれまで、政治家による教団や関連団体などへの祝辞や集会参加は教団の反社会性を覆い隠し、被害の拡大につながると警鐘を鳴らしてきた。
だが自民党のみならず、一部野党の議員も教団との密接な関係を築いてきたのが現実だ。岸田内閣の岸信夫防衛相、二之湯智国家公安委員長=写真=も関係を認めた。背景には教団による選挙活動への支援などがある。
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