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石破茂首相がトランプ米大統領とホワイトハウスで初めて会談した。トランプ氏が石破氏に無理難題を突き付けることはなく、両首脳は安全保障、経済の両面で協力を強化することで一致した。
無難な滑り出しとは言えるが、会談の議題は2国間の実利に関わる問題に偏り、国際社会が抱える課題の多くは素通りだった。「日米関係の新たな黄金時代を追求する」(共同声明)というのなら、紛争や環境、人権など世界が直面する課題について率直に語り合うべきではなかったか。
両首脳は日米安保体制を巡り、従来の見解などの維持を確認。トランプ氏は日本防衛に対する米国の関与を確約する一方、日本政府が国内総生産(GDP)比2%への倍増を目指す防衛費のさらなる増額を迫ることはなかった。
日本政府には「満額回答」なのだろうが、そもそも防衛費のGDP比2%への増額はトランプ氏が1期目に求めていたことだ。米国の意向に左右されるのではなく、日本が主体的に判断すべきだと指摘しておきたい。
日本製鉄の米鉄鋼大手USスチール買収計画に関しては「買収ではなく投資」とする方向で、両首脳が一致した。バイデン前政権による買収禁止命令が見直されるなら一定の前進ではある。
「投資」は日本側がトランプ氏に対処する際のキーワードだ。首相は日本企業の対米投資を約25%増の1兆ドル(約151兆円)規模に引き上げると表明し、米国産液化天然ガス(LNG)の輸入を拡大する考えも示した。
ただ、各国への圧力を強めるトランプ氏が日本を特別扱いするか否かは不透明だ。首脳会談では具体的な対日関税に言及しなかったが、9日には米国に輸入されるすべての鉄鋼とアルミニウムに25%の関税を課す考えを表明した。日本も対象になる可能性がある。
ロシアのウクライナ侵略、パレスチナ自治区ガザ問題は議論されず、世界保健機関(WHO)、気候変動対策の枠組み「パリ協定」からの米国の脱退表明に、石破氏が懸念を示す場面もなかった。
自由貿易や国際協調を重視する日本が「米国第一主義」への追随を続けていいわけはない。圧力外交を繰り返すトランプ氏に「法の支配」を説いても望み薄だとしても、米国に国際的な役割を果たさせる努力を惜しんではならない。
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