「非自民系」当選者が杉並でも立川でも…東京西部で結果を出す「地域主権主義」が目指すこと
9月の東京都立川市長選に続き、今月15日投開票の都議補選立川市選挙区でも「非自民」の候補が当選するなど、リベラル系の首長や地方議員が東京西部で勢力を拡大している。選挙戦では、「地域主権主義」の実現を掲げ、住民や首長、議員らが集まる「ローカル・イニシアティブ・ネットワーク(LIN-Net)」が候補を支援した。「自民1強」が続く国政や業界団体丸抱えの旧来型選挙とは一線を画しながら、地方からリベラルの裾野を広げようとしている。(山口哲人)
地域主権主義 住民が主体的に地域の合意形成に参加することを重視する民主主義の考え方や取り組み。格差や貧困、分断を社会にもたらした新自由主義から決別し、住民生活を守るために自治体レベルの選挙で首長や議員を当選させ、具体的に政治を動かすことを目指す。自治体同士の連携も重視する。地方自治体を意味する英語「ミュニシパリティー」が語源。
LIN-Netは昨年12月、世田谷区の保坂展人区長、杉並区の岸本聡子区長、多摩市の阿部裕行市長ら11人を世話人として発足。今年8月末時点で18都道府県の議員や市民ら158人が賛同者に名を連ねる。これまでに4回の集会を開き、福祉や教育、環境などの分野に関して、地域でどのような取り組みができるか議論を重ねてきた。
このうち、3月の集会に登壇した27~31歳の3人は4月、世田谷区議選と国分寺市議選に挑戦。日本語教師やコンサルタントなどとして働いてきた3人は、いずれも票に結び付かないとされる気候変動対策やジェンダー問題を中心に訴え、選挙の準備期間も短かったが、全員当選した。
◆自公でも既存野党でもない潮流
選挙互助会として協力するのが主目的ではなく、各自治体の優れた政策を共有し、「市民と行政が参画する街づくり」に向けて連携する。選挙で投票率の低下が続く原因として、投票しても政治は変わらないという無力感が挙げられるが、保坂氏は「実際に自分たちが政治や行政に参画すれば、社会は変わっていくことを共有したい」と話す。
世話人の一人で政治学者の中島岳志東京工業大教授は「国政をいきなり変えるのは難しいので、地方で首長や議員を誕生させて直接的に変えようという傾向が欧州で強まっている。東京西部でも同じように、自公や維新ではなく、しかし既存野党でもない別のリベラルを求める潮流が起こっている」と指摘した。
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